体験場所:東京都北区某所
あなたは虫の知らせを信じますか?
虫の知らせとは、良くないことが起こる前の前兆のような体験の事をいいます。
私は以前から、その虫の知らせを体験することがありました。
まだ私が小さかった頃、小学校2年生頃の話です。
当時、私はスイミングスクールに通っていたのですが、帰りのバスが一緒だった友人にK君という男の子がいました。お調子者のK君は、いつも危ない遊びをしたりしては周りの大人たちを心配させるような子でした。
その日は夏の暑い日でした。
僕とK君は、いつものように下らない話をしながら帰りのバスに乗っていました。
一緒にバスを降りた後、夏の日差しでほてった体を冷やすため、僕らは自販機でアイスを買って食べていました。
すると突然、ふと僕は胸騒ぎを覚えました。
K君のおばあちゃんの辛そうな顔が、唐突に僕の頭の中をよぎったのです。
「え!?えっ!?何!?」と、不意に湧き上がるイメージに僕は狼狽える以外なにも反応する事ができず、結局その時は、今見たK君のおばあちゃんの事を、K君には何も伝えられないまま帰宅しました。
次にスイミングスクールに行った時、K君の姿が見当たりませんでした。
どうやらK君のおばあちゃんが亡くなられて、葬式のために欠席したとのことでした。
この記憶は、私が小学2年生の時のものですし、大人になるに連れ、徐々に自分でも当時の記憶にリアリティも信憑性も感じられなくなり、「あの時は恐らく夢でも見ていたのだろう」と、いつからかそう思うようになっていました。
その記憶から約20年後のこと。
忘れもしません。私が27歳の夏を迎えた頃のことです。
その頃、私はカフェで働いていました。
お昼時のことでした。
職場には休憩室がなかったため、私は施設内のテラスに出て、一人でコンビニのパスタを食べていました。
すると突然でした。
急に目の前が真っ暗になり、動悸が激しく高まるのを感じました。
すると不意に私の頭の中にあるイメージが浮かび上がりました。
それは、私の父さんが顔をパンパンに腫らせて苦しそうにしているイメージでした。
血の気が引きました。気付くと手足が震えていました。
その直後、ケータイのバイブが震え母からメールが届いたのです。
「父さんが事故にあった」
愕然としました。
勝手に涙が溢れ、私は泣きながら早退願いを提出して自宅へと急ぎました。
当時、父さんは野菜市場で働いていたのですが、仕事中、市場の業務用エレベーターに誤って頭をはさんでしまい顔面を強打してしまったのです。
それなのに父さんは、面倒だったのか病院にも行かずに自宅に戻り、そのままリビングでうずくまってしまったのです。
なんとか母さんが説得して病院に行かせることで一命は取り留めたのですが、その後遺症として顔面に痺れが残ってしまいました。
私たち家族の気持ちが落ち着くまで数日かかりました。
その間に、ふと、あの昼食時のテラスで感じた虫の知らせのようなものを思い出しながら、幼少期にK君のおばあちゃんが亡くなった時のことが鮮明に思い出されました。
やっぱりあれも夢ではなく、実際に私が見たものなのだと確信したのです。
K君のおばあちゃんの時も、父さんの時も、虫の知らせなんてただ怖いだけで、もう二度と体験したくないと思っています。
不思議で、とても嫌な私の実体験です。
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