【怖い話|実話】短編「非通知電話」不思議怪談(岩手県)

投稿者:みやこ さん(20代/女性/学生)
体験場所:岩手県K市の某墓地と友人宅

これは私が中学1年生だった時、まだガラケーを使っていた頃に体験した話です。

私が住む岩手県K市のその地域には、毎年恒例のお祭りがあって、その年も私は友達のMちゃんと一緒にお祭りを漫喫していました。

その帰り道での事でした。
そのまま帰るのが名残惜しかった私たちは、どういうわけか「肝試ししよう!」という話になったのです。
帰り道の途中には、おあつらえ向きの墓地もあり、私たちはそこに向かうことにしたのです。

墓地に着くと、Mちゃんが2人で肝試しと言うのもつまらないから他にも誰か呼ぼうと言うので、私はSちゃんに電話してみる事にしました。

ケータイの電話帳からSちゃんを探して電話を掛けてみると、いつもならすぐに電話に出てくれるSちゃんですが、その時はなかなか出てくれませんでした。

しばらく呼び出し音を鳴らし続けましたが応答がなく、忙しいのかなと思って電話を切ろうとした瞬間、『ピッ』と相手が電話に出る音が聞こえて私はすぐに声を掛けました。

「もしもし?今何してた?!」

そう聞くと、

「…………………」

電話の向こうからは無言が返ってきます。

「…もしもし?」

と、もう一度問いかけてみると、

「…誰ですか?」

と、明らかにSちゃんとは別の女の人の声が返ってきました。

(…お母さん、かな?)と思った私は、

「あ、すみません、Sちゃんいますか?」

と聞き直したのですが、

「……誰ですか?」

と、再び返ってきます。

(もしかして、間違えた?)

と思い、

「すみません、間違い電話してしまいました」

と言うと、

「誰ですか?誰ですか?誰ですか?誰ですか?誰ですか?誰ですか?誰ですか?誰ですか?誰ですか?誰ですか?誰なの!?ねえ!!!!」

と、イラついたように捲し立てる女の人の声が聞こえて来ました。

イラついた女の声
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怖くなった私は急いで電話を切りました。

(何…今の…?)

突然のことにトクントクンと早まる心臓の音を感じながら、今の電話が間違い電話ではないことを確認するために、私はさっきの通話履歴を見てみました。

すると、絶対にSちゃんに掛けたはずなのに、通話履歴は『非通知』と表示されていました。

(え?非通知って何?非通知に電話って掛けられるの?)

私は怖くなってもう肝試しどころじゃありません。
慌てる私の様子を不思議そうに見ているMちゃんの腕を引き、私はすぐにその場を離れました。

次の日、学校で私はSちゃんに昨日のことを話しました。

「…っあ、そうなんだ。え…えー」

と、なんだか歯切れの悪い反応のSちゃんに、

「…どうかしたの?」

と聞いてみると、

「今日、Mちゃんと2人で私の家にこない?」

と、結局、昨日の件はウヤムヤなまま、その日は3人でSちゃんの家にお泊まりする事になりました。

その日の夕方、Mちゃんと一緒にSちゃんの家に行き、再び昨日の話になりました。

Mちゃんは昨日一緒にいたにも関わらず、私が体験したことを鼻っから信じておらず、むしろ異常に怖がっていた私のことを笑い話にしていました。
むしろ私自身も私の勘違いであって欲しいと思い、昨日は疲れていたのかもと、Mちゃんの話に便乗して一緒に笑っていたのです。

するとSちゃんが静かな声で、

「…私に電話を掛けて、私じゃない人が出たんだよね?」

と聞いてきました。

私が「そうだよ」と答えると、Sちゃんは部屋の外にある公衆電話を窓越しに指差し、

「あそこから、電話かかってくるの」

と言うんです。

私とMちゃんは意味が分からず「…何だ、それ?」と笑っていましたが、Sちゃんは全く笑っていませんでした。

何となくその話はそこでやめ、話題は他のことに移りました。

あれこれ話している内に時間も過ぎ、気が付くと随分と夜も更けていたので、そろそろ寝ようかとしていた時でした。

突然Sちゃんの携帯電話が鳴り出したのです。

(こんな時間に!?)と一瞬は驚いたものの、もしかしたら電気を付けたまま寝ようとしていた私たちに、Sちゃんのお母さんが電気を消せと連絡してきたのだと思いました。

しかし、何故かSちゃんは一向に電話に出ようとしません。

気が付かないはずはないのに、と不思議に思い、

「電話…」

と私が言うと、

「代わりに出てよ。」

とSちゃんは言いました。

変だなと思いながらSちゃんの携帯の画面を見ると「非通知」と書いてあります。

非通知着信
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(まさかね…)と思いつつ、私は電話に出ました。

すると、

「誰ですか?誰ですか?誰ですか?誰ですか?誰ですか?」

あの時と同じ女の人の声が聞こえてきました。

恐怖と驚きで私は直ぐに電話を切りSちゃんを振り返りました。

「ね。ホントでしょ。」

Sちゃんはそう言って薄っすらと笑っていました。

すると状況を分かっていないMちゃんが、

「ねぇ、…トイレ、行きたいんだけど…」

一人じゃいけないと言うので仕方なく私とSちゃんも付いて行くことにしました。

トイレから部屋に戻ると、窓が少し開いていることに気が付きました。
部屋を出る時は閉まっていたはずです。

「変だなぁ~」と言って窓に近付くSちゃんが、

「あっ」と外を見ながら小さな声を出しました。

何かと思って私とMちゃんも窓から外を見ると、家の前の公衆電話の中に女の人がいるのが見えました。

電話ボックスの女
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(絶対にあの女の人だ…)

直ぐにそう察した私たちは、見ちゃいけないと思って急いで窓を閉めカーテンを引きました。

あまりの気味の悪さに血の気が引き、互いに青くなった顔を見合わせると、

「…家に入ってくる時もあるの。もうこの家から引っ越す予定。」

うつむきながらボソリとそう呟いたSちゃんの目には、何も映っていない真っ黒な瞳が淀んでいました。

しばらくしてSちゃんは引っ越しと一緒に転校もしてしまい、連絡が取れなくなりました。

その後、風の噂にSちゃんは精神を病みおかしくなったと聞きました。
あの女の影響かどうかは分かりませんが、私は絶対にアレのせいだと確信しています。

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