【怖い話|実話】短編「ひどく寒がる祖母」心霊怪談(群馬県)

祖母の墓
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投稿者:四ノ宮 さん(30代/女性/主婦)
体験場所:群馬県A市の某墓地

私がまだ学生だった時の話です。

群馬県のA市で産まれてからずっと、私は祖母と一緒に暮らしていました。
私のことをすごく可愛がってくれる、とても優しいおばあちゃんでした。

その祖母が、心不全のため他界しました。

納骨も終わり、やっと落ち着いてきたある日の事です。
私が夕方、家に帰ると、誰かがお風呂に入っていました。

家には普段、母しかいないので、きっと母が入っているのだろうと思いました。(こんな時間にお風呂なんて、珍しいな)とは思いましたが、その時はあまり深く考えませんでした。

私はそのまま自室に入り、夕飯まで勉強をしていました。

ふとトイレに行きたくなり、部屋を出てトイレに向かうと、廊下でばったり母に会ったのですが、なぜか母は私を見て驚いた顔をしています。

「え?りか?(私)、今お風呂に入ってなかった?」

話を聞くと、母も誰かがお風呂に入っている音を聞いたらしいのです。
私はてっきり母が入っているものと思っていたのですが、母も私が入っていると思ったようで…

私たちは怖くなって、二人で恐る恐るお風呂場のドアを開けました。

すると、お風呂場の床はびっしょり濡れ、浴槽の蓋があいていました…

気味悪いとは思いながらも、母も私もそれ以上原因を突き止めることが出来ませんでした。

その日の夜の事です。

眠っていた私は突然金縛りに遭いました。
霊感なんてものは持っていなかった私は、産まれて初めての経験に全身が粟立ち震えが止まりませんでした。

すると、布団の中から、誰かがすすり泣く声が聞こえて来たんです。

「りか…さむい…さむい…」

私を呼ぶ声。
耳を澄ますと、それは死んだ祖母の声に聞こえたんです。

(え?おばあちゃん?…寒いって、どういうこと?)

私は恐怖に震えながらも考えました…
結局、気が付けば朝で、布団は寝汗でびっしょりでした。

次の日、昨夜の祖母の声が気になった私は、母にそのことを話しました。
すると母は母で、金縛りには遭っていなかったものの、朝方もまたお風呂場で水の音を聞いたと言っていました。
何かが引っかかった私と母は、祖母のお墓の様子を見に行くことにしました。

墓地に到着し、祖母の墓前に立って私たちは、我が目を疑いました。
どうして祖母が寒がっていたのか、その理由を知ることになったのです。

祖母の墓は、墓石がズレて、そこに水が溜まっていたのです。
その水の上に、祖母の遺骨が浮いていました。

水面に浮く祖母の骨
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10日ほど前、私の住む地域に大雨が降りました。
風も強く、多くのものが吹き飛ばされ、大変な被害が出るものでした。

きっとその日、祖母の墓石もズレてしまったのでしょう。
その隙間に雨水が溜まり、祖母の骨が浮いてしまっていたのです…
祖母は寒くなって、私たちに知らせようと、お風呂場を濡らしたのだと思います。

住職に相談し、骨を全て回収して乾かし、お墓の水を全て抜きました。
お墓には祖母以外の骨もあったのですが、なぜか浮いていたのは祖母のものだけでした。

お墓を綺麗にして、骨も拝んでもらった後、再度墓に戻しました。
祖母の好きだった花も生け、安らかに眠ってもらえるようにお祈りしました。

その後、家のお風呂場から音がすることはなくなりました。
きっと祖母も安心して眠れたのだと思います。

そうそう、母に聞いたのですが、生前まだ祖母が若い頃、祖母は競泳の選手だったそうです。

「もしかしたら泳ぎたくなったおばあちゃんが、骨壺から抜け出しちゃったのかもね」

と、母は笑って言っていました。

「きっと、泳いだ後に戻れなくなって助けを求めに来たんだよ」

・・・と。

本当にそんなことがあるのかどうかは解りません。

けれど祖母が亡くなって10年以上経ちますが、今でも親戚の集まりがあると、みんなでその話をします。
ちょっぴり怖い体験でしたが、今では親戚みんなが祖母を思い返すひとつのエピソードとなって語り継がれています。

その後、お墓に水が溜まることはありませんが、今でも私は祖母に会うために欠かさずお墓参りに行っています。

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