【怖い話|実話】長編「アパートの隣人」人間が一番怖いと思う話(東京都)

東京都:アパートの隣人
投稿者:ぽぴー さん(20代/女性/会社員)
体験場所:東京都杉並区高円寺

これは、私が大学1年生の時の体験談です。

東京の大学へ通うことになった私は、田舎から上京して杉並区高円寺のとあるアパートで一人暮らしを始めたんです。

3階建ての各フロア5室ほどの古いアパートでしたが、家賃の安さが魅力でそのアパートに決めました。

生活してみると特に不便はなかったのですが、欠点を上げるとすれば日当たりが悪く、晴れた日の昼間でもアパート内が薄暗いことと、電波状況が悪く携帯電話の通話に多少難があることくらいでした。

それと、生活してみて一つ気になったのは、アパートに暮らし始めて半年が経過しても、他のアパートの住人と行き交うことが全く無く、それを少し不思議に感じていました。

私の部屋は2階の角部屋だったのですが、アパートに引っ越してきた際に、隣の部屋だけは一応挨拶をしておこうとインターホンを鳴らしたのですが、おそらく留守だったのか全く反応がありませんでした。

隣の部屋のドアが開く音や水を流す生活音はしていたので、間違いなく隣人が住んでいることは分かっていましたが、

(東京ではお隣さんに挨拶しなくても普通だよね…)

とも思い、面倒臭さもあって、結局そのままお隣さんに挨拶に行くことはありませんでした。

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それからしばらく経ったある日、1階にある共同洗濯機(各部屋とも狭いので部屋には置けない)を使っていた時のことです。

いつものように洗濯終了時刻を見計らって洗濯物を取りに行くと、私の洗濯物の中に見たこともないボロボロの靴下が4足ほど紛れ込んでいたんです。

(きっと誰かの嫌がらせだ…)と少し気味が悪く思って、それからは共同洗濯機を使うのはやめ、近くのコインランドリーを利用するようにしました。

その頃からです、ちょっと変なことが起こり始めたのは。

夜中の2時頃にインターホンが鳴り、外に出てみても誰もいなかったり…

夜中に度々、携帯電話に非通知で着信が来るようになったり…

一度、夜中の2時頃に携帯電話が鳴った際、目が覚めた私は寝ぼけたまま電話に出てしまったことがあるのですが、電波が悪いせいか相手の声は途切れ途切れで、しかもようやく聞き取れた「もし…もし…」という声が、まるで変声器を使ったような気持ちの悪い声で、私はすぐに電話を切りました。
後で着信履歴を見ると、やっぱり非通知電話でした。

そんな気味の悪い日々が続いたある日のことです。

そのアパートの1階には共同のゴミ置きボックスが備え付けられており、夜のゴミ出しも良いことになっていたので、朝が弱い私にとっては大変助かっていたのですが…

その日、夜中にゴミ置きボックスにゴミ袋を捨てに行き、部屋に戻って来た時のことです。

私が部屋に入った直後のタイミングで、お隣さんのドアが開き、1階に駆け下りていく足音が聞こえました。

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時間は既に夜中の23時頃だったので、(こんな時間に出かけることもないだろうし、お隣さんもゴミ出しかな…)と思ったのですが…

よくよく思い返してみると、私がゴミ出しに行く時間はいつも22時~23時頃なのですが、毎回私がゴミ出しから部屋に戻ったタイミングで、必ずお隣さんが部屋から出て来ることに気が付いたんです。

まるで私が部屋に戻ったタイミングを見計らうように、お隣さんが1階へ降りていき、すぐにまた2階に上がって自分の部屋に戻るのが足音で分かるんです。

そんなことを少し奇妙に思っていたある日のことでした。

その日もいつも通り夜中にゴミを出し終え部屋に戻ると、やっぱりそのタイミングでお隣さんのドアが開く音がしたので、気になっていた私は、玄関ドアの覗き穴から表を覗いてみたんです。

私の部屋の目の前がちょうど階段になっていたので、そこを降りていくお隣さんの後ろ姿が見えました。

初めて見るお隣さんの後ろ姿は、黒い服を着た小太りのおばさんでした。

(またすぐに戻るのかな~?)

