
体験場所:埼玉県さいたま市
15年ほど前、祖父が病気で亡くなりました。
祖父と二人で暮らしていた祖母は、一人になりましたが、今までと変わらず同じ家に住んで生活していました。
これは、その当時の祖母から聞いた話です。
ある日、祖母がスーパーへ買い物に出かけようと、車に乗っていつもの道を運転していたそうです。
大通りの交差点に差し掛かり、大通りが青信号、交差する祖母が走っていた小道が赤信号だったので、停車して信号が変わるのを待っていました。
少しすると信号が青になったので、さぁ出発しようとアクセルを踏もうとした瞬間、なんと目の前の大通りを信号無視した車が物凄い勢いで走り抜けていったそうです。
もしも祖母がもう少し早くアクセルを踏んで発車していたら、もしも信号無視の車がもう少し遅れて突っ込んできていたら、間違いなく避ける間もなく車同士が激突し、大事故になる程の猛スピードだったそうです。
そう話す祖母は、少し震えるように言っていました。
「あと一歩タイミングがずれていたら、間違いなく私は生きてはいなかった。本当にヒヤッとして恐ろしかった」
そんな間一髪な出来事の後、祖母は普段から持ち歩いているカードケースを見て驚いたと言います。
祖母のカードケースの中には、免許証や診察券、他にも色々なカード類が入っいたのですが、そのカード類の真ん中には、生前の祖父からもらった仏様が描かれた金色のお守りが入っています。
危うく事故に遭いかけた日も、そのカードケースを携帯していたそうなのですが、事故を偶然回避できたその後で、何かの用でカードケースを開いた時、中にあった仏様のお守りが縦に真っ二つに割れていることに気付いたそうです。
私も実物を見せてもらいましたが、前後の診察券やカード類は全く損傷を受けていないのに、そのお守りだけがパキッと2つに折れていました。
もちろんそのお守りは、カードケースにしまってはいたものの、他のカード類のような紙やペラペラの薄い素材のものとは違い、割ときちっとした金属のような、固く厚みのある素材で出来ており、これが割れるの…?と、私は割れたお守りを前に少し信じられない気持ちでした。
祖母が言うには、この前見た時は間違いなく割れていなかったと言います。
やっぱりあの時、この仏様と亡くなった祖父が事故から守ってくれたんだ!と、祖母はそう感じたそうなのです。
私は、あまりそういう空想のような話は基本的に信じないタイプなのですが、小さい頃から可愛がってもらった優しい祖父なら、空の上から祖母を守ってくれたというのも有り得ない話ではないかも、と妙に納得してしまいました。
あれから15年経った今、祖母は歳をとりましたが、祖父の見守りもあるおかげか、今でも元気に過ごしています。
そしてあのお守りは、今でも大切にとってあるようです。
以上が私が唯一信じている不思議な話です。
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