【怖い話】人間が一番怖いと思う実話|短編「知らずに背負っていた十字架」広島県の夫婦の恐怖体験

投稿者:ふみか さん(30代/女性/主婦/広島県在住)
体験場所:広島県H市

現在、広島県で2歳になった長女と夫と3人暮らし。

傍から見れば、平凡で幸せそうに見えるのではないかと自分でもそう思います。

でも、私と夫には、この生活を手に入れる直前に、忘れられない事がありました。

私にとっては知らず知らずのうちに背負ってしまった十字架のようなものですが、『取り返しのつかないことをしてしまった』という罪悪感だけが残っています。

十字架
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あれは、遡ること3年前の話です。

私と主人は出会ってすぐ、お互いに一目惚れで、真剣なお付き合いに発展しました。

一緒にどこかに出かけたり、ドラマーである彼が出演するライブを見に行ったりと、幸せの絶頂を日々噛みしめる毎日でした。

彼はマンションで一人暮らしだったのですが、私はよくそこを訪れ、部屋でゆったりと過ごすことも多くありました。

そんなある日、彼がある一本の電話をとった瞬間、さっと顔色が変わった時があったのです。

明らかにおかしいとは思いましたが、彼は電話をしながら外に出て行ってしまうほど、電話の内容を私に聞かれたくないようだったので、あえて何も聞きませんでした。

ですが、慌ただしく戻ってきた彼は、

「出かけないと行けなくなった」

と言うのです。

「こんな夜にどこへ?」

くらいは聞いたと思いますが、彼は頑なに口を閉ざしたまま、話してはくれませんでした。

彼が体調を崩したのは、それから間も無くしてからのことです。

最初は腰の痛み。次に右足でした。

原因不明の痛みに苛まれ、1ヶ月後には車椅子になっていました。

私が妊娠したことが判明したのは、ちょうどそんな時でした。

それで病院に行ったところ、

「妊娠しているのに受精卵が見当たらない」

と言われたのです。

「妊娠反応は強いので、子宮内に受精卵が見当たらないことはまずない」

とベテラン医師に言われ、子宮外妊娠が濃厚だと言われました。

いつ腹腔内で妊娠物質が爆発してもおかしくないので即入院。

気づくと私も車椅子に乗っていたのです。

「彼氏と彼女が二人とも車椅子の確率って一体どれくらいなんだろうね。」

そんな風に私たちは電話で話をしていたのですが、ついに、彼が耐えきれない様子で私に話してきたのです。

告白
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それは…数年前、3ヶ月だけ付き合っていた彼女がいたこと。

その彼女の束縛に耐えきれず別れを切り出した途端、彼女がストーカー化し、付きまといを受けたとのこと。

彼女を何度も説得したが話を聞いてもらえず、駅に現れたり、マンションの前で待ち伏せされたこと。

身の危険を感じ、警察に何度も相談しに行ったこと。

そんな風に話し出したのです。

そして彼が電話を受け取ったあの夜、彼女が川に浮かんでいるところを発見されたようです。

川で溺死
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警察は自殺と断定したようですが、それには彼の証言が必要だったため、警察に行っていたとのことでした。

警察に相談していたことを記録に残されていたことが、後々に良かったようでした。

彼女の日記には、想像で彼とデートに行ったことなどが複数書かれていたため、彼女の精神が相当に病んでいたことが考えられます。

そして彼女は彼に、「彼女と一緒にいるところを見たよ」と言ったそうです。彼女というのは私のことです。

彼の話はそこで、曖昧なまま終わりました。

実は、私自身も昔ストーカーまがいなことをしていた経験もあり、ストーカーをされた経験もあります。

そのため、彼女と彼、両方の気持ちが分かるような気がしていたのです。

なので、(私に最初から話していてくれたら…)と思いましたが、結局その言葉を彼に掛けることはできませんでした。

彼が話の最後を曖昧にしたのは、彼女に対して、私への思いを口にしたからではないか…私はそう思っています。

おそらくそのことが、彼女が自殺をする引き金になってしまったのだと。

彼が曖昧に話を終えたのも、私に十字架を背負わせたくなかったからだと思いますし、あえて私もそれ以来、このことを口に出したことはありません。

ですがその後、私はベッドで横になりながらも、

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」

何度も心の中でそう叫んでいました。

すると、数日の入院を経て、無事に子宮内に妊娠が確認でき、あっけなく私は退院することとなったのです。

一方、彼は、

「通りすがりのおばあちゃんが『お守り』をくれた。」

急にそんな事を言うんです。

「そんなことある?」

なんて私も茶化していたんですが、効果があったのか、それから彼の体調も劇的に回復していきました。

その後、私たちは結婚し、彼のマンションで一緒に住み始めました。

その時、気が付いたことが一つありました。

それは…

玄関ドアの外側に、無数の手の跡のようなシミが浮き出てきたのです。

無数の手形
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何度かシミを拭いてみたのですが、取れませんでした。

おそらく彼もこのことに気が付いたんだと思いますが、

「鍵が開きにくくなったから、ドアごと取り替えないか?」

と言ってきたのです。

私はそのことについて、もちろん頷くだけでそれ以上は何も言いません。

そして、これからもおそらく何も言わないでしょう。

この十字架を背負って生きていくことが、私の定めだと思うからです。

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