体験場所:埼玉県川越市
私が5歳から23歳まで住んでいた川越の実家での体験です。
実家は借家で、昭和40年頃に建てられた戸建てでした。
断熱材が入っていない家だったので、冬になると、お風呂上がりの濡れた髪がすぐに冷たくなり、凍える寒さだったのを覚えています。
私の部屋は2階にある南西向きの部屋でした。
1日1度は『ドンッ!』という大きな音が鳴る部屋でした。
決まった時間に鳴るわけではなく、唐突に『ドンッ!』と音がするので毎回驚いていました。
家が軋むような音ではなく、外から何かがぶつかるような音。
2階なので外から壁を叩かれるなんてこともないでしょうし、他に考えられるのは何かが屋根に落ちたという可能性ですが、でも毎日そんなことあるでしょうか?
結局、音の原因は引っ越した後も分からないままでした。
他にもよく不思議なことが起こる家でした。
棚の上に飾ってあったクマのぬいぐるみが、朝になると棚から落ちていて、そのまま部屋を見渡すような姿勢で床に座っている。それも毎朝、欠かすことなく
しばらくそんな日が続くと流石に気持ち悪くなって、クマをガラス窓のある棚の中に移動してからは、動くこともなくなりましした。
他にも、家の中で家族以外の気配を感じることもよくありました。
1階から話し声が聞こえて、両親が帰ってきたと思って2階の自室から駆け下りて行くと、そこには誰もいない。
そんなことが日常的に起きました。
普通ならちょっと怖い体験かと思うのですが、5歳から住んでいた私にとってはそれが日常だったので、怖いと思ったことはありませんでした。
今回お話するのも、その家で体験した謎の気配に関する話です。
今より少し寒い、10月頃の事だったと思います。
まだ暑い日もあれば寒い日もある、そんな寒暖差の激しい時期でした。
その夜は暑かったのでしょう。
私は窓を開けたまま眠ることにしたのです。
でも、夜が更けるに従い次第に寒くなってきて、それでも身体を起こすのが面倒で、私は布団の中で丸まって寝てみたり、また寒さでハッと目が覚めたりして、窓を閉めないまま悶々とした時間を過ごしていました。
当時、我が家では猫を飼っていたので、猫が自由に出入り出来るようにと部屋の戸は少しだけ開けていました。
外から入る風がヒューヒューと、その隙間を吹き抜ける寒さに耐えていると、戸の隙間が更にスーッと開く音がしました。
薄っすらと目を開けると、部屋の暗闇の中に人の気配を感じ、それが窓の方へ行ったかと思うと、『スーッ、バン』っと、窓が閉まる音がしました。
当時は隣に兄の部屋があったので、私は無意識にそれを兄だと思い込み、「ありがとう」とお礼を言い、ようやくゆっくり眠れると安心しました。
お礼の言葉に対し、その気配から返事が返ってくることはなく、そのまま部屋を出たようでした。
その時、すでに夢うつつだったのですが、腰の辺りにポンと猫が乗る感覚があったのを覚えています。
次の日の朝、もう一度兄にお礼を言おうとしたのですが、家の中に兄の姿はありませんでした。
というか、出張で昨日から帰っていなかったそうなのです。
夜中に2階に上がってくるのなんて、兄か猫だけのはずなのですが…
あの夜、私の部屋の窓を閉めてくれたのは一体誰だったのでしょう?
寝る前に開けたままにしていた窓が、朝には閉まっていたのは確かです。
猫が戸を開けることはあっても、窓を閉めることなんてあるのでしょうか?
もしかしたら、兄でも猫でもない、それ以外の何かだったのでしょうか?
どちらにしろ、今思い返しても不思議な体験です。
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