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【怖い話|実話】短編「夢の日々」不思議怪談(大阪府)

【怖い話|実話】短編「夢の日々」不思議怪談(大阪府)
投稿者:タイキ さん(20代/男性/在宅ワーカー)
体験場所:大阪府大阪市内のマンション

あの出来事の直接のきっかけは、母との日常的な言い争いでした。

その日も電話越しに口論になり、感情が抑えきれなくなった私は、勢いで「今から飛び降りてやる」と口にしてしまいました。今振り返れば、脅しのような言葉だったのかもしれませんが、その時の私は本気で、自分の行動を止められない状態でした。

当時の私は、睡眠薬や抗精神薬、そしてアルコールを大量に服用しており、精神的にも極めて不安定でした。判断力はほとんどなく、現実感も薄れていたと思います。冷静に考えれば取り返しのつかない行動なのに、その瞬間は「これで終わらせたい」という気持ちしかありませんでした。

マンションの五階から飛び降りたことは、断片的にしか覚えていません。

次に意識が戻ったのは、病院のベッドの上でした。

医師から告げられたのは、二カ月間意識不明の状態が続いていたこと、そして下半身に麻痺が残ったという現実でした。今も後遺症は残っており、あの日の選択が一生を変えてしまったことを、日々実感しています。

しかし、意識を失っていた二カ月間、私の中では不思議な体験が続いていました。

その間、私はずっと夢の中で生活していた感覚があります。
そこでは恐怖や不安といった感情は一切なく、ただ穏やかで、楽しい時間だけが流れていました。

私はサッカーが大好きで、特にリオネル・メッシの大ファンなのですが、夢の中ではなぜかメッシが私の隣で添い寝をしていました。言葉を交わすわけではありませんが、そばにいるだけで安心できる存在でした。
また、お笑い芸人のジャルジャルさんも好きなのですが、夢の中では彼らが医者の姿で現れ、私の治療をしてくれていました。その光景がとても自然で、違和感はありませんでした。

他にも、子どもの頃によく遊んだ懐かしい場所で昼寝をしたり、争いも苦しみも存在しない穏やかな場所で私は生活していました。そこでははっきりとした時間の流れも感じられ、「今日」「明日」という感覚がありました。私は確かに、その世界で日常を送っていたのです。

目を覚ましたあと、その夢の記憶があまりにも鮮明だったため、「本当に夢だったのか?」という疑問が今も消えません。もしかすると脳が作り出した最後の安らぎの場所だったのかもしれませんし、別の世界だったのかもしれません。

この体験以降、私は「死」に対する考え方が大きく変わりました。
怖くなくなったというよりも、単純に死が終わりだとは思えなくなったのです。

だからといって、自分のした選択を肯定しているわけではありません。
むしろ生き残ったからこそ、今こうして自分の体験を言葉にできているのだから。

意識がなかったはずのあの二カ月間という時間、私は確かに「生きていた」。
その感覚だけは、今もはっきりと胸に残っています。

現在の私は、あの出来事を「なかったこと」にするつもりはありません。
後遺症とともに生きる現実は決して楽ではありませんが、それでも今こうして言葉にできていること自体が、生きている証だと感じています。あの夢の中の穏やかな世界を思い出すたび、現実に戻ってきた意味を考えながら、少しずつ前に進もうとしています。

不思議な話は、“音”になると空気感が変わります

朗読で聞くと、独特の静けさや違和感がより際立ちます。

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