
体験場所:熊本県A市 島にある祖母の家
私がまだ3歳くらいだった頃、今から30年以上前のお話です。
細部はぼんやりした記憶しかないのですが、とても衝撃的で…脳裏に焼き付いたようにいまだに覚えています。
一緒に目撃した母とは、なんだかタブーのような感じで、今もその話題には触れないようにしています。
だからこの記憶が私の妄想なのか?現実なのかは判断ができませんが、ぜひ聞いてください。
父方の祖母が亡くなった時のことです。
祖母の家は九州の島にあり、少なくとも当時は亭主関白が当たり前の土地柄で、お葬式などの時に女性が座っている暇なんかありませんでした。もちろん私の母も大忙しだったと思います。
私は3歳くらいだったので、親戚のお姉ちゃんお兄ちゃんと遊んでもらっていたと思います。
親戚も多かったので、大人たちのお酒やタバコの匂いが充満していて…今では考えられませんが、この時代はまだ子どもの前でタバコを吸う人も多かったですよね。
少し祖母の話をしていいですか。
祖母は家族思いな人だったようです。
私の家は同じ九州でも都会の方にあって、祖母の家からは5時間ほどかかる距離です。
私が生まれた時は一時的に同居し、家事育児を手伝ってくれていたそうです。
母からしたら義母との同居だったわけですが、多少の衝突もありつつ上手くやっていたと聞きました。
私は、祖母からしたら末っ子長男の第一子で、たいそう可愛がってくれたみたいです。
なかなか寝ない子だった赤ん坊の私をずっとおんぶしてくれました。(そんな写真ばかり残っています)
とても可愛がってくれた祖母が亡くなって…悲しかったかどうかは覚えていません。
だってあんなことを経験したら、それ以外覚えていられないと思いますよ。
ごめんなさい、肝心な部分を話していませんね。
葬式などが一段落し、働きっぱなしだった母がやっと休憩できるタイミング、気分転換でもしようと、私を連れて外に出ました。
祖母の家は海沿いで、街中で暮らしていた母にとっては新鮮な景色だったでしょうね。
気持ちのいい海風を浴びながら、ふと気になって、振り返って祖母の家を見ると、
浮かんでるんです。祖母が。
それも顔だけ。
空一面に祖母の顔が。
やっぱり…夢か妄想の類なのでしょうか。
怪談や奇妙な話が好きな私ですが、こんな話は聞いたことありませんので。
ここまで書いていて一つ思い出しました。
私がまだ幼い頃、一度だけ母に聞かれたんです。
「おばあちゃんとお別れの時、空に顔があったの覚えてる?」
そう聞く母の顔が、目がとても真剣で、まだ子どもだった私は「覚えてない」と答えました。
「そっか」と少し安堵するような、悲しそうな母の顔。この記憶も夢?
もし全て現実だったとしたら、空一面に浮かぶ祖母の顔、あれは一体なんだったのでしょうか。
ビジュアルだけで言えば怖いですが、不思議と私は怖くなかったです。
空から祖母が見守ってくれている…そう思いたいです。
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