【怖い話|実話】短編「赤い玄関扉」人間が一番怖いと思う話(東京都)

【怖い話|実話】短編「赤い玄関扉」人間が一番怖いと思う話(東京都)
投稿者:マッキー さん(29歳/女性/WEBデザイナー)
体験場所:東京都杉並区 高円寺

これは私がまだ大学生で、一人暮らしを始めた頃の話です。
当時、私は東京都杉並区高円寺にあるワンルームマンションに住んでいました。古いけど駅近で、学生に人気の物件でした。

ある日、講義の帰りに大学のサークル仲間と立ち話をしていた時、同じ学科だけどあまり接点のなかった男子学生のA君が私たちに近付いてきました。A君はいつも一人でいて、正直あまり話したこともなかったのですが、なぜかその日は珍しく私たちの輪に入ってきて、やや強引に会話に加わってきたのです。

とは言っても、他愛ない会話はそのまま続いたのですが、彼がふいに言った一言がひっかかりました。

「〇〇さん(私)って、高円寺駅の南口の、赤いドアのマンションに住んでるよね?」

その場にいた全員が一瞬黙りました。

私は「え、なんでそれ知ってるの?」と笑いながら聞き返しましたが、A君は「いや、なんか見たことある気がして」と曖昧にごまかしました。

誰も突っ込まないまま、いつの間にかその場の空気も元に戻ったのですが、私はずっと心の中がざわついていました。

私の住むマンションの玄関は「暗めの赤いドア」で、確かに目立ちます。でも、その物件は奥まった場所にあって、人が通りすがるような道沿いではなく、どこかに向かう途中で偶然目に入るような場所ではありません。そこに用のない人が立ち入るような場所ではないんです。もちろん私がA君に最寄り駅や自宅の場所を教えたこともありません。

なんだか腑に落ちないまま、それから数日が経った夜のことでした。
私はバイト帰りに、そこの角を曲がると直ぐ自宅のマンションというところまで来て、ふと違和感を覚えました。なにか視線を感じるんです。でも周囲に人の気配はない。首をかしげたまま角を曲がった瞬間でした。背後の駐車場の陰から、誰かが歩き去る音がしたのです。
その時は聞き違いかと思ったのですが…

翌朝、ポストの中に宛名のないメモが入っていました。

メモにはただ一言「昨日のワンピース、似合ってたよ。」とだけ書かれていたんです。

怖くなってすぐに管理会社に相談し、ポストに鍵をつけたり、防犯ブザーも持ち歩くようにしました。念のため大学にも相談し、A君の名前も出しましたが、証拠もないし何かされたわけでもないから、大学として動くのは難しいとのことでした。

その後、すぐに私は引っ越しました。引っ越し先は誰にも言わず、SNSも一応鍵アカにして非公開にしました。
それ以来、変なことは起きていません。

でも、今でもたまに思い出します。
A君はどうやって私の住むマンションの「赤いドア」を知ったんだろう?

ただの偶然?それとも……以前から私をどこかで見ていた?
証拠は何もないけれど、今でも赤いドアの家を見る度に、背筋がゾッとします。

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