
体験場所:新潟県新潟市秋葉区
私の両親は新潟県の出身で、お盆にその実家に帰った時の話です。
親戚一同が集まって、夜はいびきで騒がしく、寝る前は前で大人たちがわいわい飲んだくれて騒がしい。そんな日が続いたある夜のことです。遊び疲れて眠たくなった子どもたちを、1番年長の私が2階の寝室へまとめて連れていきました。
布団に入ってお話をしていると、みんな早々に眠ったようでした。
私も何だかうとうとして、眠ろうと寝返りをうっていると、誰かが階段をパタパタ上がってくる足音が聞こえました。
『あ、誰か大人が様子を見に来たのかな?』
そう思って、目を開けずに横になっていると、ガラガラと戸が開き、ガラガラと戸が閉まる…
『ん?なんだかおかしいぞ…?』
なにかは分からないけど違和感を感じたその瞬間、体がぎゅぅぅぅと縮こまるような感覚に襲われて動けなくなったのです。
『え?え?これって…金縛り?こわいこわい!むりむりむり!』
目も開けられないまま恐怖に怯えていると、トットットッという足音が近付いてきて、私の頭の上で止まる。
『これはやばいやつ…』
そう思いながら、金縛りに遭った時は心のなかで南無妙法蓮華経を唱えると解けるんだよ。と誰かに聞いたのをハッと思い出し、
『南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経…』
そう夢中で唱えました。
その時、恐怖で取り乱している私の頭をふっと誰かが撫でたのです。
一気に恐怖心が消えるのが分かりました。
優しく撫でてくれた“誰か”は、そのままトットットッと遠ざかると、ガラガラと戸を開けて、トットッと外に出ると、またガラガラと戸を閉めて去っていったようでした。
ようやく体が言うことをきくようになった私は、すぐに1階の母の元へ。
この不思議な体験を、そこにいた母と叔母にシドロモドロ話したら、
「その歩き方、ひいじぃちゃんだわ~」
「ひいじぃちゃん、つま先で歩くんよね~」
そう言って笑い転げていました。
『やっぱり…』と、私は安堵と喜びが入り混じり、ひいじぃちゃんが頭を撫でに来てくれたんだと思うと嬉しくなって、ようやく笑顔になれたのです。
それから新潟の実家へ行く度に、その話で盛り上がりますが、結局、金縛り体験はその時の一度だけ。
またひいじぃちゃん来ないかなぁ、ひいばぁちゃんと一緒に来ないかなぁ、なーんて思ってはいるけど、なかなか来てくれないものですね。
コロナ禍になってからは前みたいには帰れていないので、またお盆の時期にお手伝いも兼ねて、私の子どもたちも連れてゆっくり訪ねたいなぁと思っています。
金縛りは疲れが原因という話も耳にしたことがありますが、あの時は明らかにひいじぃちゃんの優しさを感じたので、いろんな理由が合わさって起こる現象なのかなーと思いました。
以上が、怖かったけど嬉しくもある、私の初めての金縛り体験でした。
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