【怖い話|実話】短編「私も行きたい」心霊怪談(海外・ニュージーランド)

【怖い話】実話怪談|短編「私も行きたい」心霊体験談(海外・ニュージーランド)
投稿者:ももたろう さん(40代/女性/主婦)
体験場所:海外・ニュージーランド(ロトルアという温泉町)

兄夫婦には三姉妹の娘がいます。
私にとっては可愛い姪っ子たちです。

ですが、当時は三女が生まれたばかりの大変な時期で、長女はしっかり者だったので可愛がられていましたが、3歳だった次女のAちゃんは、少し兄夫婦から疎まれているようでした。

その為、兄夫婦の家の隣に住む私たちの両親が、Aちゃんを引き取って面倒を見ている時期がありました。

その年の夏休みのことでした。

私の家族(私・夫・4歳の息子)と両親とで、海外旅行へ行くことになりました。

「私も行きたい!」

そう言って、両親が預かっていたAちゃんもすごく一緒に行きたそうだったのですが、兄夫婦と上手くいっていないAちゃんを海外まで連れ出すのも何だか気が引けて、旅行の間だけ兄夫婦の元に戻したのです。

そうして私たちは4泊5日のニュージーランド旅行に向け、ワクワクして飛行機に乗り込み現地へと向かいました。

ですが、旅の初日、ニュープリマスという町に滞在していた時のことです。突然、父が体調を崩し病院へ行くことになってしまいました。

幸い、父は次の日には回復したのですが、両親の体調のことも考えると、次に向かうはずだった街はキャンセルして、ロトルアという温泉地へ行き少しゆっくりすることにしたのです。

しかし、ロトルアに到着したその夜のことでした。
長旅の負担が祟ったのか、今度は4歳の息子も体調を崩し熱が出てしまい、直ぐにレンタルしていた車に乗せて緊急で病院に連れて行きました。

到着した病院の駐車場はガラガラでした。
病院の入り口の前に、1台の車が止まっているだけ。

私たちもその隣に車を止め、息子を抱いて急いで病院に入ろうとした時でした。

「あの子は行かないの?」

そう言って、息子が隣の車を指差したのです。

私も夫も気が付きませんでしたが、隣の車に誰か乗っていたのだろうかと振り返ってみると、やっぱり車には誰も乗っていませんでした。

息子は熱のせいでぼんやりしているのだろうと思い、私たちは気にせず病院の中へ急ぎました。

診察をしてもらうと、やっぱり疲れからくる発熱のようでした。

熱が引くまで帰ってはいけないと先生が言うので、息子に薬を飲ませ、そのまま病院のベッドで寝かせました。

しばらくして、息子が目を覚ました頃に再び先生がやって来て、もう一度診察をすると、

「もう大丈夫そうですね。そろそろ帰って頂いても構いませんよ。」

先生がそう言ってくれたので、私たち夫婦もホッと胸を撫でおろした、その時でした。

「あそびたーい!あそぼーよー!〇〇ちゃんとあそびたーい!」

突然、息子がそう言って騒ぎ始めたのでです。

私たち夫婦も先生も何事かと驚いて、咄嗟に息子の方を見ました。

息子は一人で「あそぼーよー!」と、壁に向かって話し掛けていました。

その頃4歳だった息子は、まだ言葉使いがたどたどしく、きっと何かと言い間違えているのだろうと思いました。

「誰も、いないよ?」

とだけ言って、私たちは息子の言葉をあまり気にせず、先生に挨拶を済ませると、息子の手を引いて外に向かいました。

駐車場に出て、外の空気を目一杯吸い込み、とりあえず息子が無事だったことに安堵して車に乗り込みました。

すると、私と一緒に大人しく後部座席に乗り込んだ息子でしたが、車が走り出した瞬間、

「ばいばーい。ばいばーい。」

と言って、隣に止まっていた車に向かって手を振り始めたのです。

もちろん隣の車には誰も乗っていません。

先程から繰り返される息子の奇行に、さすがに私たちも少し気味が悪くなり「誰もいないよ、手を振るのやめて」と言いましたが、息子はその車が見えなくなるまで、ずっと手を振り続けていました。

ようやくホテルに戻り、私はドッと疲れを感じながら車を降りました。

それもそのはずで、時間は既に深夜の12時を回っていました。

早く部屋に戻って眠ろうと、エレベーターに乗って部屋のあるフロアを目指しました。

チンっと鳴ってエレベーターが開くと同時に、部屋の鍵を持たせていた息子が走って部屋に向かいました。

遠くで器用にドアの鍵を開けて部屋に入る息子を見て、すっかり元気になって良かったと思いながら、私たちも部屋に向かって歩きました。

部屋の前まで来て、息子が締めたドアをもう一度開けて部屋に入り、ドアを閉めようとした時でした。

部屋の外からグッと誰かにドアノブを引っ張られる感触がありました。

驚いて振り返ると、閉まりかけた扉の隙間から、一生懸命にドアノブを引っ張り扉を開けようとしているAちゃんの姿が見えました。

「ヒッ!!!」

いないはずのAちゃんの姿に驚いて声を上げると、前にいた夫が振り返り眉根に皺を寄せたかと思うと、そのまま手を伸ばしてドアノブを握り、勢いよくドアを締めて鍵を掛けました。

そのまま部屋に上がるなり、夫は備え付けのキッチンにあった塩を持ち出し、部屋の隅々に盛り塩をしました。

一体何が起きているのか分からない上に、当然そんな付け焼刃な方法を信用出来るはずもなく、その夜、私達夫婦は一睡もすることが出来ませんでした。

あれは、日本にいたはずのAちゃんが飛ばした『生霊』というものだったのでしょうか…?

因みに息子が病院で「〇〇ちゃんとあそびたーい!」と言っていた〇〇ちゃんというのも、Aちゃんの名前でした。

病院で終始、息子が見ていたものはAちゃんの生霊だったのかもしれない。そう思いました。

(そんなにこの旅行に来たかったのか…)

それなのに、無理に兄夫婦の元へ戻してしまったことを、私は少し後悔しました。

結局、この旅行は全く計画通りには進まず、私たちは楽しむことが出来ませんでした。

Aちゃんも一緒に連れて行ってあげたら、また違った旅になったのかな、と、今もたまに当時のことを思い出します。

この話は5年ほど前のことで、今では兄夫婦もAちゃんと仲良く暮らしています。

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