【怖い話|実話】短編「口止め」不思議怪談(京都府)

投稿者:to-to さん(20代/男性/学生)
体験場所:京都府京都市の某神社

一年ほど前、友人と京都に旅行に行った時の話です。

私たちはパワースポットとして有名な京都市のとある神社に参拝に訪れました。
やっぱりパワースポットと呼ばれるだけあって、そこは荘厳で神聖な雰囲気のある素晴らしい場所でした。

一通り参拝を終えた後、
「ちょっとトイレ行ってくる。」
友人にそう告げて私は一人トイレに向かました。

個室の洋式トイレに入って用を済ませていると、妙なものが目につきました。

床に落ちた白髪
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それは異様に長い白髪でした。

私が入ったのは当然男子トイレです。
なのに女性でもなかなかお目にかかれない長さの白髪が、男子トイレの床に落ちていたんです。

(気味悪いなぁ~)

なんとなく厭なものを見たような気がして、早めに用を済ませ個室から出ると、私の目の前、手洗い場のところに、黒いワンピースを着た異様な長さの白髪をした女がいたんです。

白髪の女
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驚くべきはその顔です。
真っ白。まるで白粉を塗りたくったように白い顔。

白い顔
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それが揺れるようにそこに佇みコチラを向いているんです。

(絶対目を合わせてはいけない…)

人生でそう思う事は数多くありましたが、今回のは全く種類が違います。目を合わせたら本当に終わるんだと思いました。

とにかくこの状況から脱しようと、恐怖心を可能な限り抑え、息を止めるように女の横をすり抜けると、

「。…ぇ。…。ぅ。…。ィ。……。」

ブツブツ何かを言う女
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…すれ違いざまに女がブツブツと何か言っているのが分かりましたが、何を言ってるのか言葉は聞き取れません。
ですが、その時はそれどころではなく、早くトイレから出ることが先決でした。

とにかく冷静にゆっくりと女の横を通り過ぎました。
そのままトイレから転げ出て、外にいた友人を見るなり、

「逃げよう!」

私はそう叫んで駆けだしました。
友人は汗だくで顔面蒼白になった私をみて、只事ではないと悟ったようでした。

神社から出た後も、背後に緊張感を覚えながらも私は一度も振り返ることなく、そのまま近くの喫茶店に駆け込みました。

席に付いて呼吸を整え、店員さんが持ってきたお冷をグイッと飲み干し、そのままアイスコーヒーを注文しました。

「・・・何があったの?」

友人は、喫茶店で少し落ち着きを取り戻した私に、そのワケを聞いてきました。

しかし、そこで改めて考えてみると、私は特に何かされたわけでもなく、ただ奇抜な格好の女を男子トイレで見ただけ。変質者?とでも言うのでしょうか?ただそんなのを見ただけです。
神社の人に言うなり、警察に通報することはあっても、私たちが血眼で逃げるほどのことだったのか、今になって疑問に思えてきました。

(でも、あの時感じた恐怖感はただ事ではなかった…)

それは確かなのですが、実際に何かされたわけでもないのですから。なんとなく気持ちが軽くなりました。

あそこまで血相変えて逃げて来たのに、その程度のことを友人に話すのも何となくはばかられましたが、何も言わないわけにもいきません。
しょうがなく、いざ話そうと顔を上げたその時。

店の外に女
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友人の背後の窓越しに、こちらをジーッと見つめるあの女がいたんです。

話そうとしてヒュっと吸い込んだ息と一緒に、私は固まってしまいました。
背中をスーッと冷たい汗が流れ落ちます。

薄っすらと笑っている女の眼は、本当に見えているのか疑わしいほど濁っています。

すると、色の悪いヒルのような唇が、白い顔の上を這うようにゆっくりと動きました。

言・う・な
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「い」「う」「な」

(・・・いうな?)

「どうしたの?」

友人にそう言われフッとそちらを見ると、友人は私の目線を追ったのでしょう、背後を振り向いていました…

ですが…女の姿は消えていました。

(何も『言うな』…ってことなのか?)

結局、私は友人に適当な嘘を付き、その場はごまかしました。
それからも、この話を誰かにしたことはありません。

あれから1年経ち、今こうしてこの話を自宅で書いて、初めて人に聞いてもらっているのですが、今のところ無事です。

あの女は一体何者だったのでしょうか?
ただの変質者とは違うのでしょうか?

あれ以来その神社には、というか、そもそも京都にも行っていませんし、特別変わったこともないのですが…

「言うな」と言われた話ですが、あまりに不気味な体験だったので、誰かに話さないと気持ちが悪くて、今日ここに書いてしまいましたが…本当に良かったのか、正直不安でいっぱいです。

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