【怖い話|実話】長編「カラスのゴミ漁り」人間が一番怖いと思った話(埼玉県)

投稿者:ちっぴちゃん さん(20代/女性/専業主婦)
体験場所:埼玉県熊谷市の自宅

これは私と夫が埼玉県熊谷市の賃貸アパートで暮らしていた時のお話です。

私と夫が暮らしていたアパートは3階建てで、各階1世帯のみで計3世帯が暮らす賃貸物件でした。

アパートの周りには数件の家が建つだけ。
ゴミ置き場もアパートの目の前、そしてスーパーやドラッグストアも徒歩圏内という、すごく条件の良い理想的なアパートでした。

理想的なアパート
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当時の私は夫の仕事に合わせて短時間のパートをしていて、週5日の勤務。
だいたい朝8時過ぎに家を出て16時頃に帰宅という感じの働き方でした。
職場は近く、帰りにスーパーに寄ることもあったので、私は自転車通勤をしていました。

私たちが住むアパートから、駐輪場・駐車場を挟んだすぐ隣には、貸家で1人暮らしをしているおばあさんが住んでいたのですが、私たちが引っ越してきて2週間ほど経った頃から、なぜかそのおばあさんと顔を合わせることが多くなり、いつの頃からか声を掛けられるようになったんです。

私が仕事に行く日の朝は、おばあさんは大体決まって外で水やりをしていて、

「これから仕事かい?」
「どこに勤めているの?」

と声を掛けられました。

私が仕事から帰る時間には、特に何をしているでもなく外でフラフラしているおばあさんに声を掛けられたり、私がスーパーに寄って帰った時などは、

「仕事帰りにスーパーに行ってきたの?」
「今日は〇〇が安かったでしょ?」

などと聞かれるようになったんです。

声を掛けるお婆さん(妻)
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(賃貸とはいえ近所付き合いも大事だよね…)

そう思って私は出来るだけおばあさんとコミュニケーションを取るように心掛け、しばしば私から挨拶をすることもあったんです。

こんな生活が半年程続いた頃、私はおばあさんの言動が少しエスカレートしてきたように感じ始めました。

仕事に行く朝には、

「今日も16時頃終わるの?」
「今日はいつもより行くのが早いんじゃない?」
「今日は遅いけど寝坊したの?」

などと、少し立ち入った言葉を掛けてくるようになったのです。

スーパーに行った帰りなどは、買い物袋の中をジロジロと見られ、

「今夜のご飯は〇〇にするの?」
「それで何日くらもつの?」

などと、私たちの生活を覗き見るようなことも聞いてくるようになりました。

(一人暮らしのおばあさんだから話し相手が居なくて寂しいのかな?)

初めはそんな風に思って優しく対応していたものの、日に日に馴れ馴れしくなるおばあさんの言動が煩わしくなり、夫に相談してみると、

「多分気に入られてるんじゃない?俺、全然声かけられないよ。」

そう言って笑っていました。

(確かに、まあ嫌われるよりは良いか…。)

そうは思いはしたものの、

(これからは出来るだけ距離をとるようにしよう…)

そう心に決めたんです。

この日から私は、おばあさんの声掛けを適当に流したり、時には気が付かないフリまでするようになりました。

しばらくそんな日が続くと、おばあさんは私ではなく、今度は夫に声をかけるようになったんです。

おばあさんが外に出ている時間も今までと一転。
私が仕事の行き帰りでおばあさんを見かけることは全くなくなったのですが、代わりに夫が仕事に行く朝7時と仕事から帰る19時過ぎ頃におばあさんは外に出ていて、夫に毎回声をかけるようになりました。

声を掛けるお婆さん(夫)
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夫曰く、朝、アパートの階段を降りる夫を確認して、おばあさんは家から出てきて声をかけてきたり、帰りは19時を過ぎた薄暗い中、庭の手入れをしながら夫の帰りを待っているようだと言うのです。

そしてやはり・・・夫に対する言動も日に日にエスカレートしてきたそうなんです。

「お給料はいくら貰ってるんだい?」

挨拶する程度のお隣さんのつもりだったのに、そんな事まで聞かれるようになった夫は、

「あの婆さんヤバくない?マジ怖いんだけど…」

と、不快な気持ちを私に洩らすようになりました。

確かにおばあさんの言動は少し度が過ぎていて、なんだか監視されている気分にもなります。

私と夫はこれまで以上に露骨におばあさんとの接触を断ちました。
おばあさんも何かを察したのか、それから声を掛けられる頻度はめっきり減って、半年程おばあさんと関わらない日々が続きました。

しかし、更に数ヶ月が経ったある朝の7時頃。
おばあさんが突然、我が家を訪ねて来たのです。

既に1年程になるアパート生活の中で、おばあさんが我が家を訪ねて来るのは初めてのことでした。

「はーい!」

と言って玄関を開けると、

「お姉さん家のゴミが、カラスに漁られちゃったみたいで…」

と、おばあさんは言いました。

訪ねて来たお婆さん
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近所の方々と共有するゴミ置き場を、我家のゴミで汚してしまっては大変と、私は直ぐに散らかったゴミを片付けに行きました。

ゴミ置き場には既にカラスの姿はなく、我が家の燃えるゴミだけが無残に散らばっていて、私はすぐに片付けに取り掛かりました。
すると、おばあさんも一緒に片づけを手伝ってくれたんです。

(こんな親切なおばあさんに、これまで何て申し訳ない態度をとっていたんだろう…)

そう思った私は、夫にもその事を話し、二人で反省したんです。

するとその3日後、次の燃えるゴミの日の朝でした。
またしてもおばあさんが我が家を訪ねて来たんです。

「お姉ちゃんの家のゴミがまたカラスに漁られちゃってるから、片付けた方が良いよ」

「え!?またですか?」

(これまでゴミがカラスに漁られる事なんて全くなかったことなのに、こんな立て続けに起きるものなの?)

