
体験場所:東京都中野区新江古田〜沼袋の住宅街のアパート
去年の7月、仕事で大型案件に携わっていた頃、毎日徹夜続きで精神的にも肉体的にもボロボロで、そんな忙しい時期になぜか引越しをしてしまい、その時のアパートで体験した話です。
場所は東京の中野区、西武新宿線の沼袋駅から徒歩7分くらい。大通りから一本入った静かな住宅街にひっそりと佇む木造2階建てのアパートでした。築40年以上は経っていましたが、1K、ユニットバス付で家賃5万円台と格安。内見時に「古いけど日当たりいいし、駅から近いし、まあとりあえず1年だけ」って軽い気持ちで即決しました。
引っ越して初日の夜、疲れ果てて23時くらいに寝落ち。
で、何かの音で目が覚めたのが夜中の3時15分。
最初はスマホのアラーム音かと思ったんですけど、よく聞くとインターホンの音なんですよ。
ピンポーン……ピンポーン……って、妙にゆっくりした間隔で2回。
「誰だよこんな時間に……」って寝ぼけながらモニター見たら、誰もいない。外灯がぼんやりと玄関前と錆びた階段を照らしてるだけ。気味悪かったけど、「近所の酔っ払いが間違えたのかな?」ってことにして、すぐまた寝ました。
でも次の日、また同じ時間にインターホンが鳴ったんです。
同じ鳴り方で、ゆっくりと2回。ピンポーン……ピンポーン……って。
「え?・・・なんで?」って疑問ばかりでしたが、気味が悪いし、その日は無視したんです。
それから3日目も、4日目も、やっぱり同じ時間にインターホンが鳴る。
ピンポーン……ピンポーン……って。
それが1週間続いた頃にはもう完全にパターンだと分かってて、3時10分くらいになるとドキドキし始めて、時計見ながら「来るな来るな……」って念じてました。
でも必ず3時15分ジャストに鳴る。
秒すら狂わない。
ピンポーン……ピンポーン……って。
翌日、さすがに耐え切れなくなって管理会社のおばちゃんに電話したんです。
「202号室なんですけど、夜中の3時15分に毎日インターホンが鳴るんです」
って言ったら、明らかに電話口の向こうの空気が変わったのが分かりました。
「ああ……その部屋ねぇ……」
って、ため息混じりで、おばちゃんの口からポロッと出てきたのが、
「前の住人、去年の夏にそこで亡くなっててね。発見されたのが亡くなって1週間後でさ……」
死因は熱中症による孤独死。40代後半の独身男性で、発見時はもう……かなり酷い状態だったそうです。
で、僕が入居したのが、その人の命日からほぼちょうど1年後。それ聞いた瞬間、背筋が凍りました。
でもまだ「偶然だろ」って自分に言い聞かせていたんですけど、8日目の夜が決定的でした。
いつものように3時15分にインターホンが鳴って、今までは無視してたけど、その日はなんか「今日は違う」気がして、恐る恐るモニターを見たら……
・・・映ってたんです。
玄関前に、ワンピースみたいな白い服を着た女の人が立ってて、長い髪で、顔が……真っ黒。
モニターの故障、それとも目の錯覚かと思って目をこすったら、モニターの映像がザザッと乱れて、次の瞬間もう誰もいませんでした。
でも、僕ははっきり見たんですよ。
肩のあたりに、ナースキャップみたいな白い影があったのも。
それで完全に頭パニックになって、その夜は電気つけっぱなしで朝まで一睡もできず、翌朝には友達の家に転がり込んで、それから荷物まとめて実家に逃げ帰りました。
その後アパートには一度も戻ってないです。
あとで近所のおばあちゃんに聞いた話なんですが、そのアパート、昔は近くの病院の看護師寮だったそうなんです。
で、当時、夜勤明けで帰ってきた20代の看護師さんが、部屋で心臓発作起こして亡くなったらしく、発見されたのが……確か3時15分頃だったとか。それが30年くらい前の話。
それ以降、毎年夏になると「誰か訪ねてくる」って、近所で噂になってたらしいです。
つまり、僕が見た白い人って、前の住人じゃなくて、もっと昔に亡くなったその看護師さんだったのかもしれません。だって、モニターに映ってた人の服、よく考えたら白いワンピースじゃなくて、看護師さんの白衣だったように思えて……。
今でもあの映像がフラッシュバックして、夜中にインターホンが聞こえると条件反射で飛び起きてしまいます。新しいマンションに引っ越した今でも、インターホンの電源は常に切ってるし、宅配便もボックス指定にしています。
変な話ですけど、あれ以来「3時15分」って数字見るだけでゾワッと全身の毛が逆立つんです。

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