【怖い話|実話】短編「不自然な友人」心霊怪談(茨城県)

【怖い話|実話】短編「不自然な友人」心霊怪談(茨城県)
投稿者:しゅう さん(50歳/男性/自営業)
体験場所:茨城県H市

私が高校生の時の話です。

その日は学校が終わった後、友人が遊びに来ていました。

当時、私とその友人はバンドをやり始めたばかりの頃で、ひたすらバンドスコアを見たりCDを聴いたりしながら次にコピーする曲を2階の私の部屋で相談していました。

熱のこもった話し合いをしているとあっという間に時間が過ぎ、いつの間にか外も暗くなってきた頃の18時ぐらいだったでしょうか。庭の方から車が入って来る音がしました。

私には姉が2人おり、その2人ともが既に就職して車通勤をしていました。おそらくその下の姉が帰ってきたようでした。

その姉の車の音を聞いて、そういえば友人が乗ってきた原付が庭の駐車場のど真ん中に停めてあるのを思い出しました。

「オレ動かしてくるから、原付の鍵貸して」

そう言って友人からカギを受け取ると、私はそそくさと庭に出ていきました。

庭に出ると、丁度姉の車がバックで駐車場に入ろうとして原付に気が付いたところのようで、車は止まっていました。

我が家の姉弟は結構仲の良い姉弟でしたので、私は原付を動かす前に車の横に行って「お帰りー」と声を掛けようとしたんです。

それで姉の車の方にふと目をやると、どうやら姉の友人が一緒に乗っているようだったので、水を差すのも悪いと思って声を掛けるのをやめ、原付だけ動かして自分の部屋へと戻りました。

それから再び友人と2時間くらいバンドについての話し合いをして、20時頃だったでしょうか、友人がそろそろ行くねと言って帰って行きました。

友人が帰った後、私は広げていたバンドスコアやCDを片づけて、2階の部屋から居間へと降りて行きました。 

すると両親と先程帰ってきた姉がテレビを観ています。まあ、そこだけ切り取って見ると普段通りの光景だったのですが、姉は友人と帰ってきていたはず。その友人を送って行った様子もなければ帰った感じもしなかったので、私は一瞬「ん?」と違和感を感じました。

「あれ?友達は帰ったの?」

そう姉に聞くと、

「友達?何言ってるの?私普通に仕事帰りだから友達なんか来てないよ」

と返ってきます。

私はちょっと混乱しつつも、先程原付を動かしに行った際の場面を思い出していました。 

外はやや薄暗くなってはいたものの、確かに姉の車には、姉の他に、ソバージュを掛けたような少し長めの髪の女性が乗っていたはずです。

そのシーンを思い出すと同時に「あっ!」と声が出てしまいました。

姉の車は国産車2ドアスポーツクーペタイプだったのですが、その女性が見えたのは右側後部の大きめの三角窓からでした。要するに姉が座っている運転席の真後ろの席に座っていたのです。普通に友人と2人で車に乗るとしたら、当然助手席に座っているであろうところをです。

その不気味な回想を姉に話すかちょっと迷いましたが、何か悪いことでも起きたらまずいと思い、両親含めその場で話しました。

姉はちょっと怯えてはいましたが、私も含めうちの家族は心霊現象なんてテレビで観るだけのもの、ぐらいの楽観的家族でしたので、「週末にお守りでも買って来るよ」程度で話は片付き、幸いその後も何も起きませんでした。

ただ、その話を家族でしていた際、姉がもしかすると思い当たる節があると話していました。

当時、姉はSE職として大手企業の研究所に勤めていました。

研究者の中には繊細な方も多く、しかも徹夜続きな上に激しいプレッシャーがのしかかる、そんな職場なので何年かに一度ぐらい自ら命を絶ってしまう方が出てしまうらしいのです。

姉はその年からそこに勤め始めたのですが、勤め始める丁度1ヶ月前に、女性の職員の方が研究所の屋上から飛び降りて亡くなっていたそうなのです。
そして姉が通勤時に車を停めている場所というのが、その方が飛び降りた辺りらしいのです。

その亡くなった方と私が見た女性が同一人物かは分かりませんが、今でも不自然に後部座席に座っている女性の姿がくっきりと記憶に残っています。

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