【怖い話|実話】短編「煙草」不思議怪談(長崎県)

【怖い話|実話】短編「煙草」不思議怪談(長崎県)
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投稿者:Yuki さん(30代/女性/主婦)
体験場所:長崎県南島原市

これは私が高校生の時に体験した話です。

私には、一緒に住んでいる祖父がいました。
祖父は当時、胃潰瘍が原因で家でほぼ寝たきりの状態でしたが、最期は病院で家族に見守られながら安らかに亡くなりました。

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その頃、亡くなった祖父の母(私の曾祖母)はまだ健在でした。
ただ、1人暮らしだった曾祖母は晩年の祖父と同じくほぼ寝たきりの状態でしたので、家族で話し合った末に、息子の死はあまりに悲しみが大きく曾祖母の具合を悪化させかねないとして、祖父が亡くなった事は秘密にしておいたのです。

こうして曾祖母には秘密のまま、祖父の葬儀を滞りなく済ませ、それから数カ月が過ぎた頃でした。
初盆を迎え親族一同が集まったのを機に、みんなで曾祖母の家を訪ねたのです。

曾祖母「今日はトオル(祖父)は一緒じゃないの?」

私「今日はおじいちゃん、ちょっと体調が悪くてお家で休んでるんだよ」

当然聞かれるとは思っていましたが、いざ実際に曾祖母に嘘を言うと心苦しさが募ります。
心の中で「ごめんね…」と思いながら、その日はみんなが嘘をつきました。

すると曾祖母は残念そうな表情を浮かべながら、

曾祖母「そうなの…。実は昨日ね、トオルが夢に出てきてね」

家族一同「えっ!?」

なにか意味深なタイミングに、みんなの表情が固まりました。

曾祖母「そこに座ってね、黙ってタバコ吸ってるだけなんだけどね」

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私「…へ、へ~、そ、そうなんだ~」

出来る限り動揺を隠したつもりでしたが、みんな笑顔が引きつっていたと思います。

曾祖母の家から帰る道中、

母「なんか、怖かったね…」
私「うん、ちょっとね。おじいちゃん、おばあちゃん(曾祖母)に会いにきたのかもね」

そんなことを話しながら帰りました。

(もしかしたら、おじいちゃん、おばあちゃん(曾祖母)が自分の死を知らない事が寂しいのかな?)

悶々と、そんな思いを抱えながら日々は過ぎ、次第にそれも忘れかけてきた頃、思いもよらない事件が起こりました。

曾祖母の家が火事で全焼してしまったのです。

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曾祖母は大火傷を負い直ぐに病院に搬送されましたが、その数日後に亡くなってしまいました。

後に原因は、曾祖母の寝タバコだと聞かされました。

タバコ・・・
確かに曾祖母はタバコを吸う人でしたが、寝たきりになってからその数はだいぶ減っていたと思います。

まだ祖父の死から間もないことや、それに曾祖母の夢の話が頭をよぎり、「もしかしたらおじいちゃんが連れて行ってしまったんじゃ…」と、そんな事あるわけないと思いながらも、どうしてもそう考えずにはいられませんでした。

そんな時、火事を目撃していた近所の方からこんな話を聞いたのです。

近所の人「お家が火事の時にね、この辺では見かけない男の人が火の中に飛び込んで行ってね、おばあちゃんを助け出してくれたんだよ。名前を聞いたんだけど、名乗らずに何処かへ行っちゃったのよね。ケガしてないといいんだけどね~。」

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それを聞いた両親が、お礼をしないといけないからと方々を聞いて回りその男性を探したのですが、結局、見付ける事はできませんでした。

ただ、そのことを切欠に、私はある想像に至ったのです。

真実は分からないし、なんでも亡くなった祖父に結びつけるのもどうかと思います。
でも、もしかしたら、曾祖母の夢に現われタバコを吸っていた祖父は、曾祖母にタバコに気を付けるように注意してくれたのかもしれない。
それに、曾祖母を火の中から助けてくれた男性、さすがにその方が祖父だったとは言いませんが、もしかしたら、祖父が導いて連れてきてくれた人かもしれない。
そんな風に思ったのです。

結果的には曾祖母は助かりませんでしたが、天国で祖父に会えているといいなと思います。
祖父がいることにまずビックリするでしょうけど、曾祖母なら黙っていた事も許してくれると信じています。

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