【怖い話|実話】短編「山の毛」不思議怪談(岐阜県)

【怖い話|実話】短編「山の毛」不思議怪談(岐阜県)
投稿者:つー さん(26歳/男性/会社員)
体験場所:岐阜県G市の山奥

これは2ヶ月くらい前に私が体験した話です。

私は測量士の仕事をしているのですが、仕事上、測量調査のために山へよく行きます。

未開拓の山の土地を測量して地図にしたり、山に流れている川の氾濫する可能性のある個所を調査するなどが主な仕事です。

その日、私は社長から仕事を言い渡され、バイトとして働いている60代のAさんと二人で、G市の山奥に行くことになりました。

朝早くから会社を出発したため、10時頃には現場となる山の入り口に到着していたと思います。

そのまま山道を車で登っていくと、鍵の掛かったゲートがありました。

その日の調査対象となる山には管理者がおり、基本的にその人以外は立ち入ることが出来ません。

私は事前に鍵を受け取っていたため、ゲートの鍵を開け、そのまま山道を進んでいきました。

しばらく走った頃、ふとAさんが「ん?なんだあれは??」と声を上げました。

私も目を凝らしてよく見てみると、前方の林道沿いに、何かは分かりませんが、土のう袋を上から被り、更にその上から笠を被っている何かが立っていました。

恐る恐る、ゆっくり車を走らせて近付いてみると、それはお地蔵さんでした。

お地蔵さんに土のう袋を被せ、その上から笠を被せていたのです。

「なんだこれは?気持ち悪いなあ」

とAさんが言いました。

私も何か嫌な予感がしましたので、車のスピードを上げ、早めにその場を離れました。

「いやぁ、山には変なものが色々あるで、ほんとに怖いなあ」

Aさんがそう言いましたので私も、

「そうですね。なんというか不気味でしたね」

と返答しました。

更にしばらく道を進み、目的地までもう少しのところまで来た頃、Aさんと仕事内容について話していると、道の真ん中に何かが落ちているのに気が付きました。

ん?と思って車を止めました。

「なんだあれは?なんというか、白い袋に、なんか入ってるな」

Aさんがそう言うように、私にもはっきり見えたのですが、道の真ん中に白い袋があり、確かに中には何か入っているようでした。

このまま車で通り過ぎたかったのですが、袋は道の真ん中に通せんぼするようにあるので動かす必要がありました。

「ちょっと俺行ってくるわ。〇〇君は待ってて。」

Aさんはそう言うと車から出ていきました。

「いや、ちょっと怖いんでやめといたほうが、、」

私がそう言いかけた時にはAさんはもう車から出てしまっていました。

前方には小走りで向かって行ったAさんが、白い袋を開けて中身を確認しているのが見えます。

するとAさんの表情が歪むのが分かりました。

見てはいけないものを見たような、気持ち悪いものを見たような、そんな表情でした。

Aさんはその白い袋を道沿いに投げ、走って戻ってきました。

「どうでしたか?大丈夫ですか?」

と私は聞きました。

「ああ、大丈夫、、」

そう言った後、Aさんは一呼吸おいて話を続けました。

「中を確認したら、、大量の毛が入ってたのよ。それで、辺りを見たら、もう毛だらけで、、」

車からは見えなかったのですが、袋の周りの道の上にも毛が散乱していたようなのです。

「あれは多分犬の毛だと思うけどなあ、、恐らく山の中に入って殺したんだろう」

「それで剥ぎ取った毛だけ袋に詰めて捨てたんだろうなあ」

「どちらにしてもあんまり気持ちの良いもんじゃねえなあ」

「この山にはもしかしたら何かあるのかもしれんで、早いとこ終わらせて帰ろう〇〇君」

Aさんはそう言うと溜息をついて下を向いてしまいました。

私も「そうですね。早く帰りましょう」とだけ返事をして車を走らせました。

目的地に到着後、調査を行いました。

幸い仕事量も少なかったのでお昼過ぎには仕事が終わりました。

帰りの道中、例の毛の入った袋があった場所を通った時、辺りを見回してもあの白い袋が見当たりませんでした。

「確かあの辺に投げたような気がするけどなあ」

Aさんはそう言って首を傾げましたが、お互いあまり長居はしたくありませんでしたので早々に車を走らせました。

どことなく緊張感に包まれながら、土のう袋と笠を被ったお地蔵さんの前を通り、ゲートの鍵を開け、林道の出口を抜けて私たちは無事に会社まで帰ることができた次第です。

山には色々と不思議なものが沢山あります。

この業界に長くいる社長が、山での仕事の際に口癖にしていることが2つありました。

1つは、暗くなる前に必ず山から出ること。

社長と一緒に山に行く際は、必ず3時頃には仕事を切り上げます。

暗くなる前に山を出ないと本当に大変なことになるからと、社長はいつも車中で話します。

もう1つは、変なものを見つけても絶対に触ったり見に行ったりしない。

恐らく、袋をどかしにAさんが車を出ようとした時、もし社長がいたのであれば絶対にAさんを止めていたと思います。

その後、特に何事もなく無事に過ごせていますが、もしかしたら何か恐ろしいことに巻き込まれていたかもしれないと思うと、少し背筋が冷やりとします。

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