【怖い話|実話】短編「最後の挨拶」心霊怪談(大阪府)

【怖い話|実話】短編「最後の挨拶」心霊怪談(大阪府)
投稿者:りつ さん(30代/女性/フリーター)
体験場所:大阪府藤井寺市

父が亡くなった時の話です。

父の通夜の日、葬儀場で通夜の準備が始まる前の時間でした。
ぽつりぽつりと言葉を交わすだけで、私たち家族は特に何をするでもなく、ぼんやりとした時間を過ごしていました。

【怖い話|実話】短編「最後の挨拶」心霊怪談(大阪府)-1
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父が亡くなった、という実感もなく、何かをしようという意欲も湧かず、ただ動かなくなった父と一緒に同じ時間を過ごす。それはなんだか不思議な感覚でした。

その時期は母も私も仕事で忙しく、弟は弟で受験勉強に追われている頃だったので、皮肉にも父の通夜が久しぶりに家族で過ごす機会にもなり、ゆっくりと静かな時間が流れていました。

何時間そうしていたか分かりません。
すると突然、『パチンッ』という音と共に葬儀場の電気が消えて室内が暗くなりました。

【怖い話|実話】短編「最後の挨拶」心霊怪談(大阪府)-2
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驚いて電気のスイッチのON/OFFを何度か切り替えてみましたが、全く反応がありません。

天候は悪くないので停電ということもないだろう、それなら電球切れだろうか?そう思って斎場スタッフを探しに外に出てみると、隣の民家で庭仕事をしていたおばあさんと目が合いました。

「あの~、お宅は停電していますか?」

私は塀越しにおばあさんに声を掛けました。

「停電?どうやろなぁ。ちょっと見てくるわ」

そう言っておばあさんは自宅を確認しに行ってくれました。

しばらくして戻ってきたおばあさんは、特に停電している様子はない、と教えてくれました。

隣家が停電していないのにこの建物だけが停電ということもないだろうし、やはり電球が切れているのだろう。そう確信して再び斎場スタッフさんを探そうとした時でした。不意に電気が点灯したのです。

あれ?もしかしてやっぱりこの建物だけの停電だったのか?それともブレーカーが落ちて、それを誰かが上げ直してくれたのだろうか?
結局、理由は分からないままでしたが、電気が点いたのなら問題ないと、私たち家族はそれ以上この出来事を気に留めることもありませんでした。

その後、親族たちがパラパラと集まり始め、父と仲の良かった叔父も、その家族と一緒に到着しました。

到着するなり、従兄弟が言いました。

「今日、おじちゃんが会いに来てくれたんやで」

【怖い話|実話】短編「最後の挨拶」心霊怪談(大阪府)-3
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私は耳を疑いました。
なんの冗談かと思いましたが、その言葉に叔母も同意しています。

話を聞いてみると、先程、こっちに向かう準備をしていた時、『ドンッ』と一瞬、直下型地震のような揺れを感じたそうなのですが、その直後、今から神棚に上げようと手にしていたコップの中身が少し減っていたそうなのです。

【怖い話|実話】短編「最後の挨拶」心霊怪談(大阪府)-4
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にわかには信じ難いと思いましたが、それが起きた時間帯を聞いてみると、こちらで停電が起きたタイミングと大体同じ時間でした。

叔母は「お義兄さんが最後にみんなに挨拶しに来てくれたんだよ。」と言います。

こんなことが本当にあるのだろうか?ただの偶然だろうか?不思議には思いましたが、その真相を知る術はありません。

でも、もし本当にそうなら、話し好きで茶目っ気たっぷりの父らしい挨拶だな、なんて、今ではそう思っています。

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