【怖い話|実話】短編「祖母の里帰り」不思議怪談(鹿児島県)

【怖い話|実話】短編「祖母の里帰り」不思議怪談(鹿児島県)
投稿者:うーたん さん(20代/女性/フリーライター)
体験場所:鹿児島県種子島

私の祖母は、鹿児島県の種子島出身です。
種子島はとても自然が豊かでのどかなところです。

祖母の父は祖母が幼い頃に亡くなったため、祖母はずっと長い間、母(以下、ひいおばあちゃんと言います)と妹と3人で暮らしていました。米を育てたり、牛の世話をしたりして、自然に囲まれて生活していたそうです。

そんなある日、祖母はひいおばあちゃんから、高校卒業後は都会に出て働くようにと言われたそうです。
いきなりそんなことを言われた祖母は、びっくり。

どうやら、この時ひいおばあちゃんには、若いうちに都会を見ておいた方が我が子の為になるという考えがあったそうです。つまり『可愛い子には旅をさせろ』ということだそう。

ひいおばあちゃんに言われた通り祖母は高校卒業後、横浜でOLとして働くことになりました。

しかし、都会に移り住んで直ぐの頃から、慣れない都会暮らしや仕事に疲れてしまい、祖母は次第に田舎に帰りたいと思うようになっていったそうなのです。

ここまではよくある上京物語なのかもしれませんが、話はここから少し不思議な方へ向かいます。

後になって祖母が、祖母の妹から聞いた話なのですが、それがちょっと奇妙なんです。

当時の祖母は、毎日のように田舎に手紙を書いては故郷に想いを馳せて泣いていたと言います。

【怖い話|実話】短編「祖母の里帰り」不思議怪談(鹿児島県)-1
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そんなある日、種子島の実家にて、祖母の妹が家の前に立っている祖母の姿を見つけたそうなのです。

【怖い話|実話】短編「祖母の里帰り」不思議怪談(鹿児島県)-2
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横浜にいるはずの姉が急に帰ってきたと思った妹は、まずは家の中に入るよう促すのですが、祖母は泣いてばかりいて決して家には入ろうとしません。

【怖い話|実話】短編「祖母の里帰り」不思議怪談(鹿児島県)-3
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なぜ家に入らないのかと理由を聞くと、「お母さんに怒られるから。」と繰り返すばかり。

結局、そのまま祖母は家に入ることなく帰ってしまったそうなのですが、後日、妹からこの話を聞いた祖母は驚きました。
だってその日、祖母は種子島の実家には帰っていないのですから。その日は確実に横浜にいたと祖母は言います。

「想いが強すぎて幽体離脱してたのかもねぇ。」

私にこの話をしてくれた時、祖母はそう言っていました。

強い思いが、本人も知らないどこかで勝手に何かを生み出すことがあるのかもしれない…私もそんな風に思いました。

こんな不思議体験があった後、祖母は横浜で祖父と出会い、結婚しました。
2人の間には母が生まれ、そして今の私があります。

だから、我が子を都会に送り出したひいおばあちゃんや、辛い時も1人横浜で頑張った祖母に、私はどれだけ感謝してもしきれません。当時の祖母が本当に田舎に帰っていたら、私は生まれていなかったのですから。

現在は祖父母も高齢になり、あまり頻繁に里帰りすることも出来なくなりましたが、今でもたまに種子島に帰ってはお土産を買ってきてくれます。

私も大人になり、今は地元を離れていますが、いくつになっても故郷とは特別な存在なんだなぁと実感しています。

因みに今のところ、私は幽体離脱したことはありません…多分。

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