【怖い話|実話】短編「父の告白」心霊怪談(兵庫県)

投稿者:みちょ さん(35歳/女性/主婦)
体験場所:兵庫県 某刑務所

私には今年65歳になる父がいます。
今も現役で仕事をしており、普段からとても優しい父です。

最近では父も歳を取ったからか、過去の話を色々してくれるようになったと感じていました。
ですが、父がそんな意外な一面を見せるようになったのは、これまでは私たち子供の成長の邪魔にならないように話さないでいたのだと、後になって知ることになりました。

これは先日、父から聞いた話です。

意外にも、父にも昔はやんちゃしていた時期があったそうで、その日もケンカ沙汰がうまく収まらずに警察に連行されてしまったそうなのです。
それがこじれにこじれ、刑に服すことになったのだと父は言いました。

この時点で、私は父の過去にびっくりしたのですが、話はここからでした。

父は兵庫県某市の山奥にある刑務所に入所することとなり、結婚前だった母は足繁くそこに足を運んだそうです。

冬場の刑務所内は耳に霜焼けが出来る程に寒く、本当に辛い日々を過ごす中で、父は自分のしたことを心の底から反省したそうです。

ある極寒の日のことでした。
父は夜中に腹痛を起こし、刑務官の方の付き添いで医務室に向かったそうです。

意識が朦朧とする中、ふと雪がちらつく外を眺めると、格子の向こうに広がる塀に僅かな隙間が開いているのが目に着いて、そこから外の世界がチラリと見えたのだそうです。

いくら塀の外とは言え、夜中の刑務所の周りなんて誰もいないはず。
でも父はその狭い隙間に何かが動くのを見たのだそうです。

塀の隙間から見える動く何か
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しかし、腹痛を我慢していた父にはそんなことを気にする余裕もなく、そのまま医務室に向かい処置をしてもらったのだそうです。

数日後、あの日見えたものが頭から離れずにいた父は、同じ部屋にいたAさんを誘い、例の、塀の隙間が見える場所まで行くと、消灯時間ギリギリまで塀の外を覗いていたそうです。
しかし、結局その日は何も見えずに父は首をかしげ、Aさんも何が何だかと首をかしげながら部屋に戻ったそうです。

それから数日が経った時のことです。

夜中に突然Aさんが父を起こすのだそうです。
それがものすごい剣幕で、父もその姿に飛び起き一気に目が覚めたそうです。

「さっき塀のすぐそばを通りかかったんだけど、完全に見た!!」

Aさんはそう言ったそうです。

その日Aさんも先日の父と同じように、頭痛がなんとも収まらず医務室のお世話になったそうで、その道中に見てしまったのだと。

「一体何が見えたんだ?!」

と父が聞くと、

「大勢の赤ん坊が裸でバク転してた」

とAさんは答えたそう。

季節は真冬。
大人でも耐え難いこの冬の夜に、なんで赤ん坊が裸でバク転なんだ?!と父は思ったそうです。

次の日、昨日Aさんが言っていたことがどうしても気になった父は、それとなく刑務官の人に聞いてみたところ、どうやら近くに水子供養のお寺があると知りました。

極寒の冬、深夜の月明りの元でワラワラと裸で遊びまわる嬰児の姿を思い浮かべ、父は震え上がり、それ以上このことについて詮索することは止めたそうです。

バク転する赤ん坊
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その後、Aさんは父より先に刑務所を出て、それ以来会ったことはないそうです。

なぜ父が私たち子供にその話をしなかったのかと言うと、結婚後、母は何度か流産を経験しており、今も近くの水子地蔵に通っています。

父は流産の原因を、(もしかしたらあの日、刑務所の中から見てしまったものが災いしているのかもしれない。)と危惧していたのだそうです。

その後、無事に生まれてきた私たちに何かあってはいけないと、刑務所の中でのことは自分の心の内に留め、亡くなった子供たちを供養し心を鎮めるために水子地蔵に通ったのだそうです。

寒い冬が来る度に、父は刑務所でのことを思い出しては心配したそうで、私たちが大人に成長したことを見届けた上で話が出来て、幾分スッキリしたような表情をしていました。

ちなみに父は出所後、心を入れ替えて真面目で優しく現在も過ごしています。

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