心霊スポット:愛知県豊田市「旧伊勢神トンネル」
高校3年生の夏休みだったその日、バイク好きの僕たち4人は先輩から愛知県の心霊スポットについて聞かされていました。
「ここから153号線を長野方面に向かうと、長い坂を登りきった所に伊勢神トンネルがあるだろ?今の伊勢神トンネルは国道整備の時に新しく作られたトンネルなんだけど、そこから国道の脇道にそれて進んだ先に旧伊勢神トンネルってのがあるんだ。そこが有名な心霊スポットなんだよ。」
当時、原付きの免許を取って行動範囲が広がっていた僕たちは、その場所がどの辺りなのか察しは付きました。
すると先輩は続けて、
「聞いた話だけど、夕方に車で旧伊勢神トンネルに入ろうとすると、入口付近でヒッチハイクをしている髪の長い女性に出くわすらしいんだよ。その女性がトンネルの反対側まで乗せて欲しいと言ってくるんだけど、女性を乗せてトンネルの反対側に向かうと、出口の直前で姿を消すらしいんだ。しかも女性が座っていたシートはビッチャビチャに濡れてるんだって。」
ドヤ顔でそう話す先輩。
すると、その話に興味を持った友人の一人が言いました。
「今日の夕方、そのトンネルに行ってみないか?」
伊勢神トンネルならここから2時間もあれば行けるし、それじゃあツーリングも兼ねて4人で行ってみよう!と、僕たちはその提案を受け入れました。
トンネルへの道中の上り坂は原付には少し厳しい道だったけど、とにかくみんなで走っているのが本当に楽しくて、気付いた時には国道153号線の新伊勢崎トンネルがすぐそこまで迫っていました。
「この辺りなんだよな?」
と、脇道を探すと、確かにすぐ近くに新伊勢神トンネルの上の方へと続いている坂道がありました。
その坂道をみんなでしばらく登って行くと、鬱蒼と茂る林道の中に不気味なトンネルが口を開けて待っていました。
「こんな所に、本当にトンネルがあったんだね・・・」
僕は旧伊勢神トンネルを呆然と眺めながらそう言うと、
「中めっちゃ暗いね・・・でも、女の人はいないみたい(笑)」
なんて友人は笑って言いましたが、いざ中が分からないほど真っ暗なトンネルを目の前にすると、それは確かに不気味で今にも何か出てきそうな気にさせられます。
「とりあえずこのままバイクで反対側まで行ってみようぜ!」
友人の言葉に促され、トンネル内部を反対側まで走り抜けることになったのですが、なぜだか僕が先頭を走ることに。
トンネル内部は真っ暗で、ヘッドライト無しでは何も見えない程の暗さでしたが、思ったよりも先は短く、200メートル程で反対側に到着しました。
「なんもなかったなー」
みんな安心したのか、笑いながらそんなことを言っていると、
「なんかめっちゃ寒い・・・」
友人の一人が夏なのに少し震えながらそう訴えてきました。
「え?マジ?(笑)呪われた?(笑)」
トンネルの中は確かに少し肌寒かったので、その時は震えている友人のことを大して気に留めませんでした。
「なんも無かったし、帰るか~」
そう言って、今出てきたトンネルの反対側の道を下って行くと、元の国道に繋がっていたので、そのまま原付を走らせ家の近くまで来たところでその日は解散となりました。
後日、また例の4人で集まっていた時でした。
トンネルで寒がっていた友人がこんなことを言うんです。
「俺、あの後さ、家に帰ってからも寒くて寒くて、2階の部屋で布団にくるまってたんだ。そしたら、下から階段を登ってくる音がしてきて、しかもそれが1時間くらいずっと聞こえてて、本当に怖かった。」
1時間もずっと階段を…
僕もみんなもゾッとしました。
友達は続けて、
「その足音がようやく鳴りやんで、ホッとしてそのままお腹を掻きむしりながらテレビ見てたんだよ。そんでお風呂入ろうと服脱いで鏡の前に立った時、さっき掻きむしってたお腹に『呪』って痕が浮かんでてさ、俺泣きそうになったよ…」
それを聞いた瞬間みんな青ざめてしまいました。
痕はすぐに消えてしまったらしく、その友人の話がどこまで本当なのか確認しようもないのですが、それ以来もう面白半分で心霊スポットには絶対行かない!と心に決めました。
ちなみにその友人はその後、神社にお祓いをしに行ったそうなのですが、それからも心霊現象が続いていたのかどうかは聞いてません。
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