
心霊スポット:三重県津市 旧青山トンネル(総谷トンネル)と青山トンネル
私が住む三重県にはとても有名な心霊スポットがあります。
国道165号線を奈良方面から津方面へと走ると見えてくる『青山トンネル』です。
今でも肝試しに訪れる人が後を絶たない人気の心霊スポットなのですが、普通に生活しているとよく通るトンネルなので、地元の人はさほど気に留めていない場所です。
なぜここが心霊スポットと呼ばれるようになったのかというと、実は元々曰くが付いたのは、この自動車用の青山トンネルではなく、近くにある列車専用のトンネル『総谷トンネル』でした。
すでに廃線になっている総谷トンネルは、昭和46年に壮絶な列車事故があり、25名もの死者を出したという歴史があります。
総谷トンネルは通称『青山トンネル』と呼ばれていた為、一般的には『青山トンネル事故』とも呼ばれており、それが近くにあった自動車用トンネルの『青山トンネル』に結び付いてしまったのです。
とはいえ、この車用の青山トンネルでも幽霊目撃談が後を絶たず、実際に心霊スポットとして有名になったようです。
青山トンネルは今でも多くの車が行き交い、私たち家族も頻繁に通るのですが、さすがに廃線となっている総谷トンネルには馴染みがなく、行こうとも思わない場所でした。
それが、数年前の夏の夜、久しぶりに高校時代の友人A子と食事へ出掛けた時のことです。
A子の車で店へ向かう途中の車内で、子供のこと、仕事のこと、趣味のこと・・・他愛ない話で盛り上がっていたのですが、どういう経緯だったか覚えていませんが、A子が彼氏と夜ドライブに行ったという話を始めたんです。
その日は目的地もなくぶらぶらとドライブをしていたそうで、たまたま青山トンネルを通ったそうです。すると彼氏が『総谷トンネル』の話を始めたのが切欠で、これから行ってみようとなったそう。
総谷トンネルは、廃線にはなってはいますが今でもその場所を訪れることはできるそうなのですが、その雰囲気はもう完全に『絶対出る心霊スポット』だったそうです。
朽ち果てたトンネル内部には事故の痕跡が残り、私はネットで見ただけですが、正直そんな所よく行くよ…と思いながらA子の話に耳を傾けていました。
総谷トンネルでは絶対に心霊写真が撮れるという噂が有名で、早速二人はスマホで何枚か撮影したそうで、A子はその何枚かを私に見せてくれました。
さすがにトンネルの奥深くまでは入れなかったらしく、写真には、入り口付近を写したものや、生々しく壁に残る傷痕などが写っていました。
「これはオーブに見えるね。」
なんて最初は無理にこじつけて話してはいたものの、特に決定的なものは写っておらず、
「まぁこんなもんやね。」
と、私は少々飽きてしまいました。
するとA子が
「ここが、見るたびに色が変わってる気がしてさぁ。」
と、ある写真の左端の方を指さしました。
それはトンネル入り口の端っこに立つA子を写したものなのですが、A子の肩の辺りが青白くもやがかかったように見えます。
とはいえ、それが手に見えるなんてこともないし、写真全体的に虫が飛んでいるようで、それがオーブに見えなくもない程度の感じだったので、
「気のせいでしょ」
と、私は特に取り合うこともありませんでした。
それから店について食事を終え、再びA子の車に乗り込んだ時です。
私たちは今から青山トンネルを通って帰るのだということに気が付きました。
「なんか怖いね~」
なんて笑いながら、そのまま車を発車しました。
快適な夜道のドライブを楽しみながら、車がいよいよ青山トンネルに差し掛かった時、
「ん?」
A子が変な声を出すので、
「何?」
と聞くと、
「今、トンネル入る時、入り口の上に顔なかった?」
と、ちょっとおかしな声色で言うんです。
「はいはい、ないよそんなの。」
と私は笑ってしまいましたが、A子は怖い顔したまま、
「ちょっと戻ってみよ」
と言います。
(何もそこまで…)
と私は思ったのですが、A子はトンネルを出たら直ぐに車をUターンさせ、無言のまま再び青山トンネの中へ入っていってしまいました。
そのままトンネル内を走り、再び最初に入ってきた入り口が見えてきた時でした。
A子が突然車のスピードを上げたんです。
私も言葉を出せずにいました。
そのまま最初にくぐった入り口から飛び出して、その先にあるコンビニまで猛スピードで車を走らせました。
コンビニの駐車場に車を停め、一呼吸おいて、
「いた…よね…?」
「いた…」
私たちは互いに顔を見合わせ確認し合いました。
確かに私たちが最初にくぐったトンネル入り口の上部に、女の顔が浮かび上がり、通過する車を見下ろすように覗き込むのがハッキリと見えたんです。
二人とも初めての体験に恐怖と興奮が入り交じっていたと思います。
「ついに見てしまった…」
徐々に興奮も冷め、自分たちが見たものを冷静に思い返してブルッと身震いした時、スピードメーター横のスマホスタンドに置いてあったA子のスマホがパッと点灯しました。
その液晶には、さっきA子が見せてくれた総谷トンネル入り口で撮った写真が表示されていました。
しかも、色が変わる気がするとA子が言っていた肩の青白かったもやが、オレンジ色に変化していたんです。
ゾクッとしました。
全身に一気に鳥肌が立つのが分かりました。
A子は「なんで…なんで…」と言ってパニックになっています。
私もどうしていいか分からず、とりあえずA子に急いで先日撮った総谷トンネルの写真を全て消去させました。けど、それだけで良いとも思えず、A子に彼氏と一緒にお祓いに行ったほうがいいよと伝えました。
その日、家に帰ってからもトンネルで見てしまったものが頭から離れず、自分には影響がないだろうかと不安で堪りませんでした。
数日後、A子から彼氏とお祓いに行ってきたと連絡がありました。
消した画像が復活していたとか、車に手形がついていたとかいうこともなく、A子も私も今のところ無事に過ごしています。
A子は、軽い気持ちで心霊スポットに行くのは良くない、もう二度と総谷トンネルへは行かない、と言っていました。
私たちが見たものが本当に心霊現象だったのか、今となっては確かめようもありません。ですが、総谷トンネルでは確かに悲惨な事故がありましたし、大勢の人が亡くなったのも事実です。そういう場所へ好奇心で行くべきではないと、心から思った体験でした。
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