【怖い話】都市伝説|短編「〇〇さんの怪談」高知県で噂される恐怖譚

投稿者:さとこ さん(30代/女性/医療事務)
体験場所:高知県K市の某小学校

私が通っていた高知県K市の小学校には、昔から『ナナシさん』という学校の七不思議みたいな、都市伝説めいた噂話がありました。

ナナシさんは記号の『〇』を二個連ねて『〇〇さん』と表記され、それは昔この学校で亡くなった女の子の名前らしいのですが、ずっと〇〇さんって伏せ字のまま伝えられているんです。
だから友達はみんな『名無しさん』とか『まるまるさん』って呼んでいました。

本名は分かりません。
先生に聞いても分からないと言っていました。
ただ、学校に通っている子はみんな〇〇さんの話を知っていたし、すごく恐れる存在だったのです。

○○さん
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〇〇さんが現れるのは、外が少し薄暗くなってくる夕方の頃で、目的は探し物を見つけることなんです。

どうやら〇〇さんは亡くなる前に、何か学校で大切なものを落としたらしく、それを探すために夕暮れ頃になると姿を現すのだそうです。

どうして亡くなってしまったのかなんていう詳しい事情は知りませんが、探し物をしている〇〇さんに話しかけてはいけないし、話しかけられてもいけないと伝えられていました。

その日の夕方、私がそのドンピシャの時間帯に学校に忘れ物を取りに行ったのには、ある理由がありました。
翌日の学校で歌の発表会が控えていたにも関わらず、教室の机の中に楽譜を忘れてきてしまったからなんです。

長らくピアノを習っていたこともあり、私は発表会でピアノを弾く重要なポジションに選ばれていました。
それなのに学校に楽譜を忘れるという失態を犯してしまい、それで止むに止まれず夕方の学校に楽譜を取りに戻ったのです。

校舎の中に入ると、辺りはもう薄暗く、遠くの運動場から人の声は聞こえるものの、人っ子一人いない下駄箱はシンッと静まり返り、何とも言えない雰囲気がありました。

静かな校内
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私はいつものように下駄箱で上履きに履き替えて、いそいそと自分の教室がある3階に小走りで向かいました。

誰もいない学校で、早足で階段をぺたぺたと上がっていると、怖い話が頭の中にジワリと浮かんできます。
中でも『〇〇さん』の話が特に今の自分の状況と重なって思い浮かんでしまい、どんどん恐怖感が募っていきました。

多分2階を通り過ぎた時だったでしょうか。
階段から近い2階の教室で、誰かが話しているような声が聞こえました。
私はその声にすごく安心して、足取りを落とすことができたんです。
全く誰もいない校舎は怖すぎますが、誰かいると思うとすごく心強く思えて、ちょっと安心したのです。

3階まで辿り着き、自分の教室の前まで来ると、一呼吸おいてから私は中に入りました。
使い慣れた教室が普段とは違う静けさに包まれて、なんだかゾッとしたのを覚えています。

いつも使っている教室にひと気がないことが妙に不気味で、私は急いで窓際の自分の机の中を探しました。
机の奥に入っていた楽譜はすぐに見つかって、それを掴んで一目散に引き返しました。

足早に階段を駆け降り、2階まで降りたところでようやく安心しました。
だってその階からは相変わらず人の声が聞こえていたからです。
夕方にまだ居残っている子がいてくれて、私は心底ほっとしました。

2階は下級生のフロアだったこともあり、興味が湧いた私は、ちょっとだけ覗いてみようと思いました。

…それがいけなかったんですよね。

話し声が聞こえる教室に向かう途中、一つ手前の教室で、ゾッとする光景が目に映ったんです。

それは、教卓の周りで四つん這いになって何かを探す女の子の姿でした。

何かを探す女の子
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見てしまった瞬間、冷や水を被ったかのように全身が震え上がりました。

ただの生徒だとは思えません。
だってその子の髪の毛は地べたにつくほど長くて、動き方がガクガクしていて、この世のものとは思えないくらい異様なものでした。

正直、あの瞬間のことはあまり覚えていないのですが、多分私はすぐに「ギャー」と叫んで一目散に逃げたと思います。
とにかく怖くて、無我夢中で家に帰りつきました。

部屋に閉じこもって、せっかく取りに行った楽譜の練習もせず、そのまま布団にくるまって現実逃避するかのように眠ってしまいました。

その翌日のこと、私は二度目の衝撃を受けることになりました。
なぜなら、その日の朝の会で、昨日の夕方に居残っていた下級生2人が、誤って階段から転げ落ちて重症を負ったという話を聞いたからです。

下級生二人が重傷
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その子たちに何があったのか、どうしてそうなったのか、正しい事実は知りません。
あまりに怖すぎたし、幼かったこともあり、私にはそれ以上詮索することができませんでした。

ただ、私はどうしてもあの日見た光景が脳裏にこびり付いて離れません。
話し声が聞こえていた2階の教室、その隣の部屋で何かを探していたあの女の子。

もしかして下級生の子たちも、私と同じく『〇〇さん』に遭遇してしまったのではないか…
そして声を掛け、または掛けられてしまったのではないかと、そう思わずにはいられないのです。

ひょっとしたら私が叫び声を上げて逃げてしまったことと、その後で下級生たちの痛ましい事故があったことは無関係じゃないかもしれない…

そう思ったら、申し訳なくて申し訳なくて…

ただ、一目散に逃げた自分の行動に後悔はありませんでした。

あのまま逃げずに〇〇さんと対面していたらと思うと…
思い出すたび今でも背筋が凍り付きます。

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