体験場所:静岡県 自宅
私がまだ小学校低学年だった頃の話です。
当時の私は、夜眠る時、母と二人で大きなファミリーベッドで寝ていました。
と言っても、いつも私が母より先に布団に入り、母が寝室に来るのは私が寝静まった後だったので、同じベットで寝てはいたものの、実質一人で寝るのと違いありませんでした。
当時の私は一人で寝ている間に怖い夢を見ることが度々ありましたが、元来ホラー好きだったので、大抵の悪夢は平気でした。
しかし、そんな私でも、これだけは洒落にならなかったと言える悪夢を一度だけ体験したことがあります。
それは、以下のような内容です。
その日も私はいつも通り夜8時にファミリーベッドで一人眠りに就きました。
そして夢を見ました。
夢の中でも私は同じ寝室にいました。
見慣れたはずの寝室の景色。
しかし、何かがおかしいのです。
いつもはぼんやり常夜灯が点いていて、暖色の薄明りの中で眠っているのですが、その夢の中の寝室はどこもかしこも青く沈んだ色をしていました。
例えるなら部屋全体がブラックライトで照らされているような、不安を煽る暗い青色に染まっていたのです。
しかし、夢の中の私に部屋の色で困惑している余裕などありませんでした。
なぜなら、私は部屋の色と同じ全身真っ青な女に足首を掴まれ、その女が髪を振り乱してベットの上の私をもの凄い力で引きずり回していたからです。
女は私をベッドの下へと引きずり降ろそうとしていました。
マットレスの上を勢いよく引きずられる背中の感覚が、妙に生々しかったのを覚えています。
あまりの恐怖に夢の中の私は泣き叫んで抵抗し、ベッドから飛び起きました。
と同時に夢から目が覚めました。
全身から冷汗が噴き出し、わずかに息切れもしていました。
その悪夢は体感ではたったの2秒程度。
「2秒で終わった」というより、「怖すぎて2秒で飛び起きた」と言った方がニュアンスが近いかもしれません。
それに、目が覚めた後で何より怖かったのは、広いファミリーベッドの壁際で寝ていたはずの私が、起きた時には真反対の通路側から体が床にずり落ちそうになっていたことでした。
大人になるまで私はこれをただの夢だと思っていました。
ベッドの反対側から落ちそうになっていたのも偶然で、寝相が悪かっただけだと。
しかし最近、とある怪談を聞いたことで、この夢に関する恐ろしい後日談が出来てしまいました。
YouTubeでとある怪談師さんが語っていた話。
具体的にどの動画だったかは忘れてしまったので、事実と異なるところがあるかもしれませんが、大体の内容はこんな感じでした↓
「女性が寝ていたら突然金縛りに遭い、幽霊に両足首を掴まれ引っ張られる」という内容の、よく聞くタイプの怪談でした。
(私も似たような夢なら見たことあったな~)と、昔のことを思い出しながら聞いていました。
すると、語り終わった後、怪談師さん達が自分の考察を言い合う場面で、このような意見が出ていました。
「人は死んだら膝から下が抜け落ちてしまうそうだ」
「足が透けて見えなくなっている幽霊がよく目撃されるのはそういうことだろう」
「この怪談の幽霊は、その女性の膝から下を引っ張って魂を抜こうとしていたのではないか」
この考察を聞いた時、私は寒気がしました。
子供の頃に見たあの夢、只の夢だと思っていたのですが、もしかしたらあの時私は本当に危なかったのではないか。
夢で見たあの青い女は、私をあの世へ連れて行こうとしていたのではないだろうか。
今さらその真相を知ることは不可能ですが・・・
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