体験場所:神奈川県 Y市・H市
私は霊感がありません。きっぱりと言い切ります。
あらゆる超常現象も何か原因があることで、きちんと調べれば科学的に証明できるでしょう。UFOも未確認飛行物体と言うならまだしも、宇宙船であるとは信じていません。
そんな私ですが、実際には科学的に証明できそうもない不可解な現象に何度か遭遇しています。
例えば、夫婦で寝ていると、大きな足が二人の間を足元の方に向かって歩いていきました。それは少女の足の大きさではありませんでした。そのことが何故か私に『ああ、男の子を授かるんだな』と思わせました。数日後、おしるしがあり、検査をしたら妊娠していました。生まれてきたのは男の子でした。
また、私が生まれた神奈川の家は分家でしたが長い歴史のある家でした。ある事件の後、本家の血筋は死に絶えました。大人たちが祟りだと話しているのを聞いたことがあります。
そんな体験をしていても霊や祟りの存在を否定する私ですので、正直これからする話が怖いものなのかどうか私には分かりません。
親にも話したことのない話ですが、数人の仲の良い友人に聞かせると「怖い」と言っていたので、きっとそうなのでしょう。
それは、私がまだ幼かった頃のことです。
私は病弱で、よく熱を出しては寝込むことの多い子供でした。
そんな時、必ず見るのです。少女の夢を。
熱でうなされていると、すっと寒気が消え、私は広い竹林にいるのです。
その竹林は果てが分からないほど広く濃いのですが、ルーマニアの呪われた森のように何故か真ん中だけが丸い空き地になっています。
竹というのは地下茎で繋がっていて、辺り一帯に無尽蔵に生えるはずですので、竹林に空き地があることはとても不自然です。誰かが抜いたようにも見えません。竹が自然とそこに生えることを避けているように見えました。
空き地の中心では、昔話に出てくるような赤い着物の女の子が、トントンと毬をついています。
深い緑に囲まれた場所で見る赤い着物は驚くほど鮮烈で、とても印象的な光景なのに、なぜか女の子の顔だけが分かりません。ツヤツヤしたおかっぱで、毬をつく度にその髪がサラサラと揺れます。
人見知りもせずおしゃべりなはずの私ですが、女の子に声を掛けることはなく、ただその光景をジッと見ています。
トントン、トントン、毬をついている女の子も私のことに気付いていないのか、こちらを見ることはありません。
赤と緑のその鮮やかなコントラストは次第に暗くなり、私は目を覚まします。
目を開くと、見慣れた自分の家の天井が見えます。
その途端、突然の寒気と息苦しさに襲われます。
吐き気をもよおし、ゼーゼーと咳込み、一生懸命に両親を呼んで助けを求めます。
体温を測ると40度近い発熱があり、夜中に病院に行ったことも何度もあります。
そんな重い症状が発生する前触れのように見る夢だったので、恐怖の対象として捉えるのが妥当だと思うのですが、どうしても私にはその夢が悪いものには思えないのです。むしろ、夢が私の病状を知らせてくれ、注意喚起してくれている気さえするのです。
ただ、1つだけ心配なことがあります。
私は今までこのことを大人の人間に話したことがありません。
もしもあの女の子が私の守り神なのだとしたら、今ここで夢の話をすることは、彼女に対する裏切りのようにも感じられ、祟る恐れがあるのではないかと思うのです。
冒頭から霊や祟りの存在を信じないと言い切っている私ですが、禁忌とされるものを無意味に侵すつもりもありません。ですから、今回このお話をすることはとても勇気のいることでした。
ただ、もしも私が否定してきたようなものが本当に存在するのだとしたら、私は夢の中の少女の正体が知りたいと思うのです。
私と同じような経験をされた人がいないか知りたいのです。
どなたか同じ体験をされたことがある方はいらっしゃいませんか?
できれば少女が誰なのか思い至る方はいらしゃいませんか?
実は、他にも怪異体験があります。
気に入っていただければお話いたします。
コメント