【怖い話】実話怪談|短編「いたずら好き」東京都の心霊体験談

投稿者:ゆまこ さん(30代/女性/看護師/東京都在住)
体験場所:東京都N区 某総合病院
某病院
image photo

これは私が看護師としてN区の某総合病院で勤務していた頃に先輩から聞いた話です。

その先輩はもともと霊感が強いらしく、そういった現象を目撃することも多かったそうなのですが、それに加えその病棟には、『霊道』と呼ばれる霊の通り道が通っているそうで、先輩は異動してきてから何度も恐怖体験をしたそうです。

そんな先輩と夜勤が一緒になった日のことです。

その日は穏やかな夜で、見回りも異常なくスムーズに終わり、仕事もひと段落ついて、夜勤の看護師3人でおしゃべりが盛り上がってきた頃、怖い話をしようということになりました。

私ともう1人の看護師は全く霊感がないのですが、先輩の話には興味深々です。

「じゃあ、数年前にここの病棟で体験した話をするね。」
と先輩は話し始めました。

ある夜勤の日のことです。
その日は先輩を含め3人の看護師が勤務していました。

患者さんの中にはあまり状態のよくないAさんという高齢の女性がいました。
担当の医者から「Aさんは今夜が山だ」と聞かされていた通り、尽力の甲斐なくAさんは明け方に亡くなってしまいました。

ご家族に連絡をして到着後、ご家族と共に死後の処置をしました。
管もとれて、綺麗になったAさんは安らかなお顔だったそうです。

準備が整ったので、霊安室に運ぶことになりました。
たまたま他の病棟の看護師に、先輩の病棟の仕事を手伝ってもらうことが出来たので、夜勤の看護師3名全員と担当医の計4人でお別れに行くことが出来たそうです。

Aさんは長く入院されており、思入れが強かった分、看護師も担当医も皆、お別れはとても辛かったそうです。

病棟を他の看護師に手伝ってもらっていることもあり、Aさんのご家族に挨拶を済ませると、名残惜しいけれど…と、4人は早々にエレベーターに乗りました。

しかし、勤務場所のフロアでエレベーターを降りたものの、全員がAさんに対しての思い入れが強かったこともあり、すぐには病棟に足が向かわず、そのままエレベーターホールでAさんのことを思い出しながら話をしたそうです。

Aさんはこんな人だったね、あんなことがあったね、と、話に花が咲いていました。

すると突然、そのフロアで止まっていたエレベーターが動き出しました。
階数表示を見ていると、エレベーターは霊安室のある地下一階まで降りていき、そしてすぐに再び上昇を始めました。

「ご家族が病室に忘れ物を取りに来たのだろう」
と思った4人は、悪口ではないもののAさんの話をしていたため、ご家族に聞かれるのもはばかられ、とっさに1人の看護師が『しーっ』と言いました。
ちょうどそのタイミングでエレベーターの扉が開きました。

空っぽのエレベーター
image photo

・・・そこには誰の姿もありませんでした。
そしてエレベーターの扉は静かに締まり、再び地下一階へと降りていきました。

誰も言葉を発することができず、束の間、妙な静寂に包まれました。
全員がエレベーターは誤作動だったと思い込もうとし、誰からともなく病棟に戻ろうとしました。

その時、再びエレベーターが上がってきたのです。

再び動き出すエレベーター
image photo

全員が息を呑みました。
ゆっくりと上がってくるエレベーターを前に誰もが緊張で動けないのが分かります。
そして静かにエレベーターの扉は再び開きました。

そこには、Aさんのご家族がいらっしゃいました。

『母がお世話になりました。』
と丁寧にお礼をされ、ご家族は帰っていかれました。
4人もAさんのご家族に挨拶をして、何事もなかったように病棟へ戻り仕事をしました。

それから朝まで何事もなく勤務を終えることができました。
みんなで更衣室に向かっている時、先輩は他の看護師に言ったそうです。

『あの時言えなかったんだけど、エレベーターにAさん乗っていたんだよ。いたずら好きな人だったから、最後もいたずらしに来たんだろうね。』

佇むおばあさん
image photo

長い間入院生活を強いられていたAさん。
お世話になった先輩達にお礼を伝えに来たのでしょうか。

夜勤中、そんな話を聞いた私は、怖いというよりも妙にほっこりとしたことを覚えています。

残念ながらその病院は、この話を聞いた数年後に閉院してしまいましたが、霊道が通るその場所では、もしかしたら今もAさんが誰かにいたずらしに降りて来てるかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました