体験場所:愛知県名古屋市 熱田神宮
去年の夏に友人と名古屋へ旅行に行った時の話になります。
私も友人も神社にお参りに行くのが好きで、せっかく名古屋に来たのならと、さっそく熱田神宮への参拝に行くことにしました。
熱田神宮に到着してまず驚いたのは、境内がとても広く、そこかしこに多くの社殿や祠があったこと。とてもじゃないけどその全てを周るのは時間的に難しいと思った私たちは、まずは本殿のお参りだけでも済ませておこうと急いでそちらに向かいました。
手水舎に着くと、ちょうど今手洗いを終えた人と入れ違いになり、他に人の姿はなく、舎には私たちだけだったのですが、その時どこからともなく一匹の黒い蝶がひらひらと現れました。
「水を飲みに来たのかな?」「可愛いね~」などと話しながら手を洗い終えた頃には、いつの間に消えたのか、もう黒蝶の姿は見当たりませんでした。
本殿に手を合わせお参りを済ませた後、私達は前もって調べておいた場所を3つほど周ることにしました。
平日だった事もあって割と空いていたのでしょうが、それでもやはりあの有名な熱田神宮です。沢山の人と行き交いながら、ようやく予定していた参拝を済ませました。
「一通りお参りしたい所は行けたから、そろそろ帰ろうか」
そう言って、境内をぐるっと回るように帰る途中でした。脇に伸びる道の少し先にあった赤い鳥居にふと目が留まったのです。
友人も一緒だったようで、足を止めて鳥居に目を奪われている様子を見て「せっかくだから行ってみようか?」と声を掛け、私たちは鳥居の方へ向かいました。
するとそこでも、ちょうど鳥居の方から出てこられる方と入れ違いになり、辺りには私たちの他に誰もいなくなりました。
さらに奥へ入り鳥居の前まで来た時、そこにこじんまりと広がった静寂な空間に思わずしみじみしてしまい、「静かだね…」と言いながら上を見上げた瞬間でした。
空からキラキラと光る細かい何かが降ってきて、あっと言う間に私達の周りが沢山の光の粒で覆われたのです。
「えっ?!何?!何これ?!」
私達は一瞬でパニックになり、お互い悲鳴のような声を上げてしまいました。
すかさず(写真を撮らなければ!)と、手に持っていたスマホのカメラを起動しようとしたのですが、光の粒に包まれていたのは恐らく数秒の事だったのでしょう。カメラをスタンバイした時には光はどこかへ消えていました。
「・・・今の、何だったんだろう?」
「・・・人があまり入ってこない場所だし、土ぼこりに光が反射した?とかかな?」
などと興奮気味に話す私たちでしたが、髪や服を払っても土や埃を被った様子もなく、手に持っていたスマホも綺麗なままでした。
赤い鳥居の社殿にお参りを済ませ、境内を出る際も二人の会話はその話題で持ち切りで、興奮覚めやらぬまま私たちは熱田神宮を後にしたのです。
不思議な話などに目がない私たちは、旅行から戻った後も、先の体験が何だったのか気になってネットで調べたりしたのですが、同様の体験談などを見つけることは出来ませんでした。
ただ、調べてる最中に興味深い記事を目にしました。
その記事には『黒蝶は神の使いである』という趣旨のことが書かれていて、咄嗟に私たちは手水舎で見かけた黒い蝶のことを思い出しました。
黒蝶を見かけるという事は神様の歓迎を示すらしく、もしかするとあの光の粒も神様が歓迎してくれたものだったのかもしれないな?と、今も勝手にそんな風に思っています。
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