そう思いながら覗き穴を見ていると、案の定、そのおばさんが戻ってきたのですが…片手に何か持っています。

(ゴミを出しに行ったはずなのに…どうして?)

と思いながら、階段を登り切ったおばさんが持っていたものを見て、私は自分の体から血の気が引くのが分かりました。

それは…数十秒前に私が出したゴミ袋だったんです。

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ついさっき私がゴミを出した時点では他にゴミ袋はなかったので、それは間違いなく私が出したごみ袋だと確信しました。

ということは、これまでも私がゴミを出し終えた後に部屋から飛び出してきたお隣さんは、恐らく私の出したゴミ袋を回収していたのだと考えられます。

顔面蒼白になりながら、不意に思い出したことがありました。

私の洗濯物にボロボロの靴下が紛れ込んでいたあの日、私は洗濯物を干しながら、その中に捨てたはずのTシャツも紛れ込んでいたことに気が付きました。

(あれ?このTシャツ、捨てたはずだけど…?)

とは思ったものの、私が捨てたと勘違いしていたのだろうと思い直し、気にしなかったのですが…

恐らくはお隣さんが私のゴミ袋を漁り、それを私の洗濯物に入れておいたのだと想像して寒気がしました。

非通知の電話も、私の個人情報が書いてある紙ゴミを見つけ出し、夜中に私の携帯にかけたのだろうと見当が付きました。

目的は全く分かりません。

部屋で騒いだこともないですし、大きな生活音を立てて迷惑をかけた覚えもありません。

何かお隣さんの恨みを買うような心当たりは全くないのですが、逆にそれが気味が悪くて…

会ったこともない、恨まれる筋合いもない相手が、私の行動を逐一観察している。
そんな純粋な好奇心か悪意か、どちらにせよそんなものに晒されていることが余りに気味悪く、私はそのアパートから引っ越すことを決めたんです。

それから直ぐに引っ越し先も決まったのですが、新しい部屋に入れるまで1ヶ月の待ち時間がありました。
それまでの間、私は今のアパートでゴミを出す事が怖くて堪りませんでした。

朝の通学前に出そうかとも考えましたが、私が家を出てからゴミ収集車が来るまでの間に、またお隣さんに漁られる可能性も十分に考えられます。
とりあえず引っ越すまでの間の対策として、ゴミ出しの回数を減らすよう、私は出来るだけゴミを貯めてから出すことにしたんです。

それから何日か経ち、大学が休みの日のある朝のことです。

溜まった分のゴミをゴミ置き場に出しに行き、その日は休みだったこともあり、私はその場でゴミ収集車が来るのを待つことにしました。
でも、なかなか収集車が来ないうちに私はトイレをもよおしてしまって、

(まさか朝だし…お隣さんも来ないよね…)

そう思って、一旦部屋へ戻ってトイレに入った瞬間でした。

隣の部屋のドアが開く音が聞こえたんです…

慌ててトイレを済ませ、玄関ドアの覗き穴から外を覗くと、私が出したゴミ袋を両手に抱えて階段を上がってくるお隣さんの姿がありました。

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全身が凍り付きました。
このおばさんは一体何が目的なのだろう?
その理由が全く分からず、私は除き穴から見える隣人を、ただただ恐怖の対象として見つめていました。

隣人が部屋に戻ったのを音で確認した後、私は慌ててゴミ置き場へと確認に行きました。

すると、やはり私がさっき出したゴミ袋だけが無くなっていました。

しかも、その代わりのつもりなのか、私が3ヶ月以上前に出したはずの靴や洋服がゴミ袋に入れられ捨てられていたのです。

それに、恐らくわざとなのでしょう、他の住民にも見せつけるかのようにゴミ袋の口は開いたまま。
私が一度部屋に戻る前は無かったはずなので、間違いなくあのおばさんが捨てたのだと思います。

理由は分かりませんが、やっぱり監視されている…
そう思うと怖くて仕方ありませんでした。

無事に引っ越しが済んでからは、ようやく安心して暮らせるようになりましたが、でも、もし万が一、部屋の中まで監視されていたとしたら…

そう思うと、数年経った今でも恐怖を感じます。

そのアパートは今でもあるのですが、あの隣人がまだ住んでいるのかは分かりませんし、確認したくもありません。

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