【心霊スポット】神奈川県|小坪トンネルの怖い話「落ち葉を踏む音」実話怪談・短編

【心霊スポット】神奈川県|小坪トンネルの怖い話「落ち葉を踏む音」実話怪談・短編
投稿者:ルクア さん(40代/男性/会社員)
心霊スポット:神奈川県逗子市「小坪トンネル」

自分は神奈川県内の会社に勤めてる、ごく普通の40代の会社員です。
これは、まだコロナが流行る前――2019年の10月のこと。

その日は平日で、仕事が早めに終わったんですよ。たしか17時すぎには会社を出て、帰宅の途中で昔の友人に「ドライブでも行こうぜ」って誘われたんです。
彼とは20代の頃からつるんでる悪友で、昔からちょっと怖い話とか心霊スポットとかに妙に詳しいやつで。まあ、気晴らしになるかなってことで、軽くドライブに出かけたんですね。

そいつが「小坪トンネル、行ったことある?」って言うもんで。名前だけは知ってたけど、正直そこまで興味はなかった。だけど、その日は夜風も気持ちよくて、「いいじゃん、行ってみようよ」ってノリで車を走らせました。

横浜から1時間もかからず、19時頃には逗子に入っていたと思います。あのあたり、夜になると真っ暗になるじゃないですか。観光地のくせに街灯も少なくて、住宅地を抜けると、ほんと急に景色が変わるんです。

で、小坪トンネルに到着。

着いたときは、周囲には人影もなくて、聞こえるのは少しの波音と、時おり向こうを走り去る車の音くらい。正直、最初の印象は「なんだ、ただの古いトンネルじゃん」って感じでした。

でもね、トンネルの入口に近づいたとき――ふと、空気が変わった。肌寒くて湿気があるような感じ。例えるなら、地下室に一歩足を踏み入れた瞬間みたいな。

で、友人が「ちょっと中、歩いてみようぜ」って言い出して、懐中電灯片手に入ったんです。

中は車が通れる広さなんだけど、歩道は無いに等しいくらい狭くて、壁もところどころ水滴が垂れててね。何より、やけに静かなんですよ。音がまるで吸い込まれるような感じ。車通りも少ないし。

短いトンネルで、少し歩いてトンネルの真ん中あたりに差し掛かったとき、足元に落ち葉が積もってる所があって。そこで、「シャッ」て音がしたんです。すぐそばから。

風じゃない。猫でもない。
音の正体はわからなかったけど、間違いなく「足音」のような、乾いた落ち葉を踏む音。俺も友人も立ち止まって、お互い顔を見合わせた。

「あれ…今、聞こえたよな?」
「うん、聞こえた。……誰か、いる?」

その時点で、前にも後ろにも人影はなかった。車も通っていない。なのに、また――「シャッ」って。しかも、俺たちの後ろから。

慌てて振り向いたけど、誰もいない。
けど、その“気配”は、確かにあった。
背後に“誰か”がいるって、理屈じゃなく分かる瞬間ってあるでしょ?まさにあれ。
ぞっとした。心臓がドクンと大きく跳ねた。

「もう出よう」俺がそう言った瞬間、友人が懐中電灯を落とした。
拾おうとしたら、また「シャッ」と足音。しかも今度はすぐ真後ろ。友人も俺も、もう無言でダッシュ。振り返らず全速力でトンネルの出口まで走った。

そのまま車に飛び乗って、しばらく言葉が出なくて、エンジンかけたあと、ふと助手席側のサイドミラー見たんですよ。そしたら――そこに白っぽい影が一瞬映った。

曇ってたのかな?と、一瞬そうしてしまおうとしたけど、多分それは違う。“人の輪郭”のような、白くぼやけた何かを確かに見た。

もちろん外に誰かいたわけじゃない。反射的にルームミラーも見た。後部座席にも誰もいない。心臓はずっとバクバク鳴ってて、とにかく大急ぎで車を出し、そこから離れました。

それ以来、小坪トンネルには近づいていません。

友人とはそのあと何度かこの話をしたけど、彼も「生きてる人間の気配じゃなかった」とはっきり言っています。霊とか、そういう言葉は使いたくないのか、ただ「何かがいた」と。

もしあの時、ひたすらトンネルの出口へ向かって走る途中、間違えて振り返ったりでもしていたら――私たちは“何か”を見てしまっていたのか――それは分かりません。

後日談というほどではありませんが、その1ヶ月後くらいに、たまたま別件で地元の工務店の人と話す機会があって、小坪トンネルの話をしたら、「ああ、あそこね……あそこは“あるよ”」って、妙に何か含むような笑みを浮かべて言われたのが、ずっと気にかかっています。

トンネルの中で感じた、あの空気の“重さ”だけは、一生忘れられないと思う。

もしもそれでも行こうと思うなら、絶対に一人では行かない方がいい。
それが、自分の経験から出せる唯一の“忠告”です。

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