【怖い話|実話】短編「もう一つの家族」不思議怪談(北海道)

投稿者:むぎ さん(30歳/女性/派遣社員)
体験場所:北海道札幌市北区新琴似

私が小学生の時に引っ越した先の家での出来事です。

私の家族は父・母・私・弟・妹の五人家族で、当時私は小学2年生、弟妹はまだ未就学児でした。

引っ越した家は3LDKの木造一軒家でなかなかに年季の入った家でしたが、居心地もよく、庭も広かったので家庭菜園やガーデニングを楽しんだりして、家族のみんなが気に入っていたと思います。

その当時、母方の祖母がよく自宅に泊まりに来ていました。父も母も共働きだったため祖母が食事や掃除など家のことをやってくれて、半同居生活を送っていました。

そんな生活がしばらく続いたある日のこと、学校から帰ると祖母がこんなことを言いました。

「お昼に誰かが玄関の鍵を開けて中に入ってくる音がしたから、お母さんが早く帰って来たんだと思ったんだけどね、誰もいなかったんだよ。」

その時は「ただの聞き間違いか気のせいでしょ」ということで落ち着きました。

その後、帰宅した母に一応、「今日のお昼、家に帰って来た?」と聞いてみると、「え?帰ってないよ」とのこと。
やっぱり祖母の気のせいだったんだと言うことでこの件は終わりました。

それからしばらく経ったある日の夜中、二階の寝室で家族全員が就寝中でした。

体を横向きにして寝ていると、枕越しに一階から音が聞こえてきました。

バラエティ番組のようなガヤガヤと騒々しい感じの音だったので、テレビを消し忘れたんだと思い一階に降りてリビングに行ってみると、テレビは点いていないしもちろん部屋の電気も消えています。
気付くといつの間にかさっきの音も聞こえなくなっていました。

なんだったんだろうと不思議には思いましたが、特に気にせず寝室に戻ってもう一度寝ることに。

すると少しして、またさっきのテレビのような音が聞こえてきました。

今度はどんな音なのかよく聞いてみようと耳を澄ますと、いつの間にか音は消えていて、辺りはシーンと静まり返っています。でも、ふと気付くとまた音が鳴っている。耳を澄ますと音は消えている・・・この繰り返しでした。

そんなことが繰り返されるうちに、この日はいつの間に眠ったのか、目を覚ますと朝になっており、昨晩あったことなんてすぐに忘れて私はいつも通り学校に行きました。

ただ、その後もその現象は何度か続き、ある日そのことを母に話してみました。
すると、実は母も同じ体験をしていたことを知りました。やっぱり同じように、耳を澄ますと何も聞こえなくなるとのこと。

この現象に対して母も私も感じたのは、なんだか自分たちが寝静まった後、もう一つの別の家族が起きてきて、この家の中で生活しているような、楽しくおしゃべりして笑っているような、そんな不思議な気配でした。

ただ、特に怖いといった感覚もありませんでしたし、原因も分からないので取り立てて何かすることはありませんでした。

それからしばらく経ったある夜でした。

いつもと同じように寝室で寝ていると、「ギチ……みし…」っと、まるで息を殺してゆっくりと階段を踏みしめ上がってくる、そんな床の軋むような音が寝室の外から聞こえてきたのです。

ただそれは、「・・・家鳴りかな?」と思うくらい、足音にしてはあまりにゆっくりとした拍子。

この日はそれ以外、他に音が聞こえることはなく、やはり家鳴りだったのだろうと思うことにしました。

ですが後日、いつものように家族みんなが寝室で就寝中の時のこと。

今度は、「ダダダダダダダダっっ」と一階から勢いよく階段を駆け上がってくる足音が聞こえ、バッと目を覚ますと、音に気付いたのだろう隣で寝ていた母も起き上がり、二人で目を見合わせました。

音は寝室の前まで来て立ち止まったように思いました。

絶対に扉の前に誰か立っているという気配を感じます。それに床の軋む音も。

母が寝室にあったプラスチック製のおもちゃのバッドを手に持ち、ゆっくりと扉を開けて外を確認しましたが、そこには誰もいませんでした。

そのまま一階に降りて全ての部屋を確認しましたが、結局誰もいないし誰かが侵入した形跡もありませんでした。

別に直接被害があるわけではないし、結局その現象に対し何か対策することは最後までありませんでした。もし、お祓いや霊媒師の人に相談していれば、何か原因が掴めたのかもしれませんが。

結局、深夜に聞こえるあの生活音がなんなのか、分からないまま時が経ち、やがてその家の取り壊しが決まり、私たちは別の家に引っ越しました。

現在その場所には、某メーカー住宅が建てられておりますが、そこで今もあの深夜の生活音が聞こえているのかは不明です。

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