そうは思いましたが、その日も私は言われるがまま散らかったゴミを片付けに行きました。
その日もおばあさんは片付けを手伝ってくれました。

その夜、夫にこの事を話すと、夫は少し眉間に皺を寄せ、こんなことを言うのです。

「てかさ、なんであの婆さん、それがウチが出したゴミって知ってるわけ?確かにウチはごみ出す時間早いけど、それでもゴミ置き場には既に幾つかゴミ出てんじゃん」

(確かに言われてみれば、おばあさんはどうやってそれがウチのゴミだと分かったのだろう?今日も、既に10個近くのゴミが出ていたのに…)

「やっぱりあの婆さんヤバくない?絶対俺らのこと見てるんだって!」

夫はそう言いました。

そして翌週の燃えるゴミの日のことです。

ゴミ出しのために私はアパートの階段を降りながら、ふとおばあさんの家を見ました。
すると、窓に掛かった薄ーいレースのカーテンの向こうから、おばあさんがこっちを見ていることに気が付いたんです。

レースの向こう側に
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カーテン越しに私と目が合ったおばあさんは、フッと目を逸らし家の奥へ入っていきました。
この日、おばあさんが我が家を訪ねてくることはありませんでした。

(やっぱり見てる・・・?)

私はそんな風に感じたんです。

そして次のゴミ出しの日。
私はまたアパートの階段を降りながら、おばあさんの家の窓を見ました。
厚いカーテンはしてありましたが、そこには数センチの不自然な隙間が空いていました。

カーテンの隙間から
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こちらからおばあさんの様子は見えませんでしたが、この隙間から覗いているんだという確信が私の中には芽生えていました。
そしてこの日も、おばあさんが我が家を訪ねて来ることはありませんでした。

そして次の週、その日は夫が出勤前にゴミを出していったんです。
その朝7時頃でした。再びおばあさんが我が家に来たのは。

「お姉ちゃんの家のゴミがまたカラスに荒らされてるよ。若い人が食べる物は動物も好きなのかな?」

おばあさんの行動に薄気味悪さを感じたものの、実際に散らかっているのは我が家のゴミですし、この日も私は散らかったゴミを片付けに行きました。
おばあさんはやはり何故か、片づけを手伝ってくれました。

「やっぱ婆さん怪しくない?今度のゴミの日さ、しばらくゴミ置き場を見てようよ!」

夫に今日のことを話すと、夫はそんな提案をしてきたんです。

(やっぱりそれしかないか・・・)

あまり気が乗らない提案でしたが、結局それしか確認するすべもなく…

次のゴミ出しの日、私はあえていつもより少し早い時間にゴミを出し、夫と一緒に自宅からゴミ置き場をこっそりと見ていました。
因みにゴミ置き場には、我が家を含め既に4つのゴミが出ていました。

観察を始めて直ぐのことでした。
おばあさんが家から出て来ました。

(ああ、やっぱりそうなのか・・・)

私がそう思った矢先、おばあさんは迷うことなく我が家のゴミに手にかけて、ゴミ袋をビリビリ破り、その場に中身をばら撒いたのです。

ゴミをばら撒く
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「何してんの・・・あの婆さん・・・」

私と夫は戦慄しました。
恐怖というか薄気味悪さというか・・・その光景を呆然と眺めているしかありませんでした。

その30分後でした…おばあさんが我が家を訪ねてきたのは…

「カラスにゴミ荒らされちゃってるよ」

にこやかに、平気で嘘を付く目の前のおばあさんが気味悪くて、気付くと私は震えていました。

それを見ていた夫が、

「あのー、上から見てましたよ?ゴミ荒らしたの…あなたですよね?」

恐怖を抑え、冷静に夫がおばあさんにそう伝えました。すると…

「何を言ってるの?カラスが散らかしてたから私が追い払ったの!」

ヒステリックに怒鳴り散らし、おばあさんはまだ嘘を付くんです…

一体何が目的なのか?
私たちの態度に対する嫌がらせが目的なら、なぜゴミの片付けまで手伝うのか?
それとも私たち夫婦とどんな形であれ接触したいだけなのか?
だとしたらこの方法は…

私がアレコレ考えている間も、夫はおばあさんを問い詰めているのですが、

「カラスがやったと言ってるでしょ!」

おばあさんはそうヒステリックに叫び続けるだけ。

その後、夫が何を言っても嘘を吐き続けるおばあさんの姿は、もはや私には人間以外の何かに見えていました…言葉の通じない何か…

言葉が通じない
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自称カラスのゴミ漁りが始まってから3ヶ月。
毎回ゴミが漁られ続けた我が家は、その数か月後のアパート更新日と共に引っ越しました。

きっとおばあさんは、私と夫のつれない態度に腹を立てての行動だったのでしょう。
ですが、だとしてもあれはあまりに理不尽な行動に思いますし、実際におばあさんが我が家のゴミをばら撒く姿を見た時は本当に恐怖を感じました。

引越しをした現在は、近隣住民にも恵まれて、安心してゴミが出せる平和な毎日を送れています。
みなさんも、近隣住民の方との接触はくれぐれもお気を付け下さい。

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