【怖い話|実話】短編「あと二日」不思議怪談(大分県)

【怖い話|実話】短編「あと二日」不思議怪談(大分県)
投稿者:ふわり さん(30代/女性/主婦)
体験場所:大分県某市の老人ホーム

これは当時、私が勤めていた大分県某市の老人ホームで体験した話です。

私の業務は、施設への入居案内や入居契約の他、入居者の状況に合わせた部屋の割り当て等を担当していました。

ある時、心臓疾患のある方が入居された際に空き部屋へ案内したところ、唐突にその方が「あぁ、2日後やな」と呟かれました。

ただの独り言と思い特に気に止めることもなかったのですが、それから3日後の早朝4時、その方は亡くなりました。

一時間おきに夜勤職員が見回りをしていましたが、その1時間前の3時の時点では呼吸があったそうです。

それから2週間後、新しい入居者が決まりました。

特に健康上の問題のない年配女性の方でしたが、遠方で暮らされているというご家族と一緒に来られ、そのまま早期入居となりました。

ちょうど先日入居者が亡くなられて空き部屋となっていた例の部屋へ、その方を案内したのですが、部屋に入って直ぐのことでした。

「あぁ、あと2日」

その方もそう呟かれました。

前の入居者が亡くなられた時のことが頭をよぎり、私はなんとなく同行していた家族の方に2日ほど施設に泊まってはどうかと提案しました。

すると、もともと母親が施設に慣れるまでの間は近くのご実家に宿泊する予定だったとのことで、それならと、しばらくの間は娘さんが一緒に施設で過ごされることになりました。

その方が入居されて3日目の早朝のことでした。
私の携帯電話が鳴りました。

母親が亡くなっているのを娘さんが発見されたとのことでした。

入居者の方が亡くなった場合、その施設では自動で退去扱いとされたため、また直ぐにその部屋に次の入居者が決まりました。

入院先の病院から、そのまま直で入居される方でした。

圧迫骨折で入院されていた方で、特に他に持病はありませんでしたが、独居での生活不安を解消するための入居でした。

ただ、正直私はあの部屋に入居されることを心のどこかで心配しておりました。
ですが、入居から1週間、特に何事もなく経過してくれたので安心していました。

その日は入居後の最初の生活面談の日だったため、私は例の部屋を訪れ住み心地はどうかと尋ねました。すると、

「とても住み心地はいいんだけど、もうお別れだね。あと2日みたい。」

と、その入居者の方も言われたのです。

どうしてそんなことを言われるのかは分かりませんが、前回、前々回のこともありますし、もしかしたらこの方も、そう思うと不安になり、とにかく気弱にならないようにと声をかけましたが、その日は私も心配で眠れませんでした。

夜勤職員へは頻繁に様子を見に行くように申し送りをしましたが、そんな事ではとても不安は解消されませんでした。

それから3日目の早朝4時、結局その方も亡くなっているのが発見されてしまいました。

あの部屋に入居された方がなぜ直ぐに亡くなるのか、理由が分からないのが余計に怖く、部屋割りを担当している私は直ぐにその部屋を物置部屋へと用途変更し、代わりに今まで物置といして使っていた部屋をきれいに掃除して入居部屋にすることにしたのです。

それから2年ほど経った頃、某ウイルスが大流行しました。

それに伴い、今まで物置にしていた部屋は全て感染者の隔離部屋、又は感染防止キットの保管場所として使われることになりました。

例のあの部屋はというと、隔離部屋にすることになりました。

私はせめてその部屋はキットの保管場所にするよう進言しましたが、建物の構造や業務上の導線を考慮すると、やはりあの部屋は隔離部屋にするしかないようでした。

それから程なくして、入居者の1人に高熱と咳の症状が現れました。

病院も受診し、某ウイルスへの感染が疑われたため、仕方なくその方には1週間の隔離生活をしてもらう事になり、そのために入居して頂いたのが、あの部屋でした。

その方は認知症を患っていたこともあり、スムーズな会話は難しい方でした。

それなのに、様子を見るために部屋を訪れた時、

「あと2日、あと2日」

と、その方も繰り返しそう言われていたのです。

まさかそんなはずはないという期待も虚しく、その方も3日後の早朝4時に亡くなっていました。

施設では、なんの前触れもなく唐突に人が亡くなった場合、救急搬送と警察からの事情聴取がありました。

それに加え、遺体は司法解剖が行われるのですが、その結果、あの部屋で亡くなられていた方は皆、心臓が自然停止していたとのことで…要するに、老衰ということでした。

苦しまれる事なく天寿を全うされたのなら仕方ありません。

でも、あの部屋で亡くなった方たちは皆、

「あと2日」

そう言って、何かから最後の知らせが伝えられ、それを受け入れざる負えなかったように思えて、私はそれが怖くて不気味に感じるのです。

ところで、あの部屋で「あと2日」というお告げを聞いて亡くなったのは、入居者だけではありませんでした。

職員が1人、夜勤明けに私にこう言ったことがありました。

「3日後の夜勤の日にはもう会えないね。あと2日だから…」

今もあの部屋は隔離部屋として使われているそうなのですが、早く某ウイルスが終結して、元の物置部屋に戻る日が1日でも早く訪れる事を願っています。

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