【怖い話】実話怪談|短編「用途不明の部屋」山梨県の心霊体験談

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投稿者:komaki さん(40代/女性/主婦/静岡県在住)
体験場所:山梨県F市の温泉旅館

私が数年前、友人と二人で旅行に行った時の体験談です。

私と友人は連休を利用し、山梨県某市にある温泉旅館に行くことにしました。

連休ということもあり道路は渋滞していて、また途中途中で観光を挟みながら宿に向かったので、実際にその旅館に到着したのは夜の七時頃になっていました。

それでも旅館の方々は私達を温かく迎え入れて下さり、夕食も温かいものをお出ししますよと言ってくれて「この旅館にして良かったね」と私たちは喜んでいました。

ただ、その日は他に団体客もいるということで、私達は新館ではなく本館一階の一番奥の部屋に宿泊することになったんです。

山梨の温泉旅館
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本館は、建物自体は古いのですが、中庭には鯉が泳いでいる池があり、赤く色付くもみじが「和」を感じさせてくれる趣深い造りになっていて、私たちはむしろ本館で良かったと思ったのです。

部屋に着くとちょっと驚いたことがありました。
八畳の和室と聞いていたのですが、実際は、その和室の隅にもう一つ古い開き戸があり、開けてみると四畳ほどの何もない狭い部屋がそこにありました。

「物置かな?」

私と友人は最初そう思ったのですが、荷物が何も収納されていない所を見ると、実際その部屋が何に使われているのか分かりませんでした。

(監禁部屋か療養部屋かな?)

正直、私はそんなことを思ったのですが口にはしませんでした。

その後、美味しい夕食を頂き、気持ちのいい温泉で温まっている内に、私たちはすっかりその部屋のことを忘れていました。

その夜は仕事の話や恋愛話に花が咲き、そのうち気付くと夜十一時を廻っていて「そろそろ寝ようか」と私達は布団に入りました。

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床に就いてから数時間後、私は妙な音で目を覚ましました。
時計を見ると夜中の二時です。

張り詰めたように静かな部屋の中で、一人耳を澄ませると、その音は、何か人の話し声のような、それも女性の声のようなものであることが分かりました。

内容はよく聞こえませんが、誰かに女性が話しかけているような感じです。
時折笑っているような声も聞こえます。

私は隣で寝ている友人を起こそうと思いましたが、友人はグッスリ寝ている様子で、起こすのも悪いと思い声を掛けるのをやめました。

止むことなく続く小さな話し声は、当然部屋の外から聞こえているものだと思っていたのですが、もっと近くから聞こえる感じもします。
妙な違和感を不審に感じていると、その時私は気が付いたのです。

隣の部屋に続くドアが少し開いていることに。

少し開いたドア
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私達がドアを開けたのは最初に部屋に入った時の1回だけで、その時も確実にドアを閉めました。
それにその開き戸は、ガチャリとしっかり閉まるタイプのドアで、勝手に開くことはまず有り得ません。
私達が寝る時には絶対にドアは閉まっていたはずです。

いつの間にか開いていたそのドアの隙間から、誰もいないはずの向こうの部屋の声が漏れ聞こえていると気が付いた時、私の背中をひやりと寒気が走りました。

(あのドアを閉めなくちゃ。何か入って来るかも…)
咄嗟に私はそう感じました。

私には霊感はありません。
でもその時はなぜかそう思ったのです。

私は恐る恐る布団から出るとドアの前に立ち、そしてドアノブを握りました。

(中を見てはいけない。絶対に見てはいけない。)

そう思いながら、迷わず一気にドアを閉めようとした瞬間、全身がぞわぞわっと粟立つのを感じました。

(…近くに何かいる。)
目には見えないけど、何かがいる。
そう感じた次の瞬間、

『行かないで』

女の声
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ハッキリと聞き取れる女性の声がしたのです。

私はそれを振り払うように思い切ってドアをガチャンと閉めました。

フッと気配が消えるのが分かりました。
話し声も聞こえなくなりました。

部屋は自分の息遣いが耳に付くほどの静けさです。

一体何が起きたのか、その時は何も詮索はせず、呼吸を整え、私は何事もなかったかのようにもう一度布団に入りました。でも、結局朝まで眠れませんでした。

翌朝、私は昨夜の出来事を友人に話したのですが、全く信じてもらえませんでした。
もう一度ドアの向こうの部屋も確認してみましたが、結局、昨夜の出来事に繋がるものは何もありませんでした。

それでもどうしても気になった私は、旅館をチェックアウトする際に思い切って昨夜の出来事を旅館の方に話してみました。

でも旅館の方からは、「お酒でも飲んでたんじゃないですか?」と笑いながら言われるだけでした。

それでも何か因縁があるはずだと、例の部屋のことについて尋ねてみると、「露天風呂付きの客室を作ろうと思ったんですけど、お湯の出が悪くてやめちゃったんですよ。それでただの床部屋にしたんです」と言っていました。

ただ私には信じられませんでした。

通常の客間に取り付けられた、狭くて何もないもう一つの部屋。
あの部屋には必ず何か曰くがある、私は今でもそう思っています。

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