【怖い話|実話】短編「学校の七不思議?」心霊怪談(沖縄県)

沖縄県:学校の七不思議?
投稿者:まい さん(40代/女性/専業主婦)
体験場所:沖縄県那覇市の某小学校

私が小学5年生の時の話です。

当時、私が通っていた沖縄県那覇市のその小学校では、学校の七不思議やこっくりさんなど、怖い話やオカルト的なものが流行っていました。

こっくりさんは怖かったので誘われても断っていた私ですが、学校の七不思議には興味がありました。

それというのも、学校の七不思議が流行っていたその頃、色んな友達から七不思議について聞くことがあったのですが、そのどれもが微妙に違っていて、正確に七つではなかったからです。

例えば、Aちゃんから聞く七不思議とBちゃんから聞く七不思議では、五つは同じで二つは違っていたり、Cちゃんから聞く七不思議とDちゃんから聞く七不思議では、似てはいても微妙に内容が違っていたりするんです。
全く同じ内容の七不思議を語る友人は一組もなくて、一体どれが本当なのか日増しに気になっていったのです。

ある日の放課後、私と友達のMちゃんは、担任の先生の手伝いをすることになり帰りが遅くなってしまいました。

遅いと言っても夕方の6時前でしたが、秋も終わりが近付いていたその日の空は、どんよりと曇り、既に外は薄暗くなっていました。

そんな時、私は一つ思い付いたんです。
このタイミングだからこそ検証できる七不思議が一つだけあることを。

それは、夕暮れ過ぎて辺りが暗くなる頃、校庭にある用具置き場と呼ばれる小さな倉庫のところに、しゃがみ込んで泣いている古ぼけた服を着た男の子が現れるというものでした。

「絶対に話しかけちゃいけないよ!話しかけたら連れて行かれちゃうんだよ!」

そう言ってAちゃんが鬼気迫る表情で教えてくれた七不思議の一つでした。

普段ならまだサッカーとかしている男子がいてもおかしくない時間でしたが、その日は曇天のせいか校庭には既に誰の姿もなく閑散としていて、ロケーションはバッチリです。

それに、時間としてはまだ少し早いかもしれませんが、それでも既に薄暗くなった外を見ると、もしかしたらその少年がもう『出てる』んじゃないかと思えたのです。

とはいえ1人で確認に行くのはあまりにも怖かったので、一緒に残っていたMちゃんを誘ってみました。すると、やっぱりオカルトブームだったからでしょうか、Mちゃんも興味津々で、即決で一緒に行くと言ってくれたんです。

すぐに私たちは帰り支度をして、ランドセルを背負い意気揚々と校庭の用具置き場へ向かいました。

最初こそ2人ともはしゃいで歩き出しましたが、目的の場所が近付くにつれ徐々に緊張してきたのか、気付くと私たちは一言も声を発さないまま用具置き場に到着しました。

噂のせいか、普通の倉庫のはずの用具置き場も、薄暗い空の下で改めて見ると、妙に不気味に見えてきます。
一瞬ブルッと寒気がしましたが、それでもまずは用具置き場の周りを2人で一回りしてみることにしたんです。

ズズッと地面をこするように慎重な足取りで歩き始めました。
用具置き場の角を曲がる度にヒヤッとしながら、辺りに気を配り、何かいないか目を凝らして進みます。

ですが結局、一周しても男の姿はどこにもありませんでした。
少しホッとしたものの、やっぱりちょっと残念で、一応用具置き場の中も覗いてから帰ることにしました。

どこか中を覗けそうな隙間はないかと、再び二人して用具置き場の周りをグルグル回っていると、突然中から、

『ドン!』

と、壁を叩くような音が聞こえてきたんです。

「え?・・・今の何?」

「し…知らないよ…私じゃない…」

「嘘だよ!」

そんな風に言い合っていると、今度は2回、

『ドンドン!』

と、中から誰かが叩く音が、入り口の辺りから聞こえたんです。

私たちはその入り口から目が離せず、そのまま固まっていると、

『ドォォォォン!』

と、今度は入口に体当たりをするかのような大きな音がしました。

その瞬間、私は心臓をギュッと握られたように立ち竦んでしまい、今度は間髪入れずに、

『バンバンバンバンバンバンバンバン』

と、手の平で狂ったように扉を叩きまくる音が止むことなく続くんです。

私はもう動くにも動けず、しゃがみ込むことも出来ず、ただその場で涙目になって震えていました。

次の瞬間、

「ヒッ!」

とMちゃんが息を飲むような声を上げると、急に私の手を引いて走り出したんです。

そこから校門を出るまで私たちは息もつかずに必死に走り続けました。

校門を抜けてその少し先まで走ったところで、私の足がもつれてしまい、そこで私たちは立ち止まったんです。

膝に手をあてハーハーと声も出せず、その場でただただ肩で息をしていました。

ようやく多少落ち着いてきて、ふとMちゃんを見ると、苦しそうに息をしながらガタガタ震えています。

「あれ・・・見えた・・・?」

声まで震えているMちゃんの問いかけに、

「え?なにが・・・?」

用具置き場でただただ震えているだけだった私はそう答えました。
するとMちゃんがこんなことを話し始めたんです。

用具置き場から『バンバンバンバン』と音が鳴り響いていたあの時、Mちゃんは上から視線を感じて反射的に見上げたそうです。

すると屋根の上から、嫌な感じのおじさんが座ってこちらを見下ろしていたそうなのです。

どう嫌な感じなのか、Mちゃんは言葉では説明しずらいと言います。

それと目が合った瞬間、Mちゃんは私の手を引いて走り出したのだと…

「普通の人間にも見えたけど…とにかく嫌な感じがして…それにあんな状況…普通じゃないでしょ…」

Mちゃんはそう言うと、また黙り込み、しばらく震えるような呼吸を繰り返していました。

確かにあの状況は異常でした。
でも、Mちゃんが見た屋根の上のおじさんも、用具置き場の中から壁を叩く誰かも、もしかしたら普通の人間だったのかもしれない。誤って中に閉じ込められてしまった人なのかも…そんな風に考えることも出来なくありません。もしかしたら普通はそう思うのかも…

でも、あの状況は絶対に異常だったし、何かが違っていたと思います。

それでも、もしかしたら私たちは誰かを見捨てて逃げてしまったのかもしれない。そんな風にも考えられて、私達はこの話を他言無用ということにして黙っていることにしました。

今思い返しても、あれが人の仕業だったのか、それとも聞いていた七不思議とは違いましたが、やはりそういった類の仕業だったのか、正直全く分かりません。

それから卒業するまでの間も、七不思議の話を誰かから聞くことは何度もありましたが、私とMちゃんが体験したような話を聞くことは一度もありませんでした。

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