体験場所:宮城県仙台市太白区
私が小学2年生の頃、仙台市の太白区に住んでいた時に体験した話です。
その日は、通っていた小学校の近くにある公園で友達と2人で遊んでいました。
その公園は森に隣接しており、当時は森の中に自由に出入りすることが出来ました。
なので私と友達もしばらく公園で遊んだ後、森の中に入って探検を始めたんです。
しばらく森の中を進むと、私達の背よりもはるかに高い金網フェンスに辿り着きました。
フェンスには大量の蔓が巻き付いていて、向こう側は見えませんでした。
私はどうにか向こう側に行けないかとフェンスを登ってみたり、木の枝で蔓を払ってみたりしましたが、どうすることも出来ませんでした。
すると、少し向こうのフェンスの前でしゃがみ込んでいた友達が「見て!」と声を上げました。
近付いて見てみると、地面に接しているフェンスの一部分に穴が開いていました。
穴の大きさは小学2年生の私達がやっと通れる程度の大きさで、私達はギリギリで通り抜けることが出来ました。
フェンスの向こう側に出ると、1階建てのとても古い家が3軒程見えました。
すると一軒の家の軒先に、私達の方を見ているおばあさんがいることに気が付きました。
私は「ここはどこ?」とそのおばあさんに聞きました。
おばあさんは「長崎県だよ」と答えました。
「・・・え?」っと、ポカンとしている私たちに、今度はおばあさんは笑顔で手招きして「こっちへおいで。一緒に遊ぼう」と声を掛けてきました。
ですが、私はそれより仙台市から長崎県に来れたことに感動して、「お母さんを連れてくる!」とおばあさんに言い残すと、友達と一緒にフェンスの穴を再び通り抜け、走って森から公園へと駆け戻りました。
そのまま友達と一緒に私の家に行き、「いつもの公園から長崎県に行ってきた!長崎県に歩いて行けるんだよ!」とお母さんに言いました。
一瞬目を丸くしたお母さんは、次に笑い出して「そんなはずないよ」と言いながらも、詳しく話を聞いてくれ、そのまま一緒に森まで付いて来てくれました。
私と友達は、お母さんを森の中のフェンスの前まで連れて来ると、さっきの長崎県へと続くフェンスの穴を探しました。
しかし、いくら探しても穴が見つからないんです。
場所を変えてあちこち探してみるのですが、あの穴がどうしても見つかりません。
そのうち夕方になってしまい、お母さんに「もういいから帰ろう。もし穴が見つかっても、もう絶対入っちゃダメだよ」と言われてしまいました。
後日、どうしても納得いかなかった私と友達は、もう一度お母さんを連れて森へと向かいました。
森の中に入ると、犬を連れて散歩している一人のおじさんがいました。
するとお母さんがそのおじさんに「ここから長崎県に行けるって子供達が言うんですけど、何かそうゆう話、知ってますか?」と聞きました。
するとおじさんは笑いながら「長崎県は分からないけど、でも人はよくいなくなるって聞くけど、どうだろね。」と言いました。
やっぱり、その日も穴を見つけることは出来ませんでした。
その後も何度かフェンスまでは行ってみたのですが、結局、もう一度あの穴を見つけることは出来ませんでした。
私と友達が入った穴の先は本当に長崎県だったのか、未だに謎のままです。
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