体験場所:埼玉県比企郡嵐山・城西大学坂戸キャンパス近くのロー〇ン
現在私は35歳、専業主婦をしています。
これは昔、私が20歳だった頃の不思議な体験談です。
当時、城西大学坂戸キャンパスに通う同い年の彼氏がいました。
その頃の私は車の免許を持っていませんでしたが、彼は免許も車も持っていたので、私たちは会える時は決まってドライブを楽しんでいました。
行く宛もなく、スタバのコーヒーを買ってひたすらドライブしながらお喋りをする。これが、私たちのデートスタイルでした。
12月のある寒い夜のことでした。
その日、私たちは彼の大学より少し北側に位置する嵐山町の辺りをドライブしていました。いつものように他愛もない話をしながらです。
しばらく走った頃、ガソリンランプが点灯してしまい、彼が「次にスタンドを見つけたらガソリンを入れよう」と言いました。
「そうだね」と返事をしながら、私は母親へ「今日は21:00頃に帰るね」とメールを送りました。
メールの送信時刻は19:28でした。
メールを送信し終え前を向き直すと、目の前には赤色に点灯した信号がありました。
きちんと舗装されている道路の、割と大きな交差点で信号待ちをしていました。
しばらく待って信号が青に切り替わり、私たちは何の疑いもなく交差点を直進しました。
すると交差点を通り過ぎた直後でした。
気付くと私たちの車は、車1台がやっと通れるくらいの狭い山道を走っていたのです。
本当に突然、それも傾斜を登るような形で不意に未舗装の山道が始まったのです。
「えぇ?いきなり山なの?」
驚いて彼の方を振り向くと、少し呆けて不思議そうにハンドルを握る彼の横顔は今でも鮮明に覚えています。
バックして戻ろうにも、後ろを振り向くと舗装されていない山道が永遠続き外灯もありません。
灯りは前方を照らす車のヘッドライトのみ。Uターン出来る道幅もありません。。
そのまま突き進むより他に選択肢がありませんでした。
「もう少し先に進んだら、Uターン出来る場所があるかな・・・」
彼がそう不安そうに口にした途端のことでした。
突然山道が急勾配で下りだしたんです。
その時の体感は、ゆっくりと登ったジェットコースターのてっぺんから突然下り始めた時の、ふぁっ・・・と体が浮くような感覚に似ていました。
そこから私の記憶はありません。
ハッと気が付くと、隣に座る彼も同時に気が付いたようで、驚いて見開いた彼の目が運転席から私の顔を見つめていました。
そんな状況なのにも関わらず、彼がハンドルを握る車は未だに走行中で、私たちは慌ててとにかく一度車を停車させようと試みました。
停車した場所は、山道ではなく、どこかのコンビニの駐車場でした。
私たちは車のシートに身を預けたまま、しばらく声も出せずに放心していました。
「とりあえず生きてる・・・生きてるよね?」
そう言って互いに無事を確認し合いながらも、混乱する頭を冷やし「いったん冷静になろう、一体何が起きた?」と、二人で思い出せる限りのことを話しました。
やはり彼も、車が急に下り始めた直後からの記憶がありませんでした。
運転手なのに・・・
車にはナビがなく、当時はガラケーなので地図もすぐに開くことができず、ここがどこなのか確認しようと二人とも車を降りました。
そこで驚愕したんです。
そのコンビニは、大学の行き帰りで必ず立ち寄る大学傍のロー〇ンでした。
二人とも唖然として、辺りの景色とコンビニを何度も確認しましたが、見間違うはずもなく、やっぱりそこは間違いなくいつも立ち寄るロー〇ンでした。
(さっきまで山道を走っていたはずなのに、どうして…。いや、そもそも山道を走っているつもりもなかったんだけど…)
と、再びしばらく呆然としていると、「あれ?ガソリンは?今何時?」と彼が慌てだしました。
車のエンジンを掛けると、やっぱりガソリンランプは点灯したまま。
私のガラケーを開くと時刻は『19:35』を指していました。
母親にメールを送ってから『7分』しか経っていませんでした。
嵐山町から城西大学まではおよそ16㎞、車で30分はかかる距離です。
どうやってここまで来たのか、運転していたはずの彼にも分からず、私は二人とも死んでしまったのではないかと思いました。
彼も何人かの友人に電話を掛け、「なぁ、俺って・・・生きてるよな?」と確認していました。
まあ、結果、私たちは生きていたわけですが・・・
結局、真相は何も分からないまま、その日は二人とも極端に疲れ、そのまま帰路に就きました。
その後、あの体験が直接原因したわけではありませんが、彼とは別れてしまいました。
それから十数年が経った頃、私は占いの鑑定所を訪れたことがありました。
実際に聞きたいことを占ってもらった後、「まだ少し時間があるから、他に何か見ようか?」と占い師の方に言われ、どうしようかと考えた時、私はあの体験の事を思い出したのです。
占いとは違うかもしれませんが、もしかしたらこういった不思議な体験についても聞いてくれるかもしれないと、私は恐る恐る、その占い師さんにあの時の体験を話してみたのです。
すると思いのほか占い師さんも積極的に見てくれたので、私は彼の名前や生年月日、血液型や家族構成など、思い出せることを全て伝えました。
すると、その占い師さんはこう言ったのです。
「その体験は夢や幻ではありません。二人が実際に体験したことです。あなたたち二人は本当に山道を走っていて、本来であれば崖から落ちる事故に遭遇していたはずです。だけど彼の先祖がそれを救ってくれたのです。本来なら二人ともそこで命を落としていたわね。」
そう言われ、私はあの日の体験を思い出しながら全身が総毛だったことを覚えています。
もう彼とは疎遠ですが、お互い元気に暮らしているといいな・・・と、時折思い出すことがあります。
以上が私の不思議体験談です。
コメント