
体験場所:北海道網走市
以前、北海道の網走市で暮らしていた頃の話です。
当時、2歳だった息子を部屋でなにげなく撮影した動画に、不思議な様子が映し出されていました。
映像には息子以外誰も映っていません。それなのに、息子は話したり笑ったり、明らかにそこにいる誰かと遊んでいる様子でした。
撮影した時は1人遊びをしているんだろうと思いカメラを回していたのですが、後から見返すと、息子の視線は自然に何かを追うように動いていて、確かにそこに誰かいるようなのです。
その日からでした。
息子の不可解な行動が始まったのは…
まず息子はおやつを受け取る時、「もう一皿ちょうだい」と必ず催促するようになりました。
(おままごとでもするのかな?)と思ってもう一皿渡すと、なぜかそれを押し入れの前に持って行き、襖を開けて食べるようになったんです。しかも1人なのに、なぜか会話していたり笑いながら食べているんです。
居たたまれなくなり、「何しているの?」と言って私が押し入れを覗くと、息子はニヤっと照れて、「ママはあっちに行って」っと言われました。
子供は2歳くらいの頃には1人遊びしたり、妄想で遊んだりすると聞いたことがあるので、あまり気にしないようにしていたのですが、日に日にそういった行動がエスカレートし、私はそんな息子を見て少し不気味に感じることもありました。
ある日、息子と買い物に行こうと玄関で靴を履いていた時です。
「あ!お友達にバイバイするの忘れた」
突然息子がそう言って靴を脱ぎ、再び部屋に上がり押し入れの前まで行くと、手を振って何かにバイバイをしているのです。
それを見て私は確信しました。
(誰かいる…)と。
聞いてはいけないような気がしましたが、私は意を決して息子に問いかけました。
「誰か…いるの…?」
すると息子は無邪気な顔で言いました。
「うん。いるよ!」
「女の子。頭から血が出てるの。」
「痛いんだって。」
ゾッとしました。
背筋が凍り、足元からゾワーっと鳥肌が立ち上がるのを感じました。
「…そう…なんだ。」
っと、私はなんだか事を荒立てたくなくて、冷静を装ったまま息子を連れて直ぐに家を出ました。
やはり息子には何か見えている…
しかもそれと一緒に遊んでいる…
そんな事を思うと、買い物から帰ってもそわそわして落ち着かず、出来るだけ何もなかったように家事をこなす事しか出来ませんでした。
その晩のことです。
息子と寝ていると、枕元で足音が聞こえました。
『ペタ、ペタ、ペタ…』っと素足で誰かが歩いているような音でした。
(主人かな?)っとも思いましたが、それが大人の足音にしては小さいと気付いた時、ゾクッと背筋に悪寒が走りました。
(息子と遊んでいた女の子…?)
そう思うと、一気に全身から汗が噴き出てきました。
私はひたすらジッと目を瞑り、何も気が付いていないよう装いながら、ただ時が経つのを待ちました。
終始意識を保てていたのか自分でも分かりませんが、気が付くと朝になっていました。
その日を境に、息子の1人遊びはなくなりました。
もしかしたらあの夜、息子と遊んでいた女の子は我が家を出て行ってくれたのかもしれません。
ただ、それ以降も息子には何か見えているのかもしれないという現象は度々続いたんです。
突然夜中に起きたかと思うと、暗闇を指差して「誰?」と聞いてきたり…
誰もいない空間で、大人の頭くらいの位置を見上げて「パパ、遊んで」と言ったり…
それでも3歳になる頃にはそういった言動もなくなりました。
本人にも以前は何か特別なものを見ていたという自覚もなさそうでした。
ただ、5歳になった今でも、
「昔、お兄ちゃんうちにいたよね?」
「もう一人のパパはどこに行ったの?」
などと、見たもの自体は記憶として残っているようで、時々そんなことを聞いてきます。
私が思うに、もしかしたら2歳くらいの子供には、この世のものではない何かが見えている子が多いのかもしれません。
でも、そうだとしたら、いったい我が家には何人の霊がいたのか…
もしかしたら、私たち大人には見えていないだけで、霊は当たり前のように私たちの近くにいるのかもしれない。息子との一連の体験で、私はそんなことを想像させられました。
因みに調べてみると、一人っ子ほど見えると言われているそうです。
うちの息子も一人っ子です。
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