【怖い話|実話】短編「執念」心霊怪談(岡山県)

岡山県:執念
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投稿者:ゆうか さん(30代/女性/主婦)
体験場所:岡山県岡山市の某ビジネスホテル

私は元々霊的なものを感じやすい性質で、金縛りには結構よく遭うのですが、その時の金縛りはいつものとは違ったんです。

結婚して1年目、岡山に住む友人に主人を紹介するという名目も兼ね、私たち夫婦は岡山旅行に行きました。

友人と会って3人で岡山駅の近くで飲んだ後、友人とは別れて、その日は駅に近い綺麗なビジネスホテルに宿泊したんです。

【怖い話|実話】短編「執念」心霊怪談(岡山県)-画像01
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家ではいつもシングルの布団を2枚並べて主人とは別々に寝るのですが、そこのビジネスホテルに用意されていたのはダブルベッドでした。

いつもよりお互いの距離が近いことに違和感を感じながら、二人とも背中を向けあってベッドの端と端に寄る感じで眠りに就いたんです。

寝入ってからしばらくして、喉の渇きで目を覚ますと、同時にいつもの金縛りが始まっていることに気が付きました。

それまでもよく金縛りに遭っていた私は、目を開けなければ別に何でもないことは知っていたので、この日も無視して二度寝に入ろうと思ったその時でした…

『ゆうか…、ゆうか…、』

若い男性の声で、私を呼んでいるのが聞こえたんです。

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てっきり隣で寝ている主人が金縛りでうなされている私に気付いて声を掛けてくれているのだと思い、返事をしようとした瞬間、ハッとしました。

主人は私の名前を呼び捨てにしたことがないのです…

いつも主人は『ゆうかちゃん』と、私のことをちゃん付けで呼びます。

だからこの声は絶対に主人のものではないと確信しました。

その途端、もう目も頭も冴えて冷や汗ダラダラ。

だって、主人の声ではないと分かると同時に思い出したのです。
この声も呼び方も、この声の主が生きているとうことも、私は知っていることに…

と言うのも、今の主人と付き合う前のことです。

それまで付き合っていた彼がいたんです。

ですがこの人、私と別れた直後から鬱をこじらせて職場で発狂。
精神科に入院したのですが、無事に退院したと同時にストーカー化。
1年ほど私が逃げては彼が追ってのイタチごっこが続きました。

結婚を機に、ようやく私は彼から痕跡を消すことに成功したのですが…

『ゆうか…ゆうか…』

今聞こえているこの声が、その彼の声と同じなんです。

(何これ?生霊?今呼び声に答えたら絶対にまずい…場所がばれる、もう逃げられない、気付いたことが気付かれたら終わりだ!!!!!)

ぐるぐる頭の中を思考が巡りながらも、私は目を固く閉じ、息をひそめて寝ているふりを続けました。

でも、その時まずい事に気が付いたんです…

最初は部屋の奥の片隅から聞こえていた声ですが、その声が、だんだん私に近付いて来てるんです。

『ゆうか…、ゆうか…、ゆうか…』

もう冷や汗が止まらず、金縛りで身動きがとれないまま、ただただ息を殺して恐怖に耐え続けている間に、声は遂に耳元まで迫り、
 
『ゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうかゆうか』

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…彼の声が気持ち悪いほど私の名前を連呼するんです。

「目を開けたら絶対にヤバイ!!終わっちゃう!!!!」

激しく恐怖を感じながら、私はもうこれ以上ないほどの深い皺を眉間に刻み、目を固くギュッと閉じました。

その瞬間でした…

「うぅん・・・」

そう言って主人が寝返りを打ったところでパッと声は止み、同時に金縛りも解けたんです。

心臓はバクバク、喉もカラカラ、今にも泣いて主人の背中にすがりたいけど、まだ目の前にアイツが居たらどうしようと、そればかりが頭の中を駆け巡りました。

5分くらい経った頃でしょうか、声の主の気配が完全に消え去ったと思いました。
恐る恐る少しだけ手を動かしてみて、金縛りが解けていることが分かった瞬間、私は飛び起きて泣きながら主人を起こしました。

早朝4時の出来事でした。

結局、彼の姿は見ずに済んだのですが、あの時聞こえてきた声と気配が本当に彼のものだったのか、もしかしたら何かそのホテルにある曰くが原因するものなのか、今となっては知る由もありません。

ですが、私は今でも彼と彼の住んでいた町が怖くて、その町を通る時は彼と似た背格好の男性が歩いていないか、これまで以上に注意深く目を凝らして見てしまうようになったのです。

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