体験場所:長野県○○城ちかくの交差点
これは私が実際に体験したお話です。
私は昔から、家族や友達には見えていない人や動物を見ることがありました。
友達と遊んでいる時も、「あ!あそこに猫ちゃんがいる!」と私が近寄っても、「どこにいるの?」と友達には見えていないことが多々あり、私は幼心に不思議だなと感じていました。
それが霊感と呼ばれるものだと気が付いたのは、私が小学5年生の時でした。
その切欠となった出来事のお話です。
小学五年生の春、家からほど近い長野県にある○○城の某お祭りを家族で見に行った時の話です。
お祭りが開催されていたこともあってか、到着した時にはお城の駐車場は既に満車だったため、近くの駐車場に車を停めて、そこから歩いてお城に向かうことにしました。
その途中の交差点にある横断歩道で、私は奇妙な光景を目にしたのです。
横断歩道の信号は赤を示しているにも関わらず、杖をついたおばあさんが一人、ゆっくりと赤信号を渡っていたのです。
きっと信号が見えていないのだろうと思い、「まって!赤信号ですよ!」と私は咄嗟に叫んでおばあさんを止めようと走り出しました。
すると、走る私の横を駆け抜けた一台の車が、横断歩道の真ん中辺りを歩いていたおばあさんを跳ねるように勢いよく突っ込んで行きました。
「ええっ!?どうして!?」
突然の出来事に私は衝撃を受け、目を瞑ってその場にしゃがみこみました。
驚きと混乱で動けずに震えていると、「どうした?!」と一緒に歩いていた家族が駆け寄ってくれました。
「おばあさん…轢かれちゃった…」
私は声を震わせながらそう言いました。
しかしその瞬間、私はあることに気が付きました。
(音がしていない…。)
あれだけ勢いよく車に跳ねられたら、きっとすごい音がするはず。それに私以外にも声を上げて驚いている人がいてもおかしくないはずです。
それなのに、あのおばあさんが跳ねられてから今に至るまで、大きな音や叫び声も聞こえませんでした。
「何言ってるの?びっくりさせないでよ(笑)」
そう言って家族は笑っていましたが、ても実際におばあさんが跳ねられた瞬間を見た私には何もなかったとは思えませんでした。
(…そんなはずない!)
そう思って、ゆっくりと顔を上げ、目を向けた先の横断歩道には、おばあさんの姿はありませんでした。
この時が、(私には周りの人に見えないものが見えるのだ…)、と、初めて確信した瞬間でした。
そんな事実を確信したことに戸惑いはありましたが、実際に目の前で事故が起きていなかったことに安堵して、私はあまり深くは考えず再びお城に向かって歩き始めたんです。
しかし、その帰り道のことでした。
私は行きに見た光景と、全く同じ光景を目にしたのです。
赤信号の横断歩道を渡るおばあさんに、勢いよく車が迫る瞬間を。
でも、私は先ほどのように声を出しておばあさんを止めようとはしませんでした。
跳ねられた瞬間、おばあさんの姿は消えていました。
恐らく、あのおばあさんはこの横断歩道で事故に遭い亡くなった人なのだと思いました。
改めて見たそのおばあさんの姿は、着物姿で髪にはかんざしのようなものが付いていましたので、多分、最近亡くなった方ではなく、ずっと以前に起こった事故なのだろうと私は思いました。
その後、あのお城がある街に住む友人に、あの横断歩道での事故を知らないか尋ねたり、自分なりに調べてもみましたが、事故の情報は得られませんでした。
やはり相当以前の事故だったのか…
それとも、実際には事故などなかったのか…
でも、今でも私には見えているんです。
あの場所を通る度に、赤信号の横断歩道を渡るおばあさんに、勢いよく車が迫る光景を…
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