【怖い話】不思議実話|短編「物件紹介」千葉県の恐怖怪談

投稿者:yuu さん(26歳/男性/不動産関係/神奈川県在住)
体験場所:千葉県T市 T駅の近くのアパート物件
【怖い話】不思議実話|短編「物件紹介」千葉県の恐怖怪談

当時、私は1棟アパート・マンションの不動産コンサルタントとして仕事をしており、お客様の資産形成のお手伝いをしていました。

それは、蒸し暑い八月のお昼時のことでした。
その日も物件の購入検討者様より会社にご連絡を頂き、直接相対での打ち合わせをしたのです。

希望条件のヒアリングを済ませた後、実際にお客様のご希望に沿ったアパート物件の提案を行いました。
それは千葉県T市にある、T駅にほど近い物件でした。

お客様は物件資料を見るなり直ぐに「これいいね!」と言ってくださいました。

私も嬉しくなり、「ありがとうございます!では、この後一緒に物件を見に行きましょう!」と伝えると、お客様から二つ返事でOKを頂けました。

ですが、そこで私はハッと思い出しました。
お客様に伝え損ねていた内容があったのです。

「お客様、お伝えし忘れていたのですが、実はこのアパートの一室で、以前人が亡くなったことがあり、いわゆる事故物件と呼ばれるものなのですが…」

お客様の快いお返事を受けた後に、この話を切り出すのは気が引けましたが、後々問題になるのは避けたかったので、仕方なしに私はお伝えしたのです。

すると、それを聞いたお客様はキョトンとした顔で言いました。

「…別に、問題ないですよ?」

私はその言葉を聞き、安堵しました。

事故物件であることを全く問題視しないお客様の反応は意外でしたが、何はともあれ、お客様には事故物件である旨もしっかりお伝えした上でご理解頂けて、私は心からホッとしたのです。

その後、改めて仕切り直し、お客様と共にそのアパート物件へと足を運びました。

「事故物件と言っても、8部屋ある内の1部屋で亡くなった方がいらっしゃるというだけで、その室内は既に清掃も綺麗に済んでおり、匂いも全くせず、むしろ他の部屋よりも綺麗になっているんですよね。」

と、道中の車内で、私はお客様に安心して頂けるよう物件の説明を続けました。

実際に設備の交換やクリーニングの実施などにより部屋が綺麗に仕上がっていることは、以前に私自身が室内を見に行き確認しておりました。
それは本当に人が亡くなっているとは思えない程に綺麗な部屋だったのです。

アパートに到着後、私は直ぐに空いている部屋の鍵を開け、お客様に少しの間室内を見てお待ち頂くようお願いをしました。

その物件は駐車場が付帯していない物件でしたので、私は周辺で時間貸し駐車場を探しに行く必要があったのです。

八月ということもあり帰省者が多いためか、周辺の駐車場はどこも埋まっており、見つけるのに手間取ってしまいました。

少し離れた駐車場でようやく車を停め、急いで先ほどの物件へ戻ったのですが、すると、どうもお客様の様子が変なのです。

お客様は部屋の中ではなく、部屋の外、その部屋の扉の前で待たれていたのです。

(…なぜだろう?)

疑問に思いながらお客様に歩み寄ると、その答えはすぐに分かりました。

改めて私も室内に入ってみると、リビングの床に、黒く大きな焦げ跡が付いていたのです。

それも、人が横たわっているような形で。
その人型の箇所以外は張り替えられた綺麗な白い床が見えているにも関わらず…

しかも部屋には腐った卵のような腐敗臭まで充満していました。

私は何がどうなっているのか理解できませんでした。

実際に部屋には綺麗にクリーニングが施されたはずで、それは私も自分自身の目で確認していました。

それなのに、まるで今しがた人が亡くなったばかりの様な生々しい痕跡がそこに残っていたのです。

目の前の信じられない光景が余計に暑さを助長して、私は汗が止まらなくなりました。

「事故物件とおっしゃいましたが、この入居者はどうやって亡くなったのですか?」

と、お客様に聞かれたのですが、私自身もどのようにして亡くなったのか、詳しことは把握していませんでした。

当然お客様がその物件を購入することはありませんでした。

後になって、その部屋で亡くなった入居者の方のことを上司から聞きました。

遺体が見つかったのは容赦なく日差しが照り付ける8月の暑い日だったそうで、入居者はリビングで横になり亡くなっていたところを発見され、その腐敗集は酷いものだったそうです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました