【怖い話|実話】短編「赤信号を渡る老婆」心霊怪談(長野県)

【怖い話】心霊実話|短編「赤信号を渡る老婆」長野県の恐怖怪談
投稿者:あるま さん(20代/女性/会社員)
体験場所:長野県〇〇城ちかくの交差点

これは私が実際に体験したお話です。

私は昔から、家族や友達には見えない“何か”を見ることがしばしばありました。
友達と遊んでいる時も、「あ!あそこに猫ちゃんがいる!」と私が近寄っても、「どこにいるの?」と友達には見えていないことが多々あり、私は幼心に不思議だなと感じていました。

それが“霊感”と呼ばれるものだと気づいたのは、小学五年生の春、あるお祭りの日のことでした。

家族で長野県にある〇〇城のお祭りを見に出かけたのですが、駐車場はすでに満車。私たちは少し離れた駐車場に車を停め、歩いて城へ向かいました。

その途中にある交差点の横断歩道で、私は奇妙な光景を目にしました。

信号は赤を示しているにも関わらず、杖をついたおばあさんが一人、ゆっくりと横断歩道を渡っていたのです。

きっと信号が見えていないのだと思い、咄嗟に私は「まって!赤信号ですよ!」と思わず声を上げ、おばあさんを止めに走り出しました。

すると、走る私の横を駆け抜けた一台の車が、横断歩道の真ん中に差し掛かっていたおばあさんを跳ねるように勢いよく突っ込んで行きました。

(えっ……!?)

突然の出来事に声も出ません。
私は思わず目を閉じてその場にしゃがみ込んでしまいました。

驚きと混乱で動けず震えていると、「どうした?!」と家族が駆け寄ってくれました。

「おばあさん…轢かれちゃった…」

私は声を震わせました。

その瞬間、私はあることに気が付きました。

(音がしていない…)

あれだけ勢いよく車に跳ねられたら、きっとすごい音がするはず。それに私以外にも声を上げて驚いている人がいてもおかしくない。それなのに、あのおばあさんが跳ねられてから今に至るまで、大きな音や悲鳴も聞こえていません。

「何言ってるの?びっくりさせないでよ(笑)」

そう言って家族は笑っていましたが、ても実際におばあさんが跳ねられた瞬間を見た私には、何もなかったとは到底思えません。

(…そんなはずない)

恐る恐るゆっくり顔を上げ、横断歩道を見ると、そこにおばあさんの姿はありませんでした。

その瞬間、私は悟りました。
幼い頃から感じていた違和感。
自分には、他の人には見えないものが見えてしまうのだと。

その確信に戸惑いはありましたが、実際にこれまでも目にしてきたことです。まずなにより事故が起きていなかったことに安堵して、私はあまり深く考えず、再びお城のお祭り会場をめざしました。

その帰り道のこと。
私は行きに見た光景と、全く同じ光景を目にしたのです。

赤信号の横断歩道を渡るおばあさんに、勢いよく車が迫る瞬間を。

でも私は先ほどのように大声を上げることはありませんでした。
車がぶつかった瞬間、やはりおばあさんの姿はスッと消えたから。

恐らく、あのおばあさんはこの横断歩道で事故に遭い亡くなった人なのだと思いました。
改めて見たおばあさんの姿は、着物姿で髪にはかんざしのようなものが付いてい、多分、最近の事故ではなく、ずっと以前に起こった事故なのだと思います。

その後、地元の友人に訪ねたり、自分なりに調べてもみましたが、あの横断歩道で事故があったという情報は得られませんでした。

やはり相当以前の事故なのか…
それとも実際には事故などなかったのか…

でも、今でも私は見るんです。
あの場所を通る度、赤信号の横断歩道を渡るおばあさんに、勢いよく車が突っ込む光景を…

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