【怖い話|実話】短編「16番さん」不思議怪談(愛知県)

【怖い話|実話】短編「16番さん」不思議怪談(愛知県)
投稿者:飲食店オーナーM さん(20代/男性/自営業)
体験場所:愛知県T市

私は愛知県のT市にて、個人で飲食店を経営しています。

創業してからのお客様の入りも悪くなく、日々忙しいながらもなんとか過ごせているのですが、以前は機械の不具合に度々悩まされることがありました。

それは、いわゆる呼び鈴ボタン(ボタンを押すとバックヤードの端末画面に座席番号が表示され音が鳴る物)なのですが、各座席に設置してあるボタンをお客様が押すと、その番号によって、

『ピンポーン、いらっしゃいませ』

だったり、外国語対応もしていて、

『ピンポーン、ニーハオ』

などと、バックヤードにある端末から音が鳴ります。

【怖い話|実話】短編「16番さん」不思議怪談(愛知県)-1
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当店では1~20番まで所有している呼び鈴ボタンの内、座席分の11番までを使用しており、12番以降のボタンは電池を抜いて仕舞ってありました。

それなのに、お店が軌道に乗ってきたある時から、急に16番の呼び鈴が鳴るようになったのです。

【怖い話|実話】短編「16番さん」不思議怪談(愛知県)-2
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もちろん16番の呼び鈴ボタンも電池は抜いておりますし、それが鳴るはずもないのですが、何故か頻繁に鳴るようになった16番の呼び鈴をスタッフ一同不思議に思っておりました。

当初は機械の故障だろうと思って製造メーカーにも問い合わせてみましたが、不具合は認められないとのこと。それなら呼び鈴は一体何に反応しているのかと疑問に思った私は、16番の呼び鈴が鳴った時間や日付をメモしてみることにしました。

すると、メモしてみて分かったことは、【16番の呼び鈴は明らかにお客さんが多い時間帯に鳴っている】ということでした。

そこから私なりに考察してみると、「分かった!車のキーレスエントリー(ボタンなどを押して車の鍵を開ける物)の電波に反応しているんだ!だからお客さんが多い時に16番の呼び鈴がよく鳴るんだ!」と思い付き、私は1人で納得していました。

それから数ヶ月の間に、唐突に鳴る16番の呼び鈴にも慣れてきて、あまり気にもしなくなっていたのですが、私が休日でお店を休んでいた日のことでした。
その日もお店で働いてくれていたアルバイトさんから急に電話がありました。

「店長!すみません!怖いので帰らせてください!」

開口一番泣きながらそう叫ぶアルバイトさんに、

『いや、急にどうした…』

と聞きかけた時、電話口の向こうから、

『ピンポーンピンポーンピピピピピピンポーン、How are you(調子はどう?)…』

と、16番の呼び鈴が狂ったように鳴り続けているのが聞こえたのです。

【怖い話|実話】短編「16番さん」不思議怪談(愛知県)-3
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ゾワっとしました。
ですが、その場はとりあえずアルバイトさんをなだめ、呼び鈴の電源を切ることで対応してもらいました。

偶然かもしれませんが、その翌日のことです。
当店が大手の有名雑誌に取材されることが決まったのです。

その後、雑誌の効果でお客さんが雪崩のように来店され、慌ただしい日々を過ごすことになりました。

ただそれ以降、16番の呼び鈴が鳴ることはありませんでした。
車のキーレスエントリーが原因だと思っていた現象が、多くのお客さんが来るようになったにも関わらず、最後に狂ったように鳴って以降、現在に至るまで一度も鳴っておりません。

今、あの出来事を振り返ってみると、もしかしてあの16番さんは【座敷童子】的なものだったのかな?
お客さんや雑誌取材を、呼び鈴を鳴らして【呼んで】くれたのかな?

お店の人気も落ち着き、少し暇になってきた最近、あの呼び鈴のことがそんな風に思い出され、

(また16番さん鳴らないかなぁ…)

と、今ではあの怪奇現象を待ち望んでいます。

終わり。
ご拝読ありがとうございます。

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