【心霊スポット】山口県|7つの家の怖い話「放置車の中」実話怪談・短編

投稿者:カコカ さん(39歳/男性/会社員/山口県在住)
心霊スポット:山口県光市『7つの家』

学生時代から怪談話に目がない私は社会人になってもその趣味は変わらず、今も高校時代の同級生3人でよく心霊スポットを巡る変わり者です。

そんな私が生まれ育った山口県にも心霊スポットと呼ばれる場所は多数存在するのですが、中でも一番有名なのは、やはり『七つの家』でしょう。

『七つの家』は全国的にも知られる心霊スポットなのですが、名前の通り七つの廃墟が建ち並ぶ不気味な場所で、元々は七軒のモデルハウスだったらしく、それがいつからか放置され風化した残骸だと聞いています。

その『七つの家』を私はこれまで3度訪れた事があるのですが、過去に一度だけ、そこで怖い体験をしたことがあるんです。

7つの家
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初めて私が七つの家を訪れたのは高校生の頃だったので、今から20年以上も前になります。

正直なところ、1度目と2度目は昼間に訪れており、心霊スポット探索というよりは物珍しい観光地を訪ねるという感覚の方が強かったように思います。

その頃はまだモデルハウスの様相が色濃く残り、家具なども放置されたままの家を7つ全て確認する事が出来たんです。

ですが、最近になって友人からこんな話を聞いたんです。

「近頃、七つの家の劣化が激しくて、間もなく倒壊して無くなってしまうかもしれない。」

この話を切欠に、最後にもう一度、今度は夜に訪れてみようという事になり、高校時代の同級生AとBと一緒に3度目に『七つの家』を訪れたのが2018年のことでした。

国道沿いから山道に入り、今では半分獣道のようになったエリアに車を停め、そこから徒歩で約20分ぐらい草木が生い茂る道と思しきところを行くと、ようやく七つの家に行き当たりました。

最初に確認できた家は、既に半壊しており壁も半分しかない状態でした。

家の中を懐中電灯で散策することをイメージしていた私たちは、少しがっかりしながら散策を進めたのですが、やはり相当劣化が進んでいるのか結局確認できた家は4つだけ。

しかも、既にそのどれもが竹林の一部となってしまっているような有様で、家の中を探索するには非常に危険な状態でした。

竹林の廃墟
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「もう俺たちが知っている『七つの家』ではないんだな…」

と、友人2人と感慨に浸り、周辺をもう少し周ったら帰ろうという話をしていた時、ハッと思い出したんです。

「そう言えば、火事で黒焦げになったって噂の放置車がなかったっけ?」

私がそう言うとAもBもそうだと思い出したようで、とりあえず最後にそれだけは確認して帰ろうということになりました。

前に来た時の記憶を頼りに放置車を探すこと10分、それは倒壊した家を通り過ぎた先に見えました。

ポツンとそこに取り残された放置車は損壊もひどく、懐中電灯に薄っすらと照らし出されたそれは異様な不気味さを醸していました。

気味悪く思いながらも、とりあえず近くまで行ってみようと足を踏み出した時でした。

Aがその放置車に目が釘付けのまま固まっている事に気が付いたんです…

「どうした?」と私はAに声を掛けながら、足元に向けた懐中電灯をもう一度上にあげ、再び前の放置車を照らしました。

すると、私とBにもハッキリと見えたんです。

放置車の後部座席に、ぼんやり黒い人型のような塊が…

放置車の中の何か
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それはまるで火災時の濃い煙が漂うようにブワブワと人型を為しており、どこを向いてるのかも分からないような不安定な形状でそこに存在していたんです。

本当の恐怖を感じた時、人は声なんか出しません。
AもBもジッとその場で立ち竦み、目を見開いたまま短い呼吸を繰り返しています。

私も全身にゾワッと鳥肌が立つのを感じながら、体は鉛のように硬直していました。

ですが身体とは相反し、そんな状況下だからこそ私の頭の中ではある思考がグルグルと回り始めたんです。

私が怪談や心霊スポットを好きな理由として、子供の頃から一度、あの世の存在と話をして、あの世が本当にあるのかどうかを聞いてみたい、という目標がありました。

一度ゆっくりと話ができる幽霊と出会えないものかと日々心霊スポットを巡礼していた私にとって、これはまたとないチャンスです。

ですが、粟立つ私の目に映るその黒い塊は、明らかに話が聞ける様な類のものではありませんでした。

大雑把に人型だとは分かるものの目や口があるわけではなく、ただただ不穏に漂うその黒い塊は、まるで感情や自覚といった性質がごっそり欠落しているように見え、意志の疎通など到底不可能と感じたんです。

ただ黒いもの
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それを残念に思ったのかどうか自分でもよく分かりません。

ただ、接触を諦め少し冷静さを取り戻せたのか、極度の緊張と恐怖で止まっていた呼吸をゆっくりと再開した瞬間でした。

Aが後ろを振り返り一目散に走り出したんです。

それに先導されるように続いて私とBも走り出したのですが、その瞬間、一番の恐怖が私たちを襲いました。

走り出した私たちの後ろから、車のドアが開く音がハッキリと聞こえたんです。

もうその後は振り返る事もできず、獣道をとにかく全力で走って自分たちの車に飛び乗り、なりふり構わず急発車して国道に飛び出しました。

その勢いのまま私たちは無言で車を飛ばし続けたんです。

どのくらい走った頃でしょうか。
全く時間を感じられないほど動揺していた私たちは、目に留まったファミレスに車を止め、ようやく人心地つくことが出来たんです。

「あれは…一体何だったんだ…?」
「…幽霊…なのか?」

それを前提に、というかそれを目的に心霊スポットを巡っていた私たちですが、実際にそれらしきものを目にした途端、甚だ自分たちの目を信じることが出来ませんでした。

そこで、さっき見たものを出来るだけ冷静に、互いの認識を照らし合わせてみることにしたのですが、すると少し妙なんです。

3人ともそれぞれ認識が、少しづつずれてるんです。

私には黒い塊にしか見えなかったそれを、Aは、目と口がハッキリとある男性だったと言い、Bは、顔は確認できなかったが髪型がショートカットだったのは確かだと言います。

もしかしたら霊感と言われるものの強弱によって見え方が違うのかもしれない。
私たちは見え方の違いをそう解釈すると同時に、それぞれが違うものに見えた時点で、やはりあれは常識と言う範疇から外れた人以外の何かだったのだと認めざる負えず、そのまま3人とも言葉を失ってしばらく呆然としていました。

それにしても、もし仮に私にもAと同じように、あれにハッキリと目と口が見えていたら、あるいはあの世の話を聞きに行っていたのかもしれない…そう思うと、今でも背筋がザワザワします。

あれ以来、七つの家には行っていません。

もう間もなく朽ち果てて無くなってしまうのであれば、最後にもう一度だけ、今度こそは幽霊の話を聞きに訪ねたいとも思うのですが…

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