【怖い話|実話】短編「いかにもUFO」不思議怪談(広島県)

【怖い話|実話】短編「いかにもUFO」不思議怪談(広島県)
投稿者:平等院パラダイス さん(40代/女性/会社員)
体験場所:広島県H市

UFOを見た話をします。

たいていのUFO目撃情報は、夜空に浮かぶ怪しげな発光体であったり、遠い上空に浮かぶ白い小さな点が不可解な動きをしたあと高速で消えたり、といったものだと思うのですが、私の場合は違いました。

窓の形まではっきりと見えるほどの近距離で、私はUFOを目撃したのです。

それは私が小学6年生の時でした。
夏休みだったその日、広島県H市にある祖母の家に親戚一同が集まっていました。

夜、近所のお祭りに行こうという話になり、私は歳の近いいとこ3人(Aちゃん・Bちゃん・C君)と、祭り会場までの夜道を歩いていました。

祖母の家から祭り会場までは歩いて10分程。
少し向こうには樹木が鬱蒼と生い茂った小さな山が連なる景色が広がっています。
そんな田舎道をいとこ達とワイワイ話しながら歩いている時でした。

ふと目線を上げると、すぐ目の前の小山の背後から、ふらふらと大きな物体が上ってくるところでした。

それは驚くほど分かりやすいUFOの形をしていました。

帽子のようなフォルムをした、いわゆる『アダムスキー型』。
側面には丸い小窓が等間隔に並んでおり、その窓から七色の光が周囲に散光しています。
基底部からも光を放射しており、それが非常に明るくて、夜闇で黒々としている木々とのコントラストは凄まじく印象的でした。

丘の稜線から少し上の空中に浮かび、不安定な様子でゆらゆらとホバリングするそれは、アラレちゃんの漫画にでも出てきそうな『いかにも』といった感じのUFOでした。

UFOとの距離は50m程だったと思います。その距離で目にした第一印象は「すごく大きい…」でした。

インディペンデンスデイに出て来るUFOほど巨大ではありませんが、それでもジャンボジェット機ほどのサイズはあったと思います。

しばらく唖然とそれを眺めていた私が「なんなのアレは…」という衝撃の次に感じたものは、恐怖でした。

もし判別できないくらいの距離で遠巻きに見えたのなら「あれ…UFOかしら?!」と、いとこ達と一緒に騒いで面白がっていただろうと思います。

しかし、今目の前に現われたそれは、嘘くさいほど明らかなUFOです。
得体のしれない巨大な飛行物体を目の前にし、何が起こるか分からないという恐れが好奇心より先立ちました。

「UFOだ!!」

そう叫んで私はその巨大な飛行物体を指差しました。
いとこ達は一斉にその先を見上げ、一瞬凝視した後、

「うわー!!」
「ギャー!」

と口々に叫んで走り出し、私たちはそのまま祖母の家まで走って逃げ帰りました。

今思えば、もっと観察すればよかった、どこに向かっていたのか確認すればよかった、などとも思えるのですが、その時はそんな余裕はありませんでした。

「逃げなければやられる」

そんな気持ちでいっぱいで、心の底から怖かったのです。

祖母の家に戻った後、叔父や叔母に「UFOがいた!」と口々に訴えましたが、大人たちはだれも本気で取り合ってはくれませんでした。

話はそれから15年後になります。

親戚の法事で久しぶりに親族が一堂に会した時のことです。
当時、一緒にお祭りに行こうとしたいとこ達も全員集まっていました。

いとこ達はみな社会人になり、結婚して子供までいる子もいました。
こうやっていとこ同士4人が全員集まるのは本当に久しぶりだったので、近況報告から始まって、子供の頃の思い出話に花が咲きました。

そんな時、ふと、私はあの幼い頃に見たUFOのことを思い出し口にしたのです。

「そういえばお祭りに行く時にさ、大きなUFO見たよね!あれは凄かったね~」

するとAちゃんが、

「あ~そんなことあったねw」

と笑って言いながら、

「実は私、あれ、見てないのよ。平等院ちゃん(私のこと)が、UFOが出たって言うから…話を合わせてたの」

・・・そんなことを言うんです。

「え?でも、すごい大きかったでしょ?山際のところで七色に光ってて?」

私は焦ってもう一度Aちゃんに問うと、

「UFOって言われてそっち見たけど、何も見えなかったよ?でも、平等院ちゃんがキャーって走って逃げるから、釣られてというか…」

私は唖然としました。

(あんなにはっきりと光を放っていたUFOが見えなかったのか…?いや、そんなはずないでしょ…)

と、今度はC君の方に目を向けると、

「俺も何も見えなかったな~。平等院ちゃんが怖がるから俺もなんか怖くなっちゃって、つい釣られて逃げちゃったんだよな~。」

なんて、照れ笑いを浮かべて言うんです。

Bちゃんに至っては、

「…そんなことあったっけ?」

と、まるで何も覚えていない様子です。

私は混乱しました。

当時、4人の中で一番背が低かったのが私でしたので、目線的にも私以外の3人の方がむしろ良く見えたはずです。
というか、背丈がどうこう関係なく、あの近距離で、あんな大きな物体が空に浮いていて見えないはずがありません。先にも書きましたが、UFOはジャンボジェット機ほどの大きさがあり、七色の光を放っていて、これでもかというくらい存在を主張していたんです。

それが見えなかったって・・・どういうこと・・・?

3人が口裏を合わせてシラを切っているのかとも思いましたが、そんなことをする理由が全く思いつきません。

それなら、なぜ「見えない」と当時は言わなかったのか、という小さな不満も残りますが、そんなことより今は、そもそもあんな大きくて派手な光を放っていた物体を「なぜ他の3人には見えていないのか?」ということの方が気になります。

でも、いくら考えてもその答えが出るわけもなく、私以外の3人の中では存在しないUFOの話がそれ以上盛り上がるわけもなく、すぐに話は別の話題に流れていきました。

以上が私の不思議なUFO体験です。

いとこたちが未知の存在を恐れ記憶を封印したのか…
それとも、私がUFOの幻覚を見たのか…
はたまた、私がいとこたちの注目を集めるために「UFOがいる」と嘘をつき、後に本当に見たかのように自分の記憶を改ざんしてしまったのか…

正直、その全てがしっくりきません。

ただ、あの七色の光を放っていた巨大な飛行物体の姿は、今も間違いなく私の記憶に残っています。

山の背後から上ってきて、山の稜線に沿って行き先を定めるかのようにゆらゆらホバリングしていたそれは、今考えると離陸したばかりだったように思います。

当時は思いつきませんでしたが、この文章を書きながら、あれが浮かび上がってきた場所の下に、もしかしたら何かがあるのかもしれないと考えています。

今度、祖母の家に帰省した際は、あの場所を調べに行ってみようと思います。

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