【心霊スポット】東京都|西新井トンネルの怖い話「陰る女」実話怪談・短編

【心霊スポット】東京都|西新井トンネルの怖い話「陰る女」実話怪談・短編
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投稿者:うっしー さん(40代/女性/webライター)
心霊スポット:西新井トンネル(東京都荒川区)

先月、西新井トンネルを通った時の話です。

荒川区の西新井駅近くにあるそのトンネルは、地下をくぐって線路の向こう側と行き来できるトンネルで、地元では生活道路として利用されています。

電灯もしっかりと整備された割と綺麗な地下トンネルなのですが、私のような荒川区に住んでいる人間にとっては、お化けトンネルとしても有名な場所で、地元では知らない人がいない心霊スポットとなっています。

なんでもこの場所には、昔は地下トンネルではなく踏切があったそうなのですが、その踏切で母子が列車に轢かれて亡くなるという痛ましい事故があったらしく、それが直接の原因なのかは分かりませんが、その後、踏切は撤去され、地下トンネルが通されたのだと聞きます。

かつての事故のせいか、踏切があったトンネルでは今も幽霊の目撃談が後を絶たず、カーブミラーに母子の霊が映り込むとか、深夜に老婆の霊が歩いているとか、そんな噂が囁かれているのです。

噂の真偽は分かりませんが、実際に近隣の住民の中には気味悪がってこの地下道を避ける人もいるようです。

私はと言うと、ベタな心霊スポット話なのであまり信じてはいなかったのですが、なんとなく普段からその地下トンネルは利用せず、西新井駅に向かう時も少し離れた交差点を経由して駅に向かっていました。

その日は仕事が夜勤だったため、夕方5時を過ぎ、辺りが薄暗くなった頃に私は家を出ました。

少し出るのが遅れたせいもあり、遅刻しないか心配した私は、その日は躊躇しながらも西新井トンネルを通って駅に向かうことにしたのです。トンネルを通ることでかなりのショートカットになるので、その時は止む得ないと思ったのです。

地下道への階段を下りるのは久しぶりでした。

正直やはり少し怖いのと、何より急いでいたので、私は辺りを見ることもなく足早に地下道を歩きました。

長さはだいたい15メートルくらいでしょうか。地下道はとても綺麗に整備されていて、意外と照明も明るいし、心霊スポットにありがちなおどろおどろしい落書きなんかもありません。

久しぶりに通ったトンネルは拍子抜けするほど快適で、「今度からは地下道を利用しよう。早いし便利だし、今まで通らなかったのがもったいない」と、そんな気持ちで出口の階段を上っていったのです。

明るいトンネルから薄暗い地上に一歩踏み出しかけた時でした。

後ろから、猫の鳴き声のような、赤ちゃんがぐずるような、わずかに甲高い声が聞こえた気がしました。

出かかった地上には人通りもあって安心していたのだと思います。私はその声に反応するように何の躊躇もなく後ろを振り返りました。

今登ってきた階段の一番下に、女の人が立っていました。

20~30代くらいの、今っぽいスカート姿の女性、だと思うのですが、何となく全体的な印象が陰っぽくてよく見えず、暗いトーンに感じたのを覚えています。

パッと見て普通の女性だったので、そのまま気にせず私は駅までの道を急ぎました。

電車に乗り込んで遅刻の心配も薄れ、焦る気持ちも落ち着いてきた頃、ふとトンネルの中に立っていた女性の光景がよみがえりました。

「あれ?あの女の人、コートを着ていなかった気がする。スカートが見えたってことは長い上着は羽織ってなかったって事だよね?一月の一番寒いこの時期に、上着を着ていなかったってこと…?」

「それにあの時、私が地下道を歩いている時は他に誰の足音も聞こえなかったのに、振り向いたらあの女の人が立っていたよね…」

「そもそも私は甲高い泣き声みたいな声を聞いたから振り向いたのに、声の正体は分からないままだ…」

次々と違和感が生まれてきました。

決定的なのは、女性から感じた「暗さ」でした。

地下道はとても明るかったのに、あの女性だけがやけに陰っぽくて、はっきりとは見えず、目を細めてしまうような煩わしさがありました。

急に鳥肌が立ちました。

唐突に恐怖を感じ、私の背筋を悪寒が駆け抜けました。

あの女性は本当に生きている人間だったのでしょうか・・・?

それ以来、私は西新井トンネルを通るどころか近付くこも出来ないでいます。

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