
体験場所:神奈川県川崎市高津区
これは私が中学時代に体験した話です。
当時、勉強がとても苦手だった私は、学校に行くのが本当に嫌で嫌で仕方ありませんでした。なので、いつも朝起きてから学校行くまでの間もダラダラしてしまい、母親に怒られることも多かったです。
その日も私は学校に行きたくなくて、テレビを見ながらいつものようにダラダラ朝を過ごしていました。そのうち、気が付くと時計の針は8時を回っていて、仕方なく私は自分に鞭打ち、急いで歯を磨き、着替えて家を飛び出しました。
家から学校までは歩いて10分弱の距離。走れば5分程で着くはずです。
8時15分に家を飛び出した私は学校へとひた走りました。
坂道を登って橋を渡り、微かに学校が見えてきたところで、突然予想外の人物とすれ違ったのです。
それは、私の父の妹。
所謂、叔母さんでした。
すれ違った瞬間、私の頭の中を幾つかの疑問が駆け巡りました。
「どうしてこんな時間に?」
「なんでこんな場所に?」
「どうして声をかけてくれないの?」
なんだか内心気味の悪い感覚が蠢きましたが、無視するのもおかしいと思い、咄嗟に振り返って「叔母さん?」と声をかけました。
しかし、叔母さんは私の声に全く反応することなく、そのままただ前を向いて歩き去ってしまいました。
不信には思いましたが、遅刻しそうだったこともあり、「他人の空似かな」と、ひとまず自分を納得させて、私は再び学校へ向かって走りました。
なんとか時間ギリギリ学校に到着できて一安心。
しかし、先程の叔母さんのことがどうしても気になってしまい、その後の授業にも全く身が入りませんでした。
放課後、陸上部に所属していた私は、グラウンドを走り込んで気分をリフレッシュ。
夕方頃に部活を終えて、制服に着替えて一人下校していると、朝、叔母さんとすれ違った問題の場所で、またしても叔母さんとすれ違ったのです。
すれ違うまでの間、その髪型から顔の造形、佇まいなど、隅から隅までチェックすると、やはり間違いなく叔母さんそのものだったので、今度こそ私は確信を持って「叔母さん!」と強めの口調で声をかけました。
しかし、やはり叔母さんは朝と同じで、私の言葉に全く反応を示すことなく、振り返りもせずにそのまま向こうへ行ってしまいました。
「絶対におばさんだよな…」
と、内心モヤモヤした気持ちを抱えたまま、私は再び家路につきました。
帰宅すると、家族はまだ誰も帰ってないようで、家は真っ暗なまま。
私はいつものように洗面所で手洗いうがいを済ませ、リビングへと向かいました。
すると、リビングにある電話機のランプがぼんやり点滅していることに気が付きました。
なんだか胸の奥でざわざわとした感情が湧いてきます。
でも、本能的に我慢できず、勢い任せに私はその点滅しているボタンを押してしまいました。
すると、録音された留守番電話のメッセージが自動再生されました。
「もしもし、〇〇です」
「今、北海道に友人と旅行中なので、お土産楽しみにしててね」
という、旅先からの叔母さんの声でした。
私はその声を聞いた瞬間、背筋がゾクっと凍りつきました。
・・・そしたら私が今日すれ違った人物は、一体誰だったのか?
他人の空似にしては、もの凄く似過ぎていたわけで、もしかしたら私は叔母さんの生き霊を見てしまったのか?
結局、今となっては分かりません。
あの時すぐに叔母さんの後を追いかけていれば真相が分かったのかも?と、今は少しだけ後悔しています。
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