【怖い話|実話】短編「見知らぬベビーシッター」心霊怪談(東京都)

【怖い話|実話】短編「見知らぬベビーシッター」心霊怪談(東京都)
投稿者:もちまる さん(30代/女性/会社員)
体験場所:東京都大田区池上

これは、私が生まれてすぐの体験で、親戚の間でも話題になった不思議な出来事です。

生まれてすぐの頃、私は東京都大田区の池上本門寺という有名なお寺がある地域に住んでいました。

母にとって、私は一人目の子供だったこともあり、慣れない育児で母は毎日慌ただしく、また父も仕事の出張が多かったため、なかなか落ち着いた時間というものを過ごせずにいました。

そんなある日、ようやく父が長期出張から戻り、親子三人家でゆっくり過ごしていた時のこと。

母が、あやしていた私を父に預け、「トイレに行ってくる」と言って部屋を出たそうです。

時間にして2,3分、トイレから戻った母は驚いて声を荒げました。

母「なんで!?K(私)のこと見ててって言ったじゃん!なんでそっちの部屋で寝てるの?」

見ると、私が一人で部屋にいて、その襖を開けた隣の居間で父が横になっていたそうです。

母「こんな小さい子を放っておいたら何するか分からないでしょ!」

と捲し立てる母を、父は何を言われているのか分からない様子でしばらく黙って見ていたそうなのですが、その後でポツリと、「いや、俺はH(母)から何も言われてないんだけど…」と言いました。

母「そんなことない!トイレ行くからK(私)を見ててって言ったじゃん!」

父「いや言ってないって!」

言った言わないの口喧嘩がしばらく続いた頃でした。
ふっと、父と母の横を通る黒い影が二人にハッキリ見えたそうです。

その黒い影は、ゆっくりと動きながら玄関の方へ向かい、そのまま玄関のドアを通り抜け消えました。

父・母「・・・・・・・・・・」

それを見送るように二人でポカンと玄関ドアを見つめていると、父がまたポツリと言ったそうです。

父「H(母)は何もないところに向かって一人で喋ってた。」

え?と眉をひそめた母は、

母「何もないところに向かって喋ってたって、どういうこと?M(父)にではなく、私が一人で喋ってたってことなの?」

父が言うには、母は、隣の部屋でずっと私の世話をしていたそうなのですが、突然どこかに向かって訳の分からない言葉を口にしたかと思うと、そのままトイレへ向かったそうなのです。

それで「え?」っと父が思った直後に、あの黒い影が私のいる部屋に入り込んだように見えたそうなのですが、きっと何かの見間違いだろうと父は気に留めなかったと言うのです。

そしてトイレから戻った母と口論になっている間に、あの黒い影が再び二人の前に現れて、そのまま律儀に玄関から消えていったということです。

母は私にこの話をしてくれた時、「確かに私、あの時、話しかけた相手の顔を全く覚えていないんだ」と言っていました。

母が会話していた相手は一体誰だったのでしょうか?

育児疲れで記憶が混乱しただけなのか、それとも何か得体のしれないモノと交流してしまったのかと、当時はよっぽど恐怖を感じたそうです。

ちなみに当時私たちが暮らしていたアパートは、池上本門寺と大きな病院の中間にあったそうです。
そんな場所だったので、もしかしたら病院で亡くなった方の霊が、お寺へ向かう途中、私たちのアパートを通り道に使っていたのでしょうか?

それに私が気になるのは、母がトイレに行っていた2,3分の間、私は一体誰に面倒を見てもらっていたのでしょうか?

父と母の前を通り過ぎて行った黒い影とは?

この不思議な体験後も、特に家族に大きな事故や怪我もなく、今も平和に暮らしています。

ただ、そんな不思議な体験をしたからかなのでしょうか。私は、疲れている時は特によく、黒い影が視界の端に映るのです。あの頃からずっと、私の周りをうろついているのでしょうか。

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