【怖い話|実話】短編「念願の幽霊」心霊怪談(神奈川県)

投稿者:ロッコ さん(39歳/男性/会社員)
体験場所:神奈川県K市 N駅近く

私が大学生の頃の話なので、今から約17年ほど前に体験したことです。

私は昔から怪談や心霊写真といった所謂オカルトに興味を持っていました。
特に霊感というものもありませんでしたし、地元の山口県にある心霊スポットに夜中友人連中と肝試しに行っても、特に何かを感じることもありませんでした。

地元で肝試し
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大学生になり、地元を離れ神奈川県K市で一人暮らしをするようになると、いつの間にか私の部屋は友人達のたまり場となっていました。

ある夏の日でした。
私の部屋で、特に仲の良かった友人(仮にAとBとしますが)と、3人でまったりドリームキャストのテニスゲームをしていました。

夜中の12時を過ぎた頃、買い出しのために3人で家を出て、近くのコンビニに向かって歩き出しました。

コンビニへ向かう3人
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するとAが、「そう言えば、N駅から10分くらい歩いた所に廃病院があるの知ってる?」と言い出しました。

大好物な話題に当然のごとく食いつく私とB。
このまま行ってみようと即決しました。

というのも、私以外の2人も超がつくほどのオカルト好き。
特にAに関しては霊感があるらしく、一緒に歩いていると、何もない場所なのに横に避けたりすることがAにはよくあって、「何してんの?」と聞くと、「ああ生身とちゃうんかいな」なんて、関西弁で言ったりする奴なんです。

怪談話でよく聞くようなシチュエーションを、実際に体験している奴が本当にいるんだなと思ったりしながら、A自体とても私と馬が合う奴だったので、避ける度に「どこにいるの?」などと聞いたりしたものです。

Bはオカルト好きというよりも、「怖いけど見たい…」というような感覚の持ち主で、私たちが行くのなら自分も同行したい、というようなスタンスの奴でした。

この3人で、関東近郊の徒歩や自転車でいける範囲の心霊スポットにはよく行ったのですが、少なくとも私は、それまで特に不可思議な体験をしたことはありませんでした。
もしかしたらAは感じていても、口に出さなかっただけなのかもしれませんが…

心霊スポット巡り
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少し話はズレますが、私のオカルトの目標は、いつか自然に幽霊と話をして、あの世があるのかを確かめることです。

「人が死んだらどうなるのか?」
それを話してくれる幽霊を探すことを目標に、心霊スポットに足を運んでいました。

話を戻しますが、夜中の1時少し前くらいに、私たちは目的の廃病院にたどり着き、その敷地内に足を踏み入れました。

全く灯りがないその廃墟は、中規模病院くらいの大きさだったと思います。

廃病院
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現在であれば、警備会社などが入って敷地に誰か立ち入ればブザーが鳴ったりするのでしょうが、当時はそんなものを廃墟に設置するような時代ではありませんでした。

因みに今から数年ほど前に、その建物は取り壊されたと聞いています。
ですが、私たちが訪れた当時は建物もそれほど朽ちてはおらず、まだ使えそうな建物という感じがしました。

それまでいくつもの心霊スポットに行っていたので、スポット自体に恐怖を覚えることはほぼなかったのですが、この廃病院に関しては入る前から少し怖気付いていました。

と言うのも原因は、Aが建物に入る前に一度立ち止まったからです。
僕以上に物怖じしないAは、毎回先陣をきって中に入るタイプだったのですが、この廃病院では入口付近で足が進まなくなっていたのです。

「ここは今までと次元が違う…」
とかなんとか、Aがブツブツ言っていたのを覚えています。

ビビる友人A
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そんなこと初めてだったので、3人で気合を入れ直し、今日はとりあえず1階だけを見て回り、残りは後日、明るい時に探検しようということで話がまとまりました。

怪談話って、だいたいクライマックスで幽霊が出てくるじゃないですか。

しかし、私の初体験は違いました。
すぐに出てきました。

朽ちてガラスがなくなってしまった入口から入ってすぐの場所、そこが恐らく待合室だったのですが、そこに入院患者が着るような青のボーダー柄の服を着たおじさんが、一人で座っていました。

老人の幽霊
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「・・・マジ?」

初めて見た幽霊に興奮してしまった私を他所に、まずBが一目散に逃走。
Aも私の手を引っ張って逃げようとするのですが、「幽霊と話がしたい!」というオカルト目標を達成したくて私もなんとか粘ろうとしました。

ただ、興奮したせいなのか恐怖のせいなのか、声が出せません。
実際に生の幽霊を目にすると声が出せないんです。

その後、私達はBを追いかけてダッシュ。
N駅までノンストップで駆けて行きました。

ダッシュで逃げる
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もしかしたら実際の人間だったのかもと思うほど、患者服のおじさんは鮮明でした。

その後、昼間に2度、その廃病院を訪れてみたのですが、おじさんはもう出てきてはくれませんでした。

「一体あのおじさんはなんだったのだろう…」
と不気味に思う反面、
「惜しいことをした…」
と、今でも思い出します。

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