【怖い話|実話】短編「白いタオル」不思議怪談(兵庫県)

【怖い話|実話】短編「白いタオル」不思議怪談(兵庫県)
投稿者:こてら さん(30代/女性/主婦)
体験場所:兵庫県のK高原(確か)

これは私が高校生の時、同じクラスの友人Sさんから聞いた話です。

Sさんが中学生の時、通っていた塾の合宿に参加したことがあったそうです。

合宿先はSさんが住んでいる所から遠く離れた、兵庫県にある山あいのK高原というところ。

合宿所として利用したのはホテルなどではなく、いわゆる林間学校や部活動の合宿に使われるような宿泊施設だったらしく、近くには体育館があり、日中はみんなでそこで授業を受けたのだそうです。

もちろん合宿所の部屋にはテレビなどないため、夜になると友達同士で部屋に集まって話をします。

消灯時間は過ぎており、明かりは消したまま、ひそひそ小声で話す感じです。

この合宿に対する愚痴や噂話、次に恋バナなどが始り、声を潜めてキャッキャと一しきり話した後、やっぱり定番の怪談が始って、みんなそれぞれ持ち寄った怖い話を披露しました。

すると突然、一人の子が叫び声を上げてこう言いました。

「そこの窓にな、何か、し、白いものが映ってる!?」

その声を合図に、一斉にみんなが窓の方を振り向きました。

一瞬、確かに窓に白い影が見えた気がしました。

直後、やにわに部屋にいた全員が大パニックになり、慌ててSさんは明かりを点けようと電気のスイッチを押しました。

すると、スイッチは入るのですが、電気はチカチカと点滅を繰り返すばかり。

蛍光灯が古いせいなのか、何度スイッチを入れ直しても点滅を続けるだけです。

慌ててパチパチとオンオフを繰り返すSさんをよそに、いつの間にか他の子たちはみんな落ち着きを取り戻し始めていました。

チカチカと点滅する蛍光灯の下で、改めてみんなで窓の方を見てみると、そこに映るものなど何もありませんでした。

その時、一つ思い出したことがありました。

部屋の中に一人、Iさんという子が、家から替えのタオルを持ってくるのを忘れ、さっき確か、今日使った白いタオルを洗って外に干していたなと。

恐らくそれが風か何かで窓から顔を覗かせたのだろうと、そんな結論に至ったのです。

ホッとしたところで、そろそろ鬱陶しく点滅している明かりを消そうとSさんがスイッチを切りました。

すると、今度は明かりが全く消えないのです。

焦ったSさんが再び何度もスイッチを押すのですが、明かりは点滅を続けたまま、青ざめたみんなの顔をコマ送りのようにチカチカと照らし続けます。

そんな時、突然ノックの音が鳴り響きました。

またしても部屋中が大パニックです。

全員が泣き叫ぶ中、勢いよくドアを開けたのは、塾の先生でした。

「お前たち何してるんだ!」

もちろん先生は消灯時間を破って大騒ぎしている生徒達におかんむりです。

ただ、先生の姿を見て、それまで張り詰めていた部屋の空気は安らいだものの、それと同時に先生に怒られたショックと入り交じり、内心大混乱は続いていたとSさんは言います(笑)

「さっさと寝ろ!」

そう言って、部屋を出る先生がパチンと電気のスイッチを押すと、さっきまで煩いほど点滅していた電気が当たり前のように消えました。

先生の登場でパニックは収まったものの、流石に気味の悪さは残ったままで、その夜は全く眠れなかったそうです。

翌朝、SさんはIさんに話し掛けました。

昨夜、Iさんが本当に洗濯物を外に干したのか確認したかったからです。

するとIさんは「うん、干したよ。これから取り込むとこだよ」とSさんに伝えました。

「良かった。そしたら昨日の電気のことはともかく、白い影はやっぱりタオルだったんだ」

そう安心して、Sさんは窓の外を眺め、そして愕然としました。

今まさにIさんが取り込もうとしているタオル、それは確かに外に干してありました。

ですがそれは、絶対に窓から姿を覗かせるはずがない、遠く離れた場所に干されていたそうです。

じゃああの白い影は何だったの?

何か別なものが窓の前を横切ったの?

Sさんは急に怖くなり、それ以上Iさんには何も言わずにその場を離れました。

幸いなことに、その後の合宿中に特に何か起こることもなく、誰もがあの夜のことはゆっくりと忘れていったようです。

ただSさんは、この話を聞かせてくれた後で、こんな事を言い加えました。

「これは良かったのかどうか分からないんだけど…あの騒ぎの中ね、Iさんは一人だけぐっすり眠ってたの。朝になって寝不足の私たちを見て「何かあったの?」って言うくらいぐっすりね。もしあの時、Iさんが起きていたら、すぐにその白い影が洗濯物ではないって事が分かったと思う。そしたらあの騒ぎはもっとエスカレートしていただろうね。でも何故かみんな、Iさんを起こして確認しようなんて思わなかったし、Iさんだけがぐっすり寝ていたことも不思議には思わなかったんだよね。」

合宿最終日の日、Sさんは先生か誰か大人の人から、こんな話を聞いたことを覚えているそうです。

「ここは標高の高い山に近いこともあって、登山者が多い。それに冬になると雪が降ってスキーも出来るんだ。」

「ただ、そのせいもあって、遭難者や雪崩に巻き込まれて亡くなる人も多い。その遺体の数によっては、みんなが授業を受けていたこの体育館に、一時的に安置する場合もあるんだよ。」

Sさん達が体験したことって、その事と何か関係があったのでしょうか?

時々、この話を思い出すと、どうしても考えてしまうことがあります。

何故その夜、Iさんを無理にでも起こして直接確認しなかったのか?

白い影がタオルではないことが分かったら、みんなどうしていたのだろうか?

もしかして、確認しに外に出ていたのだろうか?

そうしたら・・・

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