【怖い話|実話】短編「大泣き」不思議怪談(神奈川県)

投稿者:にこにこねこさん さん(50代/女性/主婦)
体験場所:神奈川県横浜市 青葉台駅北口周辺

今から20年あまり昔のこと。

妊娠を機に、都心から東急田園都市線沿線のあざみ野駅に移り住んだ私は、子育てと仕事の両立をはかりながら郊外の暮らしを満喫していました。

とは言え、子供の保育園探しの際は困難を極めました。
子育てのため、週2日の出社の他は自宅勤務の嘱託扱いにしてもらったのですが、正社員でないことがネックとなり、公立保育園への入所はムリ。
会議などのテープ起こしの仕事に集中するためには、どうしても子どもを保育園に入れる必要があり、探し回ったあげくようやく見つけたのは、3駅離れた藤が丘駅の街にある私設保育園でした。

ただ、ようやく見つけた保育園でしたが、まだ転居から間もなく田園都市線沿線の地図が頭に入っていなかった私は、保育園への送迎時に道に迷うことも多々ありました。

それでも子どもを保育園に預けた後は、(今日は自宅仕事だからいいや)と、通りすがりのカフェに車を停めてコーヒーを頂く、なんてゆとり時間も確保することが出来たのですが・・・

そんなのんきな気分が見事に覆されたのは、11時にクライアントの来社を控え、10時30分の出社を予定していた日のことでした。

保育園に子供を預ける
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いつも通り8時に保育園に子どもを預けたまでは良かったのですが、同じ道を帰る途中で道路工事が始まってしまい、迂回している内に道に迷ってしまったのです。

国道246号に出て渋谷方向に走れば良いだけなのに、あたりは同じような戸建てが立ち並ぶ住宅街。迷いに迷った挙句、気付いた頃には保育園のある藤が丘駅より更に1つ離れた青葉台駅まで来てしまっていました。

時刻を見ると8時半を過ぎていて、(早く戻らなきゃ!)と気持ちは焦るのですが、ふと気付けば青葉台駅周辺の道をぐるぐると回っているばかりで、時間だけが刻々と過ぎて行きます。

そんな時、まるで天啓のようにとある名案がひらめきました。

『自宅に戻らず、青葉台駅に近い駐車場にクルマを預け、そのまま出社しよう』

すぐに駐車場を探し始めると、駅の近くに『○○○青葉台』という商業ビルの駐車場を見つけました。
(良かった~)と安心し、急いで駐車場に入り、ようやく車を止めたその時でした。

私は突然わけもなく悲しくなり、想像を絶する量の涙が溢れ出してきたのです。

ワケもなく溢れる涙
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『迷子になって情けない?』
『遅刻が恥ずかしい?』

そんな気持ちよりもっと激しい感情に襲われ、私は人けのない駐車場で声を上げて泣きじゃくってしまったのです。
9時過ぎには電車に乗らなきゃいけないのに。

その後、昂った感情をなんとか落ち着かせ、化粧を直し、電車に乗り込みました。
会社に到着したのは11時を5分ほど回った頃でした。

すでにクライアントがお待ちでしたが、穏やかな方で、お叱りもなく、その後ビジネスランチへと向かいました。

なごやかな雰囲気の食事は心地よく、会話はプライベートな部分にも及びました。
そこでクライアントが少し前まで青葉台にお住まいだったことを知り、ついつい気を許し、今朝の迷子の件を話してしまった私。
するとクライアントは笑顔でこんなことを話されたんです。

「○○○青葉台のあたりは、かつては仏山(ほとけやま)という処刑場があったと言われていて、そのせいか今でも怪現象の噂が絶えないようなところなんですが、〇〇さん(私)が道に迷われたのもそんな影響かな?」

処刑場跡の噂
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そう言って、私の顔を覗き込むクライアントに、迷子の件は話せても、さすがに『泣きが止まらなかった』とは言えませんでした。

無事にクライアントとも別れた後、改めて私はその日の出来事を思い返し、色々と不思議な思いが湧いてきました。

『なぜあんなに唐突に悲しくなったのだろう?』
『なぜ大泣きが止まらなかったのだろう?』
『なぜ同じ場所をぐるぐると回っていたのだろう?』

食事の席で、“怪現象の噂が絶えない”と話されたクライアントに、「どんなお話をご存じですか?」なんて悪ノリで聞いてみてもよかったかな。

お化けの存在を信じることのない私にとって、理由の分からない恐怖を感じた思い出は、これまでの人生で後にも先にもこの『○○○青葉台』で起きたことだけです。

ちなみに「仏山」の刑場としての歴史などは、様々な言い伝えはあっても、史実は不明なのだそうです。

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