体験場所:大阪府 某所
これは私が大阪に住んでいた頃に、パートの仕事で出会った人に聞いた話です。
当時私は、内職の仕事を主婦の方などに斡旋する会社でパート勤めをしていました。
内職の仕事とは、雑貨の袋詰めやシール貼りなど、誰にでもできる簡単な作業を自宅でしてもらうというものです。
会社ではたくさんの内職さんを抱えており、私の仕事は内職に必要な材料などをダンボールに詰めて、自家用車でそれぞれのご自宅に届け、出来上がったものを回収するというものでした。
内職されている方の年齢層は結構幅広く、小さなお子さんがいる方から年配の方まで色んな年代の方がいましたが、そのほとんどは女性の方でした。
荷物の集配の際には、小さなお子さんがいるような方は忙しそうで、あまりお喋りする時間もなく淡々と品物の受け渡しだけをしていましたが、年配のおばざん達は暇を持て余しているのか、むしろお喋りしたがる方が多かったです。
そんな、おしゃべり好きなおばさんの中に、Rさんという方がいました。
ある日、内職の出来上がったものを受け取りにRさんの家に伺った時、
「ちょっと上がってお茶でも飲んで行かない?」
そう言って誘ってくれたんです。
Rさんは話好きで、政治の話題から芸能人のゴシップまで、色々なお話を聞かせてくれていつも楽しませてくれます。
急ぎの集配もないことだしと、私は喜んでこたつのある部屋へと上がらせてもらいました。
その日は、ある芸能人の『親子鑑定』のことについてテレビで取り上げられていたようで、
「私の知り合いにもいるんだよ…」
と言って、Rさんはこんな話を始めました。
妊婦のAさんが、産婦人科クリニックで赤ちゃんを出産した時の事。
初産だったAさんは、近くに自分の母親が住んでいたにも関わらず、遠くに住む夫の母親にサポートに来てもらって出産をしたそうです。
普通の妊婦なら、余程の理由がない限り自分の母親を頼るものですが、なぜかAさんは夫の母親を頼りにしたのだそうです。
理由は分かりませんが、周囲もあまり詮索することなく、単純に姑に孫の顔を一番に見せてあげたいと思っている優しいお嫁さん、という風に理解していたそうです。
実際お姑さんも自分を頼ってもらえて、しかも孫の顔も一番に見られて嬉しそうだったそうです。
ところが、これには怖い裏話があったと言うのです。
「出産のサポートにはお姑さんに来てもらった方がいい。」
そうAさんに入れ知恵したのが、実はRさんの知り合い女性なのだそうですが…
その女性というのが、他でもない、Aさんの母親だと言うのです。
普通なら娘の出産には母親が付き添い、背中をさすったり声を掛けたりサポートすると思うのですが、その母親はそれを全部姑にさせるよう娘にアドバイスしたのです。
生まれてくる赤ちゃんに対して、姑がより強い愛情を持つように…
「でも、なぜそんな必要が?」
と、私には全く訳が分からず、不思議に思って尋ねたら、Rさんはこう言いました。
「その赤ちゃんってのがさ、Aさんが不倫して出来た子供だからだよ」
妊娠が分かった時、Aさんは自分の母親に対し、実は不倫相手との間に出来た子供だと打ち明けていました。
それを聞いた母親は、「このことは誰にも言うな」と強くAさんに口止めしました。
そして出産の際には姑にサポートをお願いすることで、不倫相手との子供だとは微塵も感じさせず、むしろAさんや赤ちゃんに対するより強固な絆を感じさせようと画策したのだそうです。
その計画は成功し、すっかりその手に引っ掛かった姑さんは、Aさんを疑うこともなく、赤ちゃんのことも本当の孫だと思い込んだまま数年の月日が流れました。
しかし悪いことはできないもので、結局Aさんは離婚することになったそうなのですが、その原因はAさんの不倫とは全く関係のないことでした。
結局、離婚した後もAさんの元夫は、未だにその子が自分の子供だと信じたまま、養育費を払い続けているらしい…という話でした。
以前テレビで、知らずして自分の子ではないのに育て続けていたり、養育費を払い続けたりしている男性は結構多いと言っていました。
Rさんの話を聞いて、浮気する娘も娘だけれど、それをごまかす方法を考える母親もいるんだとぞっとしました。
女性の私が言うのもなんですが、女って本当に怖いですね。
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