【怖い話|実話】短編「これから起こる危険なこと」不思議怪談(宮城県)

【怖い話|実話】短編「これから起こる危険なこと」不思議怪談(宮城県)
投稿者:はゆ さん(34歳/女性/無職)
体験場所:宮城県S市

当時私が働いていた宮城県S市のお店でのことです。
詳細は伏せますが、私が働いていたそのお店は少し特殊で、天然石や神様の像などを売っているお店でした。

ある日一人で仕事をしていると、初めて見るお客さんが来店されました。

しっかり接客をするお店だったので、そのお客さんに「何かお探しですか?」「どんな石が好きですか?」などありきたりな質問をしつつお話をしていると、急にそのお客さんから「あなたこれから危険なことが起こるわね」と言われました。

突然の言葉に私は驚いて「え?何でですか?」と聞き返すと、「う~ん、視えるの。でも、あなたについているご先祖様は強い方のようだから、大丈夫ね!」と、再び不可解な発言が返ってきました。

その方はいわゆる「視える」方らしく、前にこんなことがあった、見えちゃいけない人が見えたなどと、これまでに体験した不思議なことをたくさん話してくれました。

「すごいですね!」なんて返答しましたが、私は自分が経験したことや見たものしか信じない性格なので、正直そのお客さんの言うことは全く信じていませんでした。

するとお客さんが「一応お祓いしておくわね。」と言って、私の背中に手のひらを置き、「犬」という漢字を書きながら、最後の一画の点を打つ際に、バーン!と背中を叩き、そのまま帰って行かれました。

その後ろ姿を呆気にとられながら見つめていた私は、背中は痛いし、商品も買っていかないしで、なんなんだよ…と少し腹を立てながらお仕事に戻りました。

それから一週間後のことでした。

普段私はイヤホンで音楽を聴き、しかも携帯をいじりながら、周囲の状況に無頓着に歩いていることが多いのですが、その日はたまたま家にイヤホンを忘れ、しかもなぜか携帯の電波状況も悪く、仕方なく、ただ歩いていました。

信号待ちををしていても、田舎町なので人通りも少なく、特にその日は私の他に周囲には誰もいませんでした。

ようやく信号が青に変わり横断歩道を渡り始めると、急に誰かが私の体をグっと後ろに引っ張りました。

「え?何!?誰!?」とビックリしていると、目の前をものすごいスピードの車が減速することなく走り去っていきました。

私は突然起きた色々なことに混乱し途方に暮れながら、ふと「あ、これのことだ…」と、頭の中の霧がスッと晴れるように、唐突に腑に落ちました。

お店でお祓いをしてくれた人が言っていた「危険なこと」というのがさっきの暴走車のことで、それを避けるために引っ張ってくれたのが「強いご先祖様」なのだと。

もしもあの時引っ張られることなく歩き続けていたら、私は確実にあの車に跳ねられていたことでしょう。

家に帰りその一連の出来事を母に話すと、母も驚いて「その時間帯におじいちゃんの写真立てが落ちてガラスが割れちゃったのよ…」と言いました。

祖父の写真立ては、大きな震災か、それとも人為的に動かそうとでもしない限り絶対に倒れないような場所に置いてあります。

あの時私を守ってくれたのはおじいちゃんだったのだ、と、私は確信しました。

おじいちゃんに心から感謝するとともに、「視える人」というのは実在するということが分かった不思議な体験でした。